首都ダエイ
完全なシリアス回、すこし変更、王女様エルフにしました!
「うあ・・・・」
私は目を覚ました・・・・ああ・・・そうか・・今日は宿屋に泊ったんだ・・・久しぶりベットの寝心地を堪能してベットから降りる・・・・あれ?そう言えば、ジュルは?
「ねえ?ちょっと起きて・・・」
私はルウェールを起こす・・・
「・・・はあ・・・どうしました・・・?」
「ジュルが居ないんだけど・・・ルウェール何か知ってる?」
私がそう言うと・・・ルウェールが少し固まった・・・
「えっと、解りませんが、散歩しているんじゃないですか?」
「・・・うーん確かに・・・一応、ルザーとダールにも聞いてくる!」
「ちょっと待って!!」
「えっ?!」
いきなり大きな声をあげたルウェールにびっくりしながら止まる・・・
「えっあその・・昨日何だか飲み過ぎたみたいで、まだ寝てるんじゃないかなあって・・・・」
「ええ!だったらなおさら起こさないと!!不衛生な生活続けていたら駄目になるよ!!」
そう言って、私は男性部屋に向かう・・・
「ま・・・待って!!」
慌てて、ルウェールが付いてくる・・・どうしたんだろう?
「ねえ・・・ルウェール・・・何か隠し事していない?」
「えっ・・・いや・・・別に・・・その・・・」
ルウェールは素直な子だ、隠し事は顔に出る・・・だけど、だからこそ僕は聞けない・・・かわいそうだから・・・
「解った・・・ルザーに聞くね!」
「待ってーーーー!!!」
私は、男子の部屋に行きドアを開ける・・・もしかしたら、着替え中かも知れないが、ダールのあの姿を毎日見せられているのだ、今更どうってことはない!
「ルザー!ちょっとききたい・・・・」
僕は次の言葉を言えずにいた・・部屋の中には、居なくなっていたジュルの他に、壊れた鎧を着た女性と、少しおしゃれな服を着て帽子をかぶった、見知らぬ女性2人が居たのだった・・・・・
――――――――――――
あの後、問い詰めたらルザーがこう説明してきた・・・
僕達が寝た後にちょっと散歩に出かけて見たくなって、4人で散歩に行った・・その後、帰ろうとした時に、悲鳴を聞いて駆け付けた所、襲われていたので助けたと言う話・・・
その後、帰って来たが、また襲われるかもしれないという事で、この人達を保護していたという話だ・・・・
「・・・・・だけど、ルウェールは何で?僕を止めようとしたのかしら?」
「そりゃあ、知らない女性が居るって事だから、気を使ったんだろうよ・・・」
「・・・・本当にそれだけかしら?」
僕はそう言って睨んだ・・・それにしてはルウェールは相当慌ててたように感じたが・・・
「・・・そりゃあ、闘った相手が魔族だったからだろ・・・」
そう言ってきた・・・魔族!!
「魔族・・・って闘ったの!!何で?!」
何でこんな所に魔族が・・・
「その辺は、そちらさんが一番知っているんじゃないか?なあ?」
そう言って、ルザーが二人を見る・・・
「・・・・・・・・・解りました・・・お話します・・・」
そう壊れた鎧を着た女性は言った・・・
「私の名前は、ヴァエ、元ダエイの王女様の護衛でした・・・」
ダエイ・・・確か首都の名前がそうだったような・・・えっ・・・まじ?
「元って事は・・・・」
「ええ、魔族に今ダエイは支配されています・・・」
私は余りの出来事に言葉が出なかった・・・えっ、国の中心部である首都が魔族に支配されている・・・?
