その1 「名刺に『作家』と書く」
まず、作家になるために、国家資格は必要ありません。
ですから、あなたが名刺に『作家』という肩書きをつけたら、あなたはもう、作家です。
ああ、ちょっと逃げないで下さい。
変な話かもしれませんが、実はコレ、あなたが作家になるもっとも早くて、安い上に、非常によく効く「魔法のテクニック」なのです。
まず、騙されたと思って、『作家』という肩書きをつけた名刺を200枚作って下さい。印刷屋さんに頼めば3時間で出来ます。何年か前から存在する名刺自販機なら、あっと言う間です。そうして、会う人、会う人にこの名刺を渡します。もちろん、あなたのペンネームと本名、連絡先、メールアドレス、携帯番号を書いておきましょう。
この200枚を配り切って、まだあなたが名刺を増刷できれば、きっとあなたは、作家になっていますよ。
いや、本当に。
なぜならば、名刺の肩書きは「覚悟」だからです。
あなたが「作家」の名刺を渡せば、相手は必ず問いかけるでしょう。
「どのような作品をお書きで?」
たとえ。どんな形でもあなたは返事をしなくてはなりません。
「短編をぼちぼち」
「こんなジャンルのこういう作品を」
最初は、はったりでも、妄想でも構いません。やがて、あなたは小説を書くか、名刺を投げ捨てて、こんな夢は忘れるかの選択を迫られます。前者を選んだならば、あなたは作家の仲間入りをしたと言えるでしょう。
私は二十年前、フリーのライターになりました。その時、「フリーライター」という名刺を作って配り、色々な人から仕事をいただきました。その後、テーブルトークRPG(以下、TRPG。アナログゲームの方です)の仕事を始める際に、肩書きが無いのも何なので、TRPGのセッションを仕切る「ゲームマスター」という役職を肩書きにしました。すると、ゲームマスターのやりかたに関する本を何冊か書くことが出来ました。取材の関係で、この名刺を東京ゲームショーなどで配ったら、ゲーム関係の仕事もいくつか出来ました。
誰かが言っていました。
「人は、自分が望んでいる物にしかなれない」と。