学校に取り込まれる Side 右
何故こうなった。
何処で間違えたんだ!?
一体ここは何処なんだ・・・
「さて入口に入ったけど、やに新しくね?」
「確かに、綺麗でホコリも無いよね」
「ってか、そこらの学校より綺麗すぎだろ、これは・・・」
3人の持つ懐中電灯で照らされる下駄箱や廊下に壁。下駄箱には上履き等はなかったが、あっても不思議では無いくらい生活感がある場所であった。
廊下に立ち左の廊下を覗くと、左から入ったグループの懐中電灯の灯りが見えた。その灯りが見えなくなってから歩き始める。
1階には教室はなく、多分職員室と思われる部屋と保健室があるだけであった。手前にあるのが保健室なので、まずはその部屋に入ってみる。
「何でこんなに綺麗なんだ?」
「いくらなんでもおかしくない?」
「やはり新しすぎるだろ~」
あまりにも綺麗に整頓されている保健室。薬品棚に薬品は無かったが、まだ新しいであろう包帯等がその棚の中に保管されていた。また、ベットに敷かれているシーツは、たった今敷いたかの様に綺麗に敷かれていた。
(((これは、少女に騙されたな)))
皆はそう思った。ここは廃校ではあるが、まだ廃校になったばかりの学校であると。だから知らない心霊スポットであったのだと。
騙されたと理解した彼らは、それでも先に進んだ。せっかくここまで来たし、もしかすると何かあるかもしれない。無ければ、あいつらを脅かせて楽しめばいいやと思いながら。
保健室を出た彼らは隣の職員室に入る。そこは保健室と一緒でやはり綺麗に整った机があった。その机の上には教科書も置かれていた。その教科書を1つ取ってみるとそれは国語の教科書であった。ただ、その教科書はこの職員室にはそぐわない物であつまた。
「なんで、かなり古い教科書なんかがあるんだ?」
「参考資料か何かで使ったんじゃない?」
「でも、他の教科書も全部一緒だぜ」
そう、他の教科書も全て昭和以前の物であった。それ以外は全て新しい物なのに。何か変な感じはしたが、教科書だけが古いだけだったので結局のところあまり気にせずに職員室を後にしたのであった。
3階に上ると教室が5つ並んでいた。しかし、ここは1階とは違い、ホコリっぽくて微妙に古くさくもあった。一番手前の教室に入ると、机とかはないただの教室であった。今までの感じだと、机とかが整然と並んでいると思っていただけに、変に期待外れなな気分になった。そんな教室を探索しながら3つ目の部屋に入っていたら、上の階の声が聞こえてきた。
「・・だから、・・だね」
「はや・・・おひ・・」
よくは聞き取れなかったが、雰囲気的にむこうのグループ達の声とは思えなかった。だって声が幼かったからである。まるで小学生の声の様に。
「これは、まさかですか?」
「すきま風とかかもよ?」
「これは、あいつらと合流した方がよいか?」
色々な事を思ってはみたが、今は謎の声も聞こえないために、このまま先に進んでみる事にしたのであった。すきま風が抜けるようなすきまが無いのに。
4階に上ると反対側からこちらに向かってくる光が見えた。何でこっちに向かって来るんだと思いつつも、ここですれ違ってはつまんないと思い、屋上に上がる階段に避難することにしたのであった。
懐中電灯の灯りを消して密かに待つと、灯りが見え始めてそしてその灯りはしたに降りていった。それを確認したら、懐中電灯の灯りを点けて4階まで降りていった。そして4階の廊下を照して愕然とするのだった。廊下はボロボロで途中には大きな穴が開いており、とても飛び渡れる大きさの穴ではなかったのである。壁もボロボロで、所々に穴が開いていて、こちらから外が覗けるほどだったのである。
「な、なんなんだこれは!?」
「壁も教室もボロボロじゃんかよ」
「これじゃ向こう側に行けないよ」
「でもさっき光は向こうからこっちに向かってきてた様な」
そうである。さっきの灯りは確かに向こう側から光っていた。でも、こちら側にきて3階に降りていったのである。それも、よくよく考えたら一言も喋らずに。そして、足音すらたてずに。
明らかに異常事態である。これは逃げるべきであると。
誰からとかではなく踵を返す。そして、階段を降りようとして気付く。屋上に上がる階段が無いことに。ついさっき自分達が身を潜めたはずの階段が、初めからなかったかの様な作りになっていた。
完全にパニックである。