「・・・あの日の事は、今でも鮮明に覚えています・・・・」
そう言って彼女は語り出した・・・首都がどうなってしまったのかを・・・
――――――――――――――
私は姫様の護衛兼お目付け役でした・・・姫様はいつも悪戯ばかりしておられて、それをいつも王様に報告していたんです・・・そして、その日も・・・
「姫様!早く来てください!!」
「いやよ!何よ!!食事にコショウをたくさん入れて何が悪いの!!」
「それが自分で食べる者なら何も言いません!!何で自分の親である国王様の食事にそんな事するんですか!!いいからついてきなさい!!」
そう言って、姫様を連れて行く・・・それが最後の日常風景だと知らずに・・・
「失礼します・・・」
私は部屋に入る・・本来ならノックとかしなくてはならないのだが、何時も連れてくる内にそんな事をしなくなっていた・・・・そして、何時もの様に王様がいる玉座を見ると・・・
そこには、何者かに首を絞められている王様が居た・・・
「曲者!」
「ま・・・て・・・」
王様が口を開く・・・何故・・・そんな疑問も次の言葉で消え去った
「ひ・・・め・・・を・・・つ・・・れ・・・て・・逃げろ!!」
「くっふふ・・・逃がすとでも・・・」
次の瞬間、影が私に迫ってくる・・・何が・・・私が固まっていると・・・
「がは・・・・」
王の護衛隊長であるガジャが、影に貫かれ血まみれで目の前に立っていた・・・
「ガジャ!」
「逃げろ!こいつ等、魔族だ!!敵わない!!」
魔族こいつが神が言っていた・・・私は無意識に手を剣にかける
「駄目だ!ここに居る奴等俺を除いて全員死んだ!!時間だけは稼ぐ!!逃げろ!!」
全員死んだ・・・えっ王家の護衛部隊が全員・・・私が呆気に取られていると、
ガジャが魔法を使った・・そうだ、彼は魔法すらも国随一の力を持っている・・これなら・・・だが、その魔法すらも、魔族には届かず、ただ消えるのみだった
「行け!!!」
ガジャは魔法を打ち続けながら叫ぶ・・・
その言葉を聞いた瞬間、呆然としてる姫様の手を引き、駆け出していた・・・何だあれは・・・何だあれは・・・何だあれは・・・と頭の中で繰り返して・・・・
城の中は地獄だった・・・・数えきれない程の魔族が居て、城の兵士は無残に殺され、その死体すら弄ばれている・・・
私達が逃げれたのは本当にただ運が良かっただけ・・・王家と一部の人しか知らない抜け道を使って、国から抜け出したの・・・それが、事の真相・・・
―――――――――――――
「これが、私達の国で起きた出来事よ・・・」
そう言って言葉をしめられた・・・・何それ・・・・
「しかも、あいつら本当に頭がいいらしいな・・・情報規制までしているぞ・・・」
「何だと?!」
その言葉にルザーがそう言う・・・
「私達の城が落ちたことを国民に知らせていないらしい・・・だから、表向きはまだダエイは何も起きていないことになっている・・・」
「そんなのすぐにばれて・・・」
「王に変装して姿を現せばいくらでも誤魔化せる・・・見ただろう、昨日のあの兵士、姿形は人間に簡単に化けられるんだよ、あいつらは・・・」
そう言うと、女性は黙った・・・・そう言えば・・・・
「あの、すみません・・」
「んっ?何だ?」
「いえ、大したことが無いのですか、名前聞いてなかったなあって・・・」
そう言えば、話だけ聞いて名前も聞いていなかった・・・
「ああ、すまん、私は姫の付き人であるヴァエだ・・・そして、こちらは・・・」
そう言って、帽子をかぶった女性は帽子を取って頭を下げた・・・えっ耳がとがっている・・・?
「私、元王女、ナールと申します、以後お見知りおきを・・・」
えっ?
