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緊張のその時です!


『いよいよ選手の入場! マギアゲーム第一回戦がここに開幕します!!!』

 アナウンサーの声が会場に響き渡り、そこには大勢の観衆がフィールドを見守っていた。開会式のときにはいなかった奴らだ。

 ということは川瀬見紀良のあの暴走も、けっして無計画なものではなく、計画的犯行ってわけか。

 やれやれ、なんだかむかいついてきたぞ。このゲームに参加させられるなんて罰ゲームじゃないか。

 まあ覚悟は決めたわけだ。行ってやる。


 俺は事前に用意されたバトルフィールドまでの花道をゆっくりと歩く。

 入場順は俺の方が先らしい。つくづく俺に優しくない構成だね。せめて相手の顔を観てから辞退するとかしないとか決めれる状況にもっていきたいものなのに、それもできそうにない。

 ドラクエのギガンテスみたいな奴が相手だったらどうする? 俺はビビって小便でもちびっちまうだろうな。


『最初に登場するのは期待の新星、青コーナーの反町ひなのだー!!!』


 アナウンサーがどこにいるのか是非教えてもらいたいものだが、意気揚々にアナウンスしやがる。悪い気はしないな。

 俺はフィールドの上に立つ。すると観衆がとんでもなく大きい声で歓声を浴びせてくる。

 罵詈雑言だったかもしれない。しかしそんなのわかりっこないくらいの大きな歓声だ。


『続いて登場するのは優勝候補とも呼び声高い、赤コーナーのルカナ・リリアだー!!』


 大きな歓声が沸く。それは俺が出ていった時以上だった。

 どんな奴が出てくるのか俺は固唾を呑んで見守っていた。

 そして出てきたやつに対して、俺は大きな声で降参って言ってやりたかった。

 だって、そいつはまさしくドラクエのギガンテスみたいな見た目だったんだからな。いや、というよりかはボストロールか。

 魔法少女のくせして棍棒を持っていやがるし、背は俺よりも高い。

 とは言っても俺は魔法少女体になってしまったから身長が縮んでこいつのことが大きく見えているだけの可能性もあるけどな。

 でも遠目から観てこのデカさはやばい。なにがルカナ・リリアだー!! だ。こいつの名前はボストロールくらいがちょうどいいじゃないか。

 ずしんずしんというような音を立ててこっちに向かってきやがる。

 俺は逃げたかった。というか後ずさりして、フィールドの外に出ようとした。

 そしたらフィールドの縁から光が発して、巨大な壁が出来上がった。

 結界が張られたんだ。俺はこのバトルが終わるまで強制的に外には出られないってわけか。

 相手は凄い巨体だ。6平方メートルというプロレスサイズじゃ些か狭すぎるような気がする、それくらいの大きさだ。


 相手がフィールドの上に立った。すると緑色の光を放つ壁がフィールドを包んだ。この中で戦えということなのだろう。


『ここで私からルール説明をさせていきたいと思います。MagiaGameは6×6メートルのフィールドで一対一で魔法を使って闘う競技です。武器の使用は自由。なおフィールドには魔法の結界が張られておりますが、それは競技者にしか見えませんので鑑賞の邪魔になることはありません。ですからフィールドに物を投げつけたってフィールドには届きませんよ!!』


 そうかそうか。しっかしこのアナウンサーは相変わらず元気だな。どこにいるのかはさっぱりわからんけど。

 そのどこにいるのかさっぱりわからないアナウンサーとは対象的にルカナ・リリアの存在感は圧倒的だった。

 デカかった。しかし胸は巨体の割には小さかった。そういうこともあるんだなと俺は感心してしまいそうになったが、このサイズで飛島はおろか紅音よりも小さそうだなんてもはや異常事態だよなあって思う。

 そんな異常事態女と俺は今から戦わないとならないとなるとかなりゲンナリしてくるが、ゲンナリしていても仕方がないだろう。

 繰り返すように、今こそ覚悟を決める時なのだ。男としての威信をかけて、女になった今でもたとえその気持ちは変わらないのさ。


 かちーん。

 変なゴングが鳴った。


『ファイトの開始です!!!』


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