思いを受けて
・・・・・・・・ようやく、本来の主人公を出せた・・・・長かった・・・・・・・・・・本当に・・・・・・・・・・まだ、この戦いが終わっても、前哨戦と最終決戦があるんだけどね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「行くのか・・・」
「ああ、呼ばれたからにはいかなくてはいけないだろう?」
「予定と違いあやつら二人が居ない状態でな神卸だ・・・意識だけしか飛ばす事しか出来ないのだぞ・・・しかも、恐らくこの神卸により、魔王に存在がバレてしまう・・・下手をすればあちら側の神にすらな・・・・」
そう言って上を見上げる創造神・・・だが、俺が行う事は決まっている・・・
「行くしかないだろう・・・だって、あれだけ純粋に誰かを助けたいその一心で神卸を行っているんだからさ・・・」
そう、神卸は神と神を卸す巫女とをつなぐ橋となる。つまり、勇者が神卸をした瞬間、その時の思い、決心が流れ込んできた・・・今まで勇者でありながら何も出来なかった思い、くやしさ、守られているばかりの日々による、自分への苛立ち・・・そして何より、目の前に自信が助けれられない人々を見る事しか出来ない無力さを彼女の思いを受け取っていた・・・
今まで彼女は、神卸をして、人々の問題を全て解決してきた・・・国同士の問題、経済、食糧問題、争い、本当に様々な問題を解決してきた。しかし今回、神卸で解決できない問題が出来、人々が死んでいくのを黙って見ているしかいられなかった・・・
悔しさ、悲しみ、憂い、そんな思いを持って、彼女は神卸を今行っている・・・黙って見過ごせる訳が無かった・・・
「行けたとしても、行えるのは不完全な神卸だ・・・その為お主の意識を現世の魔界に飛ばすのが限界だろう・・・本体はこの世界に置き去りになる・・・出来る事は少ないぞ・・・」
「それでも、何もしないよりましだ・・・」
そうだ、力不足を嘆き、何も出来ない自分に憂いながらも、それでも、諦めず自分の出来る事を精一杯している彼女に・・・何もしないという訳にはいかないだろう・・・少なくとも俺は今彼らに手を差し伸べる事は出来る・・・
「神卸をすることにより、この作戦が失敗する可能性があったとしてもか・・・」
「あいつらが死ねばどちらにせよ、この計画が破綻するんだろう?だったら、手を貸さなければどちらにせよあいつ等は死ぬぞ・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・勇者達の死ぬ運命をつぐがえす方法はこれしか無い・・・俺はそう思っている・・・」
創造神はゆっくり瞼を閉じて・・・静かにこう言った
「解った・・・別世界のお主に頼むのは筋違いかも知れんがよろしく頼む・・・」
「そんなの、この計画を聞いた時から関わっているんだ・・・今更だろ・・・」
「・・・・・頼んだぞ・・・人神ロイドよ・・・」
「・・・・ああ・・・」
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「話をしなくて良かったのか・・?」
「どうせ、すぐに会えるでしょう?勇者が神卸をしたという事は、ロイドが神卸で現世に降り立った地点で魔王にバレるのだから、その魔王が何も手を打たない訳が無い・・・それに、神卸をした時点で、笑いの神と知識の神が気づかない訳が無い・・・すぐに勇者達の場所を特定して、合流・・・多分そのまま神卸をされて私も呼び出されるわ・・・」
そう話した彼女は大きな欠伸をした・・・彼女の姿は子供のそれと変わらないのだが、話し方は長者を感じる余裕のある話し方をしている・・・今なお緊急の状況のはずが言葉だけでなく、雰囲気すら慌てた様子もなく余裕のある振る舞いをしている・・・
「・・・上手くいくと思うか・・・?」
「正直解らない・・・だけど・・・」
そう言うと、彼女は創造神を見てこう言った・・・
「今の不完全な神卸なら解らないけど、彼が勇者によって本当の意味で現世に降臨さえすれば、誰にだって負けない・・・」
そして彼女は、言葉を区切った後、こうはっきり言った・・・
「それが、例え神だろうと・・・」
・・・その目には確固たる自信に溢れていた・・・・




