ファルの思い
やっと、第二章終った!!!次第三章だよ!!嫌だ!!!
ファルは怒っていた・・・何だか、人間と戦争するって言って、兄様が連れて行かれてしまったのだ・・・私も行くと言ったが・・・力不足だから駄目だと言われてしまった・・・ブー・・・お兄様ほどじゃないけど私だって強いんだから・・・だけど、その自信は兄様が帰ってきて粉々に打ち砕かれた・・・
兄様が壊れた・・・兄様が帰って来た時、兄様の身体が震えていた・・・そして、部屋に入って・・それから会っていない・・・母上に会いたいと言ったが会わせてもらえなかった・・・・いや違う・・会おうと思えば、会えるはずだ・・・ただ、怖いのだ・・・あの震えた、怯えた目をしていた兄様と会うのが・・・・
一週間後兄が部屋から出て来た・・・・その時、顔が元に戻っていたからすっごく安心をした・・・だけど、
「ちょっと出かけてくる・・・」
そう兄様が言ってきた・・・何故だか私は無性に言ってほしく無くて何度も行かないでと言った・・・
「すぐ戻ってくるから・・・」
そう言って兄様は出かけてしまった・・・
その後、しばらく兄様は戻ってこなかった・・・だけど、戦争で周りが慌ただしさがピークに達したころ・・・兄様は戻って来た・・・大人の姿で・・・私は困惑した・・・本当に兄様かと・・・・・だけど・・・
「ファル・・元気にしてたか?」
そう言って、私に近づき、私を撫でる兄様は・・・どう見ても私の兄様だった・・・
あの後、兄様は一人で人間軍に突っ込むと言ってきた・・・私は反対をした・・・母上とジェニーに何度も講義をした・・・だけど・・・
「お兄ちゃんを信じてあげて・・・」
そう言う母上の言葉は・・・何故かどこか悲しそうで・・・私はそれ以上に何も言えなかった・・・・
私は母上と一緒に戦場に来た・・・始めてくる場所だ・・・みんなピリピリしている・・・城の中でもピリピリしていたがそれ以上だ・・・
「なあ、魔王様、始めは待機って言っていたが、何でだ?」
「さあな・・・何か秘策でもあるんじゃないか?」
秘策でも何でもなく、兄様が一人で突っ込もうとしているんです!!そう言いたかったが・・そんな事をしても無意味だし・・・それどころか、いらない混乱を巻き起こすのが解っていたので何も言わなかった・・・
そうこうしている内に、人間軍が動き出した・・・そこに一人誰かが飛んでいく・・・
(兄様・・・)
人間軍も一人空を飛んできた・・・大丈夫なのか?そう思ったがすぐ、そいつは墜落していった・・・
(良かった・・・)
そう思ったのもつかの間・・・・目の前に現れたのは地獄だった・・・人間達が悲鳴をあげる・・・ねえ・・・あれは・・・何・・・?あれ・・・兄様がやっているの?・・・ねえ・・・?
そんな疑問も誰も答えない・・・暫くその光景を眺めていると、途端に人間の兵士が頭を抱えだした・・・何が起きているの・・・?そんな思いも裏腹に一瞬にして人間が消える・・・そして・・・
あれは・・・何だろうか・・・言葉に言い表せない絶対的存在・・・それが・・目の前に現れた・・・そして・・次の瞬間、兄様と共にそいつは消えた・・・
えっ何?何が起きたの・・・?あれは何・・・?
「兄様・・・」
私は弱弱しくつぶやくしかなかった・・・・
しばらく時間が経った後・・・兄様は戻って来た・・ボロボロの姿で・・・リイムと言う契約した精霊もいたが、そんなのはどうでも良い!兄様!!父上が連れている兄様に駆け寄る・・・
「休ませてやれ・・・」
そう言って・・兄様の部屋に連れて行く・・・
周りの兵士は化け物を見るような目で兄様を見ている・・・ねえ、助けてもらったのに・・・その目は無いんじゃないの・・怒りを感じた・・だけど、同時にここで暴れても兄様が悲しむことを重々解っていた・・・
だから、我慢をした・・・結局何も出来なかったのは私も同じなのだから・・・・
その後、夕食に兄様は起きて来た!私は嬉しかった・・・その後の兄様の言葉を聞くまでは・・・
「別の世界に行く・・・」
そう兄様が言ってきた・・・えっ・・・どういう事?戦争は終わったのでしょう?兄様ともう一緒に居られんでしょう?
