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怒らせちゃったのです!

 ルカナ・リリアは俺に教えてくれたことは、ひなのスペシャルフローズンビームは女には効かないということ。

 つまりクリームキャンディーひなのの中で反町ひなのは男をカチカチにさせて万事解決していたわけだ。

 そんな設定があったなんて長年ファンをやってきたけど知らなかったぞ。

 クリームキャンディーひなのってますます深いアニメだなあ。


 って、そんな呑気なことを言っている場合ではない!

 超デブス魔法少女、ルカナ・リリアはカチカチに凍った棍棒を持って俺を殺そうと歩いてきやがってんだ。

 斎藤とか辻内あたりだったら俺のこの魔法少女姿を見て油断するから背負投げくらい余裕だけど、こいつにはそういうわけにはいかなさそうだ。

 女と女の争いには熾烈なものがあるという。女同士は躊躇しないみたいなのだ。

 その熾烈さ、意味もわからない大きな殺意が俺に今襲いかかろうとしていると考えると悍ましくてたまらないな。

 場外に逃げ出したくても、外は魔法の壁に包まれていて観衆の声すら聴こえない。

 アナウンサーの声も聴こえないし、カメラも見当たらない。本当にテレビで放送されているのかは不明である。

 しかしながらにして、そんなことを気にしていてもしょうがないのだ。ひなのスペシャルフローズンビームが効かないとわかった今、俺は他に使えそうな魔法を絞り出さなければならないのだ。

 クリームキャンディーひなのは毎週放送のアニメで、話数はとっくに100話を超えている。

 そんなアニメではあるが基本的にストーリーはワンパターンで、男が痴漢とかの問題を起こす→反町ひなの登場→ひなのスペシャルフローズンビーム!!!→男カチカチ→万事解決! といった具合のものが恐らく9割以上だ。

 だから使う魔法はほぼ一種類と言ってよく、レパートリーというレパートリーもないはずだ。

 女が起こした問題を反町ひなのが解決したシーンは言われてみれば見覚えはない。


 ブンっと空を鋭く斬る音がして、地面に大きな穴がある。

 パキり、という音は凍っていた棍棒が衝撃のあまり折れた音だろう。

 だから俺にとっての朗報は一つ、彼女が武器を失ったこと。

 逆に俺にとっての悲報は一つ、彼女の怪力は想像を絶するということ。

 ここで疑問が一つ、彼女の魔力は一体どれだけのものなんだ。彼女は魔法をまだ使っていない。魔力を温存しているというのか?


 俺とルカナ・リリアの間には大きな穴があって、地面が丸見えになっている。

 その穴はどこまでも穴で、落っこちたらひとたまりもなさそうなブラックホールのようになっている。

 6×6のこのフィールドで、落っこちたらヤバそうな穴をあけられた。

 彼女は俺をその穴に突き落とそうとしてくるのだろうか?

 その穴を開けた張本人は俺の目の前にいるルカナ・リリアであり、攻撃を外してしまったことに対してか「てへっ」と言って笑った。

 もしかするとその笑いの意味はチェックメイトということだったのかもしれない。この穴をあければ勝率は100%であると、彼女はそう思ったのかもしれない。その考えには俺も賛成だ。

 しっかしなんとも可愛くない不細工な笑顔だ。ブスに人権はない、なんてことを普段は言いたくないけれど、この時ばかりは言ってしまいたい。

 だから大声で言ってやる。


「ブスに人権はない!!!!!!!!」


「ちょっと、あなた! それは誰に言ってるの!?」


「他でもない、お前に決まってるんだろ!!!」


 ルカナ・リリアのことを俺はただのデブだと思って見ていたが、その体は筋骨隆々のたくましさを持っていた。

 その体は力士で言えば千代の富士のようであり、そう意識してからはそのようにしか見えなくなってしまった。


「あなた、私を怒らせたわね。手加減はここまでよ。」



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