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小説家になる300の方法  作者: 朱鷺田祐介
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その3 RB79「ボール」に乗る



 もう少しこだわりの話をしましょう。


 まず、RB79ボールが何か分からない方のための説明をしましょう。

 これはリアル系SFロボット・アニメの雄『機動戦士ガンダム』(いわゆる初代ガンダム)で描かれる1年戦争の末期、連邦軍が決戦のために投入したモビル・アーマーです。


 ガンダムやザクなど、人の形をしているものは、モビル・スーツ(MS)と呼ばれますが、実際のところ、人型というのは色々大変なので、海中機や航空宇宙機の中には、もはや人型をしていないものがあり、モビル・アーマー(MA)と呼ばれます。大戦末期、とにかく数を稼ぎたい連邦軍は、モビル・スーツの不足を補うため、丸い球体の一人乗り宇宙作業艇に、マニュピレーターとキャノン砲と固形燃料式ブースターを付けただけの支援用宇宙戦闘機を大量生産し、戦場に投入しました。


 これがRB79「ボール」で、宇宙船の脱出ポッドに毛の生えたような物ですから、貧弱です。次々撃墜されます。ジオンのMS、ザクに蹴られて吹き飛ぶシーンすらあります。


 後に作られた外伝のOVA『MS08小隊』では、ボールでザクに挑むのは自殺同然だ、という話もあります。まさに「宇宙そら飛ぶ棺桶」です。


 ところが、おそろしいもので、この「ボール」にもファンがいます。


 ボールの高級プラモを作ってかっこよく改造したり、ペイントしたり、あるいは、ボールに乗るパイロットの活躍する小説を書いたり、ボールの改造バリエーションを設定したりしています。知人のアニメ作家などは「ボールの事なら一晩でも語れる」と豪語します。


 実はこういうこだわりを持っている人は、イマジネーションをフル活用しています。


 彼らは必ず夢想するのです。


 ボールに乗ったら、どうなるのか? ボールを的確に運用するには? ボール乗りのエースの話とか、ボールから見たソロモン(末期の重要戦場)とか、ボールでエルメス(ジオン最強のMA)と戦う方法とか、ボールで大気圏突入する(この当時、出来るのはガンダムだけ)とか、戦後、残党狩りをするボール小隊とか、『MS IGLOO』のコミック版に登場する水中用ボール小隊はシャーク・ペイントがカッコイイねとか。


 どうです、ボールが凄い存在のように思えてきませんか?


 こだわりのエネルギーは、作家に「書く衝動」を与えます。それが作家を突き動かすのです。そうやって、ガンダムの小説を書くまで行ってしまった人の一人が福井晴敏だったりします。


PS:昔々、「2ちゃんねる」にボールでソロモンに出撃する兵士からの手紙というスレが立っていました。これが泣ける。  



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