「嫌です!!」
私は思わず叫んでいた・・・
「いや、どうしても行かなくちゃ・・・・」
「だったらファルも連れて行って下さい!!」
そうすれば、兄様と離れなくてすむ
「ファル!!」
母上が私に何か言おうとし王としているが関係ない・・・私は兄様の胸に飛び来む・・・兄様が頭を撫でてくる・・・何時もの兄様・・それが居なくなるなんて嫌!!
「ごめんな・・・・」
「謝らないで!連れて行って・・・」
何で・・・どうして・・・
「本当にごめん・・・」
すると、兄様がぬいぐるみを出してきた、初めて渡してきた兄様の手作りの人形、お世辞にも奇麗とは言えなかったが、兄様が作ってくれたもの、今でも大事に持っている人形、そんな物と比べられない出来のぬいぐるみが目の前にあった・・・
プロの様に奇麗な縫い目では無い・・・それが、手作りだという意味を表していた・・
「これをあげるから・・・」
兄様はこれを作るのに大変苦労したのでしょう・・あんなに不器用だったのに私の為に人形を作ってたのに、ここまでうまく作るのにどれだけ苦労したか・・・
普通の時なら飛び上がるほどうれしい・・・だけど、今、欲しいのはそれでは無い・・・
私はいやいやと首を振る・・・
「なあ・・・・ファル・・・父上、母上が好きか?」
すると、私の頬を触って来た・・・無意識に兄様の目を見る・・・真剣な眼差しだ・・・
私は首を縦に振る・・・
「だけどな・・・世界はその父上、母上・・・それどころか世界そのものが自身を壊そうとしている・・・いや、そうなるように仕向けているらしい・・・」
・・・・何なんですか・・それは・・・私は無意識に涙が出てくる・・・恐らく兄様に抱き着いた時から泣いていたのでしょう・・目は既に腫れていました・・・
「だけど、それを防げるかもしれない方法があるんだ・・・それを兄さんにやらせてくれないか?」
「だったら・・・私も・・・」
私はすがるように言う・・・だけど、兄様は首を横に振る・・・
「俺はリイムのおかげでかなり強くなった・・・だけど、それでも勝てるかどうか怪しい相手・・・いや対峙したら確実に負ける相手が敵なんだ・・・解ってくれ・・・・」
「だったら兄様だって危ない・・・」
「そんなの承知の上だ・・・大丈夫、勝てなくても逃げるから安心して・・・・」
そう言って、兄様は私の頭を撫でてくる・・・私は泣き疲れるまで・・ずっと兄様の胸に居た・・・・
私は目を覚ました・・・すると、母上が近くにいた・・・
「起きたのね・・・」
そう言って、私を撫でてくる・・・私はさっきのやり取りを思い出してまた涙が出てくる・・・・
「悔しい?」
私は頷く・・・何が悔しいのか解らないまま・・・
「力が無い・・何も出来ない・・・そんな無力感味わせたくなかったのにな・・・」
そう言って、更に私の頭を撫でてくる・・・ほとんど兄様しか撫でられたことが無かったが、母上のも・・・安心する・・・
「ねえ、お兄ちゃんの役に立ちたい?」
そう私に聞いてくる・・・私は頷く・・・
「それがどんなにつらい事でも・・・」
私はもう一度頷く・・・・
「解った・・・貴方を強くする・・・貴方が諦めない限り、無限に・・・・」
そう言って私の頭を撫でる・・・
「だけど、今回は諦めなさい・・・今のまま言っても足手まといになってしまうわ・・・それどころか邪魔にね・・・」
その言葉にまた、涙が出てくる・・・
「それが嫌だったら強くなる事・・・あの戦場に出て来た神よりもずっと‥‥ね」
そう言ってまた撫でてくる・・・神・・それがあの戦場に出て来た敵・・・
「だから、今回は見送りましょう・・・お兄ちゃんが帰ってきてまた旅に出る事になった時、決して足手まといにならない様に強くなってね・・・」
私は撫でてくれている母上の顔を見る・・・その母上も泣いていた・・・・ああ、そうか、母上も我慢しているのだ・・・・
私は頷き母上の胸で泣いた・・・
出発の日、私はこの日に合わせてネックレスを作った・・・そして、そのネックレスを兄様の首にかけ・・・笑顔で送り出した・・・
兄様が帰って来た時、絶対に驚かせて見せる・・・そう心の中で決心して・・・
それが、訪れる事が無いことを知らずに・・・私は送り出してしまった・・・・




