あの子の思い
俺はあの後、猛攻を受けていた・・・先程までの攻撃が遊戯に等しいものだと思い知った・・・もう体力も無いのに何とか障壁をはり、何度も吹き飛ばされ、何度も壁に打ち付けられた・・・
壁はどんな衝撃を受けても壊れず・・代わりに俺の骨が何度も折れた・・・内臓も何度もぐちゃぐちゃになり、何度も回復魔法を使った・・・・
「次は・・・」
「な・・・・あ・・・」
何とか声を振り絞る・・・どうしても聞きたい事があるからだ・・・
「な・・ん・・・で・・・け・・・ちゃ・・・く・・・を・・・はあ・・つ・・・け・・な・・い」
そう、こいつは俺を何度も殺す機会があった・・・殺さなくても、無力化する方法は他にもたくさんあったはずだ・・・なのにしてこない・・・
「・・・・・」
「・・・た・・め・・・し・・がは・・て・・る・・・の・・・か?」
俺は何とか声に出す・・・そう、最初からそうだった・・・この子は始めから勝負と言うより何かを確認しているようだった・・・恐らく俺を見ていたのだろう・・・何故?俺が契約に値するか確認する為?それとも・・・
「な・・・に・・・を・・・・ため・・・して・・るんだ・・?それとも・・・・かく・・・に・・ん?」
何とか言葉を紡ぐ・・もう声すら出なくなっている・・
「・・・・・・・ねえ、何でそんなに頑張ってるの?何も変わらないのに?」
そう、彼女が聞いてきた・・・?変わらない?何が?
「未来何て全て決まっている物・・・なのに・・何で頑張れるの?」
こいつは何を言っているんだろう?
「み・・ら・・・い・・・がきま・・・ってる?・・・誰が・・・言った?」
「天智の書・・・・」
天智の書?
「て・・んち・・・の・・・書・・って・・何だ・・・?」
「・・・ジェニーが持っている知者の書のスキルの上位互換」
えっ?ジェニーってスキルっていうもの持ってたの?
「ジェ・・・二ー・・・・が・・ス・・キ・・ル・・・・・持って・・・る・・・の・・・・初めて・・・聞いた・・・」
「・・・天智の書というのは簡単に言えば、何でも知る事が出来る、万能の書、この空間だって、天智の書で作った物」
ええ、何そのチート・・・この世の全てが解るってそんなの強すぎるだろう・・・
・・・ああ、ジェニーが今まで察しが良かったのってこのスキルのおかげだったんだ。この子の持っているスキルの下位互換だからどこまで解るのか解らないけど・・・
そんな事を考えていると・・・
「・・・だから、私は何もしようとも思えない・・・」
そう、弱弱しくつぶやいた・・・
「・・・だから、私は何もしようとも思えない・・・何かをしようとしても、すぐにその結果が解るし、何かしてもしなくても、そんなに未来は大きく変わらないのだから・・・」
そう言い放った・・・
「未来・・・が・・変わら・・・ない?」
少し呼吸が楽になって来た・・・けど、まだ息が上がっている・・・
「天智の書で見える未来は変わらない・・・例え天智の書で見た一つの世界線と違う動きをしても・・天智の書で見える他の膨大な数の別の未来に置き換わるだけだから・・・」
「・・・それは・・・未来が・・・変わったのでは・・?」
そういうとその子は首を振る・・・
「ううん、結局の最終地点は一緒・・・」
そう言った・・・
「最終・・・地点・・・?」
俺は解らないので繰り返した・・・
「そう、この世界の終焉終わり・・・多分だけど・・今回の戦争負けたら、世界は滅びる・・・いや勝ってもかな・・・多分、神自身がこの世界を終らせる・・・」
えっ世界を終らせる?
「世界が・・・終わる・・・それって・・・・生きてる者は・・・」
「世界を消滅するって言ってもいいかもね・・・生きる者全てが居なくなると言うより、この世界と言う世界線が無くなる・・・だから、この世界に生きてる者はきれいさっぱり存在しなくなる・・・」
そう言われて寒気がした・・俺が今までこの世界であって来た人が居なくなる・・?
「それは・・・何故・・?何故・・・神は・・・そんな・・・事を・・」
「さあ、だけど、前にバイドとジェニーが神を召喚しているのが関係しているんじゃない?」
父上!ジェニー!何してるの!!と言うか待って
「世界・・・が・・・滅びる・・のに・・・お前は・・・何も・・・しないのか・・・これだけの力があるのに・・・」
「?どうして何かしないといけないの?」
「世界・・・が滅びたら・・・お前も・・死ぬんだぞ・・・」
「だから?」
「・・・え・・・っ・・・?」
「死んだから、何か変わるの?どっちにしても世界に興味が無いから、生きてても、死んでてもどうでも良い・・・」
そうこの子は言い切った・・・・何だよそれ・・・・
「死ぬのは・・・・怖くないのか?」
「?何で怖いの?ただ元に戻るだけなのに・・・」
ああ、この子は価値感すら違うんだな・・・・だけど・・・
「俺は・・・嫌だな・・・」
そう、知らずに呟いていた・・・目の前の子が不思議そうな顔をしている・・・
「なあ・・・お前の・・・その・・天智の書・・・は・・・絶対なのか・・・・」
俺はそう不意に口に出していた・・・
「天智の書は外部の世界の人に関わる出来事はうまく機能しない。・・・転移者・・つまりあなたにはあまり天智の書を機能することが出来ない・・・」
「・・・そうか・・・つまり・・・それは・・・俺が・・動けば・・天智の書・・に書かれている・・未来は変わる可能性があるって・・・事だよな・・・」
俺はその言葉を聞くと、体に魔力を纏わせ始めた・・・
「?話を聞いてた?今回の戦争で人間側に手を貸しているのは神なのよ・・・今の私にすら勝てないのに・・どうやって・・・」
「じゃあ・・・お前に・・勝てば・・・可能性が・・あるって考えてもいいのか?」
そう言った・・
「・・・・・・勝てるとでも・・・そんな状態で・・・」
ああ、確かにもう魔力もスタミナもほとんどない・・・だけど・・零じゃない!
「ああ、勝てるさ・・・」
「そう、じゃあ、始めましょうか・・・」
そう言うと彼女は100個の直系1mの火球を繰り出した・・・




