私はジェニー魔王軍の参謀係
何とか一日1話出来てます
私はジェニー魔王軍の参謀だ。
ここ最近、一つの革命が起きた。
そう、勇者と魔王が結婚をしたのだ。
人間と魔族…今まで、争っていた…それこそ、長い月日…世界が生まれた瞬間から争っていたと過言でもない…
そんな2つの種族が手を取り合う…
…本当に…こんな奇跡が起きるとは今まで思いもしなかった…
…人間と魔族、遺恨がすぐに無くなるとも思わない、だけど、それでも、少しずつ変わっていけたらと思う。
そして、今日また一つ転機が起きた。
魔王バイドと勇者ハールの子供が生まれたのだ。
子供の名前は魔王と勇者が二人で話し合い、ロイドとすることになった。
この名前自体ありきたりな名前かもしれないが、魔王と勇者の子として良くも悪くも目立ってしまう。
せめて、名前だけでも目立たないようにと、二人の親心からその名前が決まった。
賢者として何とか世界を平和にしようと動いていたが…こんな光景を見れるなんて…
勇者がわが子を抱きかかえているのを見ていると…私のスキルがいきなり警告を発してきた。
スキル…様々な人々が人以上に動けるように与えられる能力。
そんな中私が手に入れた能力は、知者の書というスキルだ。
知者の書…決して書物の名前ではない…
このスキルは世界の理を知る事が出来る物という、すざましく強力なスキルだ。
このスキルを使えば、世界の理が詰め込まれた空間にアクセスできるというとんでもない事が出来る。
具体的に言うとパソコン(自分)の様な端末からデーターベース(知識のある空間)のデータを取り出すような行為が出来る。
えっ?何で、パソコンとか、データーベースとかそんな単語を知っているのかって?
一言でいえば、その異世界の知識もこの知者の書は知ることが出来るからだ。
そんな、万能ともいえる、知者の書はこの赤ん坊が別世界の転生者であるという事を伝えてきた。
…魔王と勇者から、子供が生まれたからって、転生者が生まれなくてもいいじゃない!
私は心で悪態をつきながらも、この事をハールに伝えるか迷った…
しかし、今ここで、喋らなかったとしても、いつかは伝えなくてはいけない時が来るであろう…
「ハール落ち着いて聞いてほしいの…この子転生者よ。」
同時に転生者に対して魔法で話をする。
二人同時に話すことなど、千年以上生きてきた私にとって容易なことだ。
「転生者って?」
ハールはそう聞き返してきた。
まあ、いきなり、転生者って言われても解らないわよね…
私だって、知者の書が無ければ、解らなかったし、転生者の言葉も解らないから、こうして念話で話す事すら出来なかった。
「簡単に言えば前世の記憶を持った生まれ変わりよ」
「前世って…そんなのあるの?」
そんな疑問をハールが発した…ああ…そうか、知者の書を持っていない人からしたら、それも知らないのか…
「あるのよ…しかも、この子は別世界の人間だったみたいだけど」
「…別世界の人間って?」
「はっきりえば、文明も何もかも違う、別世界…って言っても想像つかないかしら?」
「ええ…申し訳ないけれど、私には何が何だか…」
…ちょっといきなりすぎたか…
いつも、バイドとはこんなやり取り普通にしていたから結論から話しちゃったけれど…
もうちょっと、色々順序だてて話さなければいけなかったわね…
「…ねえジェニー、この子、このまま育てて大丈夫なの?」
多分、初めての子供が転生者という事で、色々不安なのだろう…
いや、誰だってそうか…私とバイドが特別で、こんな風に慌てるのが普通なのだろう。
…さっきから、念話で話をしていている感じ、ちょっとずれてるみたいだが、良識はありそうだ…
…とにかく、ハールに大丈夫だって言って、落ち着かせないと…
「大丈夫そうよ、結構素直そうな子みたいだし」
…そう言うと、ロイドから、魔法を教えてくれという念話がきた…
…異世界の知識を知者の書から知ってはいたけど、いくら、転生のお話が蔓延っているからって、こんなにすぐに切り替えるとは、この子大物かしら?
…だけど、これはいい機会かもしれない、本来なら、赤ん坊の身で魔法を教える何て、出来ないだろう。
だけど、この子には前世の知識がある。
それだけの知恵があるのならば…早い段階で魔法をある程度理解できる可能性が高い…
…それに、これから先の事を考えれば…早すぎるという事はないはずだ…
「…ちなみに、今この子から、魔法を教えてって言われたから、少し落ち着いたら、私が魔法をこの子に教えるわね」
私がそういうと、勇者は『えっ?』て顔をした。
「いつ…この子がそんなことを?というより、赤ん坊が喋れる訳が…」
「赤ん坊でも、前世の記憶があるから、念話だったら話すことが出来るわ!後、私が喋りながらでも念話で話出来るの、ハールだったら、知っているわよね」
そう、私は人間社会でハールの師匠になって魔法を教えていた時期があったのだが、その際、他の人と喋りながら指導していたことがあった。
…そのことを言うと…
「えぇ…相変わらずめちゃくちゃね…」
何がめちゃくちゃなのだろうか?千年くらい生きれば、誰だってできるはずだ!
「まあ、さっき言ったように、念話で話した結果、素直ないい子だと思うから、大丈夫よ」
まあ、万が一演技しているかもしれないが…多分大丈夫だろう…というより、これで演技しているんだったら、逆にすごいわ!
「…はっきり言って、頭が追い付いていないんだけど…」
「…それは、ごめんなさい、バイドと同じ感じで喋ったのが悪かったわ」
…うん、もうちょっと順序だてて伝えればよかった…
まあ、私自身それが出来るかわからないけれど…私の対人能力の低さが悪い。
「それより授乳しなくていいのかしら?」
私は、少しばつが悪くなり、慌てて話題を変えた。
そうよ…この子に授乳をしないと、まだ、この子生まれてから何も口をしていないんだし…
「えっと、だけど、前世の記憶があるんですよね?」
そんな、私の言葉に勇者は困惑しながら、そう聞いてきた。
「ええ…だけど、授乳しないとその子死んじゃうわよ?」
「…解ってるけど…因みに前世での年齢は?」
「18歳よ」
私の言葉に勇者は固まった。
まあ、仕方がないか…
「・・・少し抵抗あるだろうけど、ミルクだけだと、免疫が付かないわ・・・この子、頭は18才だろうけど、体は赤ん坊だからね・・・私、生まれる前に言ったわよね?ミルクだけだと、身体が弱くなっちゃうと・・・極力母乳で育てなさいって」
「だけど、こうなるとは思わなくて・・・。」
そう言われて、ハールは少し困った顔をした・・・
「まあ、あっちも困っているみたいだけど、このままだと初めての子供にお乳やれないわよ」
私の言葉に勇者はまたえっとした顔になる。
「前世の記憶を持ってたってこの子はあなたとバイドの子供それなのにお乳をあげなくていいの?」
私の言葉にハールは少し考え・・・
「解りました、あげます」
と答えた。
はあ、年長者として役割とはいえ諭すのって疲れる、そう思いながら、私はこの子に何を教えようか考えていた。
・・・さっきから念話で話してて私の名前を間違える(フェニー、パジーて何よ)この子がどの位魔法を覚えられるか解らないけど・・・大丈夫よね・・・?
頑張ります