もう、なにも考えずに下へ降りていった。4階→3階→2階と降りて行き、そして1階である入口に着いたと思ったのだが。
「なんで入口じゃないのよ!?」
そう、そこは1階ではなかった。確かに階数は降りたはずだが、そこに入口はなかったのである。そして、更に下に降りる階段がそこにはあったのである。
「な、何で更に降りる階段があるのよ・・・」
彼女はそう言いながら周りを見る。
「えっ?」
そう、一人しかいなかったのである。確かに一緒に降りたはずなのに。もう、何が起こっているのか解らなくなった。そして、自分の置かれている状況を無視して泣き叫んだ。どの位泣き叫んだか解らないくらい泣き叫んでいてら、廊下が急激に揺れ始めた。
気付いたら一人で逃げていた。他の皆が無事か解らないが、まずはあれから逃げていた。
あの時確かに1階にたどり着き、入口から出たはずであった。なのに出た先は4階の教室だったのである。何故ここにいるのか理解できなかった。それでもまた1階まで降りて行くと、左側入口に皆がそろっていた。そう、皆である。自分もそこにいたのである。偽物の自分がこちらを見る。すると皆がこちらに近付いてきた。直感的に捕まったら不味いと思い逃げた。何処をどう逃げたか解らないが、ある教室で身を潜めていたら急に教室が揺れ始めた。
(何故こうなった。)
少女の言う心霊スポットを何時もと同じと思ったから。
(何処で間違えたんだ。)
屋上に上がる階段を上って、規則を破ったときだろう。
(一体ここは何処なんだ。)
それだけは解らない。
どうしても外に出ることは出来なかった。窓を割る事も出来なかったのである。そう、完全に学校に取り込まれてしまったようであった。なら、取り込む原因を探り、その原因を取り除けばもしかすると助かるかも知れない。そう思い、情報が一番ありそうな職員室に来たのである。中に入ると、最初に来た時と雰囲気が変わっていた。そしてその違いは直ぐに解る。そう、職員室全体が古くなっていたのである。
壁などはボロボロになっていないが、今風の壁ではなくなっていた。そして整然とならんでいた机も、古いドラマ等でしか見たことのない、古めかしい机に変わっていた。
一瞬ビックリはしたが、もう色々な事が起きているので、その事をあまり気にせず情報がないか物色を開始する。
必死に探していると急に扉が開きもう1つのグループにいた部長が入ってきた。かなり憔悴している様で心身ともにボロボロであった。
どうにか落ち着いた部長と今まで起こった事をまとめる。そうすると、初めから不可思議であることが解りはじめる。
まず最初の少女が語った内容。彼女は何故『巡る』と語ったのか。普通なら『巡る』とは言わず、『まわる』とか言うはずである。
そして、新しすぎる校舎。最初は騙されたと思ったが、そもそもこんな所に小学校が在ったことすら知らないのがおかしいのである。新しい廃校なら、この学校のこと事態は知っていておかしくないのに。
それから、中に入ると新しいのに、階を進むにつれて古くなる校舎。まるで進むにつれて本当の景色になっていく様に。
はまりはじめるピース。答えが出そうな時にそれは起こる。
廊下から悲鳴が聞こえ、それが職員室の前を過ぎ去る。
声からして、早妃の悲鳴である事は直ぐに気付く。本当なら、職員室から出ようとしたのだが、悲鳴が過ぎると同時に職員室の中が変化する。
更にボロボロになったのである。
そして、『ぱさっ』という音と共に教科書が落ちる。
その教科書にはこう書かれていた。
『大正12年度 国語』
そして、二人は気付く。
これは学校が見ている在りし未来の風景なのだと。あの時全てが終わってしまった学校が、本当ならこうなるであろうと思い描いた夢物語。だから、『まわる』でなく『巡る』と言ったのである。
巡礼なのだから。
そして、巡礼規則を破れば・・・
二人は帰れない事を悟った。そして、地面が揺れ始めた・・・
大正12年9月1日11時58分関東全域を襲った天災。
関東大震災
全壊した家屋は10万を越える。それら家屋は本来の義務を果たせずに倒壊したのであろう。もし、心を宿してしまった家屋が突然倒壊したら・・・
あなたの回りにも、気付いたら建っている廃屋等があるかも。
でも、それはその廃屋がみる夢が現れてるだけかもしれません。
もしそんな場所に行く時は、ちゃんと巡り方を調べた方が良いかも知れない。知らずに行くとあなたもそこに取り込まれるかもしれませんよ・・・




