表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人型巨大ロボット同士の戦い

作者: 芦辺行雄

練習も兼ねて初投稿いたします。

赤色と青色の2体の人型巨大ロボットが、お互い相手を負かすべく相対(あいたい)していた。戦闘開始の機運が秒単位で高まりつつあり、両者の機体とも初撃を加える隙をうかがっている。秒針が何十回目かの時を刻んだその瞬間、赤色のロボットがブースターを唸らせて青色のロボットに襲い掛かった。襲いかかられた方は、回避・防御・カウンター等の選択肢から防御を選び取って迎えうつ。赤い機体が装備品の剣を抜き放つと、速度と重みによって生じた勢いを乗せて一撃を叩き込んだ。受ける側は右のアームに装着された盾で、これを防ぐ。盾が金属的な悲鳴を上げながらも、容易に壊れる事は無い。攻撃側は攻めの勢いを殺すこと無く、角度・タイミングを変えつつ決定打を狙って剣戟(けんげき)を2度、3度と繰り出す。幾度目かの攻と守が交わったあと、防御側の青い機体が攻守の均衡を崩しにかかった。赤い機体の攻撃パターンを見切って、盾で受けるタイミングを意図的にずらす事により、()()()の剣を、持ったそのアームごと弾き返す事に成功した。インパクトの瞬間をずらされ、剣を弾かれた赤の機体は、その重心ごと僅かに後退したが、後退した空間分を青の機体が詰め寄って蹴りを放った。突き抜けた衝撃の糸に手繰り寄せられるがごとく、はるか後方に吹き飛ばされた赤い機体のボディの中央はダメージの跡が残ってはいるものの、ボディの装甲がダメージを軽減したらしく、機体は大破を免れた。2機の相対(そうたい)距離は開いたが、その間合いは青い機体に有利であった。()()()は背中に装備していた銃を構えると、遠くに見える赤い人影に向けて発砲した。攻守が入れ替わって防御側に回った赤い機体に、遠距離から弾丸の一群が飛来する。機動(マニューバ)を駆使し、速度に緩急をつけて回避を試みているが、正確さに富んだ弾丸が鋭く突き込まれ、赤い装甲の各部分から不平の声が聞こえてくる。一方だけに強いられた消耗戦に理不尽さを感じたのか、赤い機体はブースターに火を灯して再度間合いを縮めようとした。多少のダメージは覚悟の上で猛進する赤に対し、距離を取って戦うべく後退と射撃を繰り返す青。両機の推進力の差は、2度目の接近戦という結果をもたらし、青い人型を射程に収めた赤い機体の刃が剣閃となって振るわれた。剣戟に盾で応じ再び守勢に立たされた青の機体は、纏わり付かれるのを嫌ったのか至近距離での銃撃で追い払おうとする。が、赤い機動(マニューバ)が今度は功を奏し銃の射線は虚しