勇者の思い 前編
俺の名はラーハイ、現勇者だ!何だか以前の勇者が失踪した挙句、神に見捨てられたらしく、俺が勇者の紋章が浮き出たのだ!!
俺らは今5人パーティでチームを組んでいる、戦士であるウェンは剣では右に出る者はおらず、賢者であるエブエは様々な魔法を放ち、回復魔法まで使い、盗賊であるリカイはダンジョンにおける罠や、索敵、諜報役と大活躍している、魔法使いであり、紅一点のリャルはすざましい火力を持つ魔法を放てる・・・
俺自身、勇者になって、凄まじい力と勇者特有の魔法を手に入れたが、それが無ければ、こいつ等と闘えることなど出来なかった・・・
そんな中教会で邪悪な魔族を滅ぼす様に神託が来た・・・俺達はこれまでの修行の成果を試すことが出来る事を・・・神に見せられる事を喜んだ!!
しかも、今回神が全面的に力を貸してくれるらしい・・・どういう意味かは解らないが、神が味方になるのだ絶対に負けは無い!
様々な国から兵士が集められた・・・様々な武勇を持った者、そういった者を中心に本当に様々だ・・・これだけの国から集められる事は無いのではないか?
まあ、俺達がいれば、この戦争の勝利は間違いが無いのだがな!
俺は今、神の聖戦の闘いに赴いている、今回の作戦はこうだ・・・戦士を除く、俺達4人が魔族の陣地の反対側に行き奇襲をかける作戦だ・・・
反対の陣地にはリカイが反対側に行き転移場所をマークしている・・・敵陣にばれずに移動できるその隠密本当に頼りになる!!
神からの信託が下った・・・・俺達勇者以外にも加護を与えてくれるというものだ・・・しかも、俺たち以外の兵士は魔族から攻撃を受けても、自らの生命を神にささげる事により魔族を巻き込む爆弾と言う攻撃手段に慣れると言っていた・・・
その上、加護を持っている者はその爆発の攻撃による影響を全く受けないという至れり尽くせりなものだった・・・その上、私達勇者パーティー全員にこれ以上に無い程、加護を付けて頂いた・・・
しかも、死んでも生き返るおまけ付きだ!本来、勇者であろうと死んだ者は生き返らない・・・だが、今回の戦争を含む魔族の闘いで死んでも、教会で生き返らせられるように加護を改良して渡していると伝えられた・・・
ああ、神が私達人間にこれ程の力を頂けるとは・・・この戦絶対勝たなくては!!!
その後、俺達は戦士を旗頭にした集団を見送り、先頭の集団がぶつかったのを確認した・・・本当に爆発しているぞ・・・すげーな・・・そんな事を思いながら、エブエに頼み敵陣奥深くに転移した・・・
俺達は景色が変わった瞬間隠蔽魔法を掛けた・・・まあ、これだけ離れて居れば、そう簡単に見つからないと思う・・・
「・・・・・・敵さんが来たようだ・・・」
とエイブ・・・まじかよ・・・
「ちょっと!こんなに早くばれる何て!結界きちんと張ったの?」
とリャル・・そんなこと言ってる場合じゃないだろう!
「見つかってしまったのはしょうがないだろう!戦士であるウェスが気張ってるんだ!俺達も頑張らないとな!!!」
他の皆も同じ思いの様だ・・・リャルが呪文の準備をしたのを確認した上で飛びだす・・・
「ちょっと・・・」
魔族が何か言ってきそうになったが、関係なしに突っ込む・・・魔族の話を聞いた所で耳が腐るだけだ
リャルの魔法をくらってぶっ飛ぶのを確認してその先に回り込み切り込む・・・躱された?!だが、避けた先にはリカイが居る・・・・ほら攻撃が当たった・・・あいつの攻撃は急所狙いが常だ・・・魔族と言えど、心臓や首を狙われたら生きてはいまい・・・
「つう・・・・」
・・・魔族のうめき声が聞こえる・・・ちいリカイが急所を外すとは!!
しかも、攻撃を受けながら、こちらに魔法で攻撃までしてくるだと!!舐めるな!!
俺は魔族に切りかかる!だが、障壁に阻まれてしまう・・・続けて攻撃しようとしたが、先程の魔法の数段上の魔法が魔族より先程より多く放たれてくる・・・
(やばい)
と思った瞬間、エイブが障壁を張ってくれて防いでくれる・・・助かった・・だが、そんな安堵の暇も無く・・先程より大きな魔法が放たれる・・・
(・・・仲間達を信じる・・・)
そう思い俺は魔法に突っ込む・・・リャルとエイブの二人かかりの障壁で防がれる・・・その瞬間をついて攻撃するが、また防がれる・・・
「何だよこいつ!!」
何で!子供の魔族がここまで強い?勇者である俺がここまで手こずるなんて異常だぞ!!
「黙って!攻撃して!!私達が障壁を張るから魔法は気にしないで!!!」
リャルから激励が飛ぶ・・ああ、そうだな話している暇はない!!
「・・・想像以上ですね・・・」
「・・・・・・・・・・・・・!!」
俺は敵である魔族の強さに舌を巻きながらも攻撃する・・・俺達勇者パーティーは全員、この戦争で今までに無い程加護をもらって戦力がアップしているはずだ!!なのに・・何故、こいつは倒れない!!
今まで数えきれないほど行ってきてコンビネーションは完璧、攻撃のタイミングだって合わせて攻撃しているはず・・なのに何故、こいつは倒れない・・・
そんな事を思っている内に、魔族の子供が一瞬ふらついた・・・
(チャンスだ!)
「もらった!!!」
所詮は子供、恐らく体力が無くなって隙が出来たのだろう・・・そう思って突っ込み・・切りかかった・・・
次の瞬間、目の前に光が襲った・・・何だこれは・・・何故・・・魔族が光魔法を・・・そんな一瞬の思いは隙を作り・・・痛みとなって襲い掛かった
「がああーーーーーー!!!!!」
俺は悲鳴をあげる・・・何があった・・・何で俺の右腕が無くなっている・・・そんな事を考えている内に・・俺の右腕を持ってエイブがやってくる・・・そして、俺の腕を直していく・・・
「治りました・・・」
こいつ、エイブの力は凄い、さすが、俺に次ぐ神に愛された人物・・・この人は本来不可能であるはずの欠損すら直せる・・・神の加護がある者ならその処理は一瞬だ・・・だが、そんな事は今はどうでも良い
「くそ!魔族のくせに!俺の腕を切りやがって殺してやる!!!」
そうだ、今から俺は生意気な魔族を殺さなければ・・・神に選ばれた俺が魔族一匹に後れを取っていては、神に顔向けが出来ない!!!
「いきこむのはいいですが消し炭にはならない様に・・・死んでも生き返ると言っても、体があってのものですから・・・」
ああ、確か戦争前に神からそんなこと言われていたな・・・エイブ自身神託で自ら聞いていた為詳しいのだろう
まあ、死んでも生き返るのなら!死ぬつもりで攻撃しても大丈夫だって事だよな!!!
「・・・・・それにしても何故魔族が光魔法を・・・・」
また、エイブがそんな独り言を言ってきたが・・・どうでも良い・・今はこいつを殺す・・・・!!!
だが、俺の決死の攻撃も致命傷になる攻撃にならない・・・そのまま時間だけが過ぎて行った・・・




