テレビ放送なのです!
琴崎夕海はその時テレビを観ていた。
目的はもちろん、MagiaGameがやっているのを観るためである。
彼女は新城新太郎がテレビでどのように映るのか確認する義務みたいなものがあった。
それはとにかく、義務のようにしか感じられなかったので義務と表するのが一番良いと思う。
でもMagiaGameの実態は琴崎夕海の考えていたものと少し違った。
なによりも、大会開催前に発表されていたこととまるで違うのだ。
魔法少女による一対一の対決であるはずのこの大会は、何故か多勢の魔法少女と、一人の老人によるバトルになっていた。
テレビではアナウンサーが必死に状況説明をしているが、誰もその状況がどういうことなのか理解していないようだった。
琴崎夕海の家にあるテレビはチカチカと魔法少女たちの戦いを映す光を発し、薄暗いリビングの壁はテレビに合わせて小刻みに色が染まる。
「夕海、電気くらい点けたらどうなの?」
琴崎夕海の母親はリビングの電気を点けながらそう言った。
「MagiaGameなんか観てる暇あるの?」
「お母さん、でもこれ観てよ」
母親が目にしたのは魔法少女が心臓を握りつぶされる、まさにその場面だった。
そんな光景がテレビ放映されて良いはずがなかった。
琴崎夕海は急に不安になった。
もしかしたら新城新太郎もこういう目にあってしまうのではないかと。
彼が魔法を上手く使いこなせないことも知っていた。
今こうやって魔法少女たちが戦っている間に、新太郎は何をしているのだろう。
夕海にとってはそれが気がかりでなかった。
しかし彼女はだからといってどうすることもできず、自分が魔法少女ではなく、この大会に参加できないことを悔やんだ。
「新太郎くんを助ける側にまわらなくちゃいけないのになあ」
テレビ画面はただ川瀬見紀良と、それと闘う魔法少女たちが映されている。
その光景が延々と続いていた、CMに入った。
CMが明けると、そこには反町ひなのと川瀬見さつきが映されていた。
テロップには『魔法の使えない魔法少女が大会出場!?』と出されていた。
それはまるで、話題性のためだけのキャスティングというテレビ側の意向があるようだった。
琴崎夕海はとりあえず新太郎が生きていることを確認できたので安心した。
「新太郎くん大丈夫かなあ。完全にエンタメ枠だけど……」
テレビの視聴者にとってはMagiaGameの全容はよくわからなかった。
それでも国内では異例の盛り上がりを見せていた。
MagiaGameの全容を知っているのは川瀬見紀良と川瀬見さつきの二人だけだった。
しかしその二人は考え方には齟齬が発生し、噛み合わないようであった。
だからMagiaGameはプラン通りにはいっていない。
そんなものをテレビで放送して良いわけがなかったが、巨額の投資で行われているイベントを中止にするわけがなく、やむを得ない事態であった。
川瀬見紀良は大会本戦の参加者だけを残して、魔法少女たちを一人残らず殺してしまった。
「ふん、骨のない奴らだった……。あとのことはさつきに任せるとしよう」
無責任に彼はつぶやき、無責任に彼は大会主催者としての仕事を放棄した。
その無責任さがすべてのねじれの原因だった。
そのねじれはとどまることを知らない。
ねじれて、ねじれて、ねじれていく……。
――そして、闇のゲームが始まるのだ。