「王女様!!?」
僕の声が部屋に木霊した・・・
――――――――――――
「うるさい!」
そう、ルザーに言われる・・・だって、
「だってお姫様だよ・・・というより、何でルザーは落ち着いて・・・」
というかこの耳!完全にエルフだよ!!お妃が元エルフだって聞いてたからハーフ何だろうけど・・・エルフなんて初めて見たよ・・・
「話の流れで解るだろう・・・言われる前に気づいていたから言われてもそんなに動揺しなかっただけだ・・・」
そう言われて、ああ、確かに王女様と逃げたって言ってたっけ・・・だとしても・・・
「それで、あんたらはこれからどうするんだ・・・」
そんな僕の心情を無視してルザーは話し続ける・・・いや、確かにその話重要だけどさ・・・もう少し時間をおいて聞いて欲しい、心の整理をしてから・・・
「ああ、私達は船を使って別大陸に行こうとしたのだが・・・」
「どこも貸してくれなかったって訳か・・・」
そう言われて思い出す・・・この街では村人すら船を出さない事を・・・
「・・・そう言えばどうして別大陸なんです?」
僕は疑問に思いそう言う・・・
「逃げる為にですよ・・もう、この大陸では姫である事だけで狙われてしまうので・・・・」
そう言って遠い目をした・・・
「ダエイは・・・」
「・・・・そのままです・・・もちろん復讐したい気持ちもありますが・・・魔族を倒したからと言って、城の中で死んだ人達が生き返る訳でもありません・・・それに曲がりなりにも魔族であの首都は今成り立っています、それを壊してまでは・・・」
「でも・・・魔族だって証明すれば・・・」
「どうやって・・・?いえ、すみません・・だけど、もし証明出来たとしても、国としてはもう成り立たないでしょう、国王どころか、城の者はすべて死んでしまったのですから、首都にいなかった者達も今ではどうなっているか解りません・・・」
「でも・・・」
「いいじゃねえか!というより、もし復讐したいとこの人が言ったらどうするつもりなんだ?俺達にもやるべきことがあるだろうが!!」
そう、ルザーに言われる・・確かに解っている・・でも・・・・
「?やるべきこととは?」
「・・・ああ、他言無用でいるのなら話すがどうする?」
そう、ルザーが言うと・・
「解りました・・・姫様は・・・」
「・・・・私からもお願いします・・・」
そう言ってきた・・・
「おい・・・話してもいいか・・・」
「えっ?」
「えっ?じゃないだろう・・お前がリーダーなんだろう・・・話していいかの最終決定はお前が決めないと・・・」
そう言われて、思い出す・・・ああ、僕が勇者なんだと・・・
「・・・解った、話してあげて・・・」
そう言った後、ルザーが話した、私達が魔界を目指して旅をしている事、私が勇者である事、そして、今その魔界に行く為の船が見つからない事・・・全てを話した・・・
「・・・・・・・・・・・」
「言いたい事は色々あるかも知れないが、とにかく、俺達はお前達に構ってはいられない・・だから・・・」
「・・・本当に・・・」
「あっ?!」
「本当に魔界を・・・魔族を・・・魔物を・・・今はびこっている者達全てを倒すことが出来るのか・・?」
「さあてな・・とにかく俺達は言われたことをするだけだ・・今くいくかはその時にしかわからない・・・」
そう言って、しばらくたった後、ダイエがこう切り出してきた・・・
「・・・船を貸してくれるかもしれない人達を知っている・・・」
とそう言ってきた・・・・
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「なあ、何であんなに取り乱したんだ?」
俺達はあの後、船を貸してくれるかもしれない人達を案内してくれる約束をあいつらから取りついた・・まあ、変わりに俺達の仲間に入れてくれと言ってきたが、それも結局ルジャが認めた為、仲間に入る事になった・・・
だが、今はそんな事より気になる事がある・・・
「今回のは別に内緒にしておく秘密でもないだろう・・・」
そう、ルウェールに言う・・・まあ、理由は何となくわかるがな・・・
「やはり・・内緒にしている事が尾を引いているか?」
そういうと、びくっと反応した・・・やっぱりな・・・こいつ多分、内緒にしなければいけない事と、内緒にしなくてもいい事の判別が付かなくなっているのだろう・・・それだけ、こいつは・・・
「・・・嘘を付かせているのは申し訳が無いが・・お前だって・・・」
「解ってる・・・解ってるよ・・・だけど・・・」
「・・・・・」
「・・・・ごめん、少し泣かせて・・・」
そう言って、ルウェールは俺の胸に飛び込むと泣きだした・・・・ああ、本当にくそったれな世界になっちまった・・・




