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ややこしいことになってきたです!

 

「ごちそうさまでした」

「ういっす! 次は金払って食えよ!」

「気が向いたらな。じゃあな、おっさん。もう帰るわ。紅音もな、大会頑張れよ!」

「新太郎なんかに言われなくても頑張りますっての。ベーだ、ベェ~~~!」

 紅音は俺に対してあっかんべーをしていた。コイツも最初出会った時と全然変わらない気がするな。

 

 そんなこんなで夕食を済ませて俺は家に帰ってきた。

 しかし飛島は要注意人物だな。俺にとっての天敵になり得る。

 というか、ああいう奴がいるから俺は漫研の幽霊部員になってしまってるとも言える。

 ああいうタイプに誘惑されたらどうしようもないからな。

 アイツ――飛島明日香――恐ろしい奴め……。

 

 というか紅音が魔法少女なんて本当なのか?

 確かに俺は幼稚園児の頃、紅音と延々と魔法少女ごっこをしていたものだった。

 あの時の俺はなかなかに憑依系の役者だと自分でも思っていたし、悪役から相談依頼者、味方に裏切り者まで何でもこなしていたっけな。

 それに比べると紅音は魔法少女役しかやっていないズルい奴だった。

 俺が遊んであげてるような感じだったと言っても良いぞ。

 そんな紅音が本物の魔法少女?

 にわかには信じられないからな。

 しまった……アクセスリングを見せてもらえばよかった。

 でもまあ飛島のメールでは紅音が明後日のマギアゲームに参加するんだってことになってたし、多分本当なんだろうな。

 

 やれやれ、よくよく考えるとややこしいことになってるぞ。

 とりあえず今日は風呂に入って歯を磨いて寝よう。

 この俺が持っているリングが本当に魔法少女の証明になるのかはわからないが、俺はこのリングをつけた途端に女の子になっちゃったというわけだから、このリングに力があるってのは本当だってわかってる。

 

 マギアゲーム主催者側に俺がどういう扱いを受けているのかなんて、大会当日になってみないとわからないんだ。見向きもされてないかも知れないな。

 ただ一つ言えることは、俺は今日同学年の女子にぞんざいな扱いを受けるような、蔑視されるような、そんな行為をしてしまったことは間違いない。

 それは女装して駅のトイレに入っていたり、アニメショップのフィギュアのパンツを覗いたり、とかだ。

 女装しているのは俺のせいじゃないから仕方がないとして、よりにもよって両方とも飛島明日香に見られてしまったというのだから俺は運がない。

 否、フィギュアのパンツを覗いているのを見られたけど、あれも仕方がないことではあるまいか。

 そもそもフィギュアは有機体ではないかもしれないが、プラスチックでできたフィギュアなら有機物だから人間と同じだ。

 低姿勢でうろうろしてたら、たまたまパンツが突然俺の視界に入り込んだだけなんだから仕方がない。

 よし、この言い訳をゴールデンウィークが終わったら飛島に言ってやろう。


 ――明後日がどうなるかという一抹の不安を抱えていた俺だったが、その不安をあまり深刻には考えてなかった顕れか、気づくと俺は布団に呑み込まれて熟睡していた。

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