母の決断
ロイドの日記の最後のページを見た時、私は涙した・・・
そして、自分自身が勘違いをしている事に気が付いた・・・
私は今まで、ロイドを戦場に出した事を・・・送り出した事を悔いていた・・・
・・・逃げ出したいはずの彼を強引に戦場に送り出し・・・
そして、彼の心を壊してしまった・・・その事をずっと悔いていた・・・
彼は一言も戦場から逃げ出したいとは書いていなかった・・それ所か、もし、救えなかったら自分の力不足を嘆く描写まであった・・・
・・・彼は逃げ出したいわけでは無いのだ・・・だけど、今布団にくるまっている理由は?その理由も日記を読んでいて何となくわかった、ロイドは優しすぎるのだ、それこそ、殺しに来ている人間達を傷つける事すら嫌がるくらいに・・・
私自身、勇者として魔族を何回、何十回、下手をすれば何百回殺してきた・・・旅を通して、魔族も人間も変わりがないことを学んだが、その前は殺しても何とも思わなかった・・・そう、洗脳されていたから・・・・
今は戦場にいないが、死を身近に感じると言う経験は小さい頃から学んでいたのだ・・・だがロイドは・・・・戦場に行くまで、誰も魔物すら殺していなかったのだ・・・・・
そんな人物が戦場に行ったら壊れてしまうのは必然だった・・・以前戦場でそんな人を何人も見てきたはずなのに・・・それなのに・・・・知らない内に私は本を持つ手に力が入っていた・・・・
・・・・・・・・・・強くしてあげよう・・・・・どんな方法を使ってでも・・・彼がそう思っているのなら・・・・・
私はしばらく考えてそうする事にした・・・今でさえ、強すぎる彼を強くして更に孤立してしまうのでは無いか?そう考えたが、それを決めるのはロイドだと・・・ロイドに決めさせることだと考えた・・
もし、ロイドが少しでも戦場に行きたくないと言ったら、今からロイドに話そうとしている件は言わないでおこう・・・そう決心をした・・・ロイドが強くなりたいと言ってきたときに対する決意も含めて・・・・・
『という訳だから・・・お願い!!』
『・・・・本当にやるのか?今でさえ強すぎるっていう評価何だろう?』
私は今精霊王と言われる、精霊族の頂点と言う人物と念話で対話をしている、名前はスピンだ・・・何故連絡しているかと言うと、ロイドを強くする為にだ
『・・・それでも本人がもし強くなることを望んだら・・・少しでも協力してあげたいの・・・もう私に出来る事が無いから・・・』
『・・・連れてきてもあの子が彼に興味を示すかは解らないよ・・・』
『それでも、何もしないでいるよりはまし・・・・本当は戦場何て言ってほしくは無いんだけどね・・・』
最後はスピンに本音を喋ってしまった・・・だけど・・・・
『だけど、ロイドが本当に強くなりたいと考えているのなら、協力したいの!!!』
『・・・・・・・・・解った、とりあえず、ロイドに話をしてみてくれ・・・彼の了承が取れ次第、こっちも準備する・・・』
『ありがとう・・・』
『それは、全てうまくいってから言ってほしい・・それじゃあ』
それで念話は切れた・・・後は、私の心持次第・・・
私は彼の部屋に入り、話しかける
「・・・・・・・・・ロイド・・・・・・・・・」
反応が無い・・・当り前か・・・・・・これからの事を話す前にこれだけは言っておかないと
「・・・・・まずは謝らせて、今回の戦争何も役に立てなくてごめんなさい・・・・・・私の力は他の勇者が降臨したことによりほとんど無くなってしまったわ・・・・・・・だから、城に居るしかなかった・・・息子を戦場に向かわせて自分だけ安全な場所に居る・・・駄目な母親でごめんね・・・」
・・・何でだろう、涙が出て来た・・何も出来ない私・・・何も救えない私・・・無力ってこういうんだ・・・
「ねえ、ロイドはこれからどうしたい?」
だけど、無力な私にも・・・何か手伝えるかもしれない・・・それが自らの息子を更に孤立させる道だとしても・・・
「貴方が部屋に閉じこもっていたいと言うのなら・・・このままでいいわ!誰にも文句は言わせない・・・」
そう、この道を選んでくれるのなら、私としては嬉しい・・・もしかしたら、この戦争で私達は死ぬかもしれない、だけど、ロイドは、ロイドだけは安全な場所に最悪避難させることが出来る!!!だけど、多分次の言葉を言えば・・
そう確信めいた思いを抱きつつ、更に涙を流しながら言う・・
「・・・それとも強くなりたい・・・?全員を・・・誰も殺さないくても大丈夫なくらい強く・・・・誰も追いつけない強さを手に入れて、戦争を終わらせてみる・・・・・・・・・・?」
その私の言葉を聞いた瞬間、今まで布団から、顔を一度も出した事が無い彼が顔を出した・・・ああ、やっぱり・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・出来るの・・・・・・・・・・・・?」
貴方はその道を選ぶのね・・・その私の発言でロイドは復活した・・・そして、その日、さらなる茨の道を進む選択を・・・彼はした・・・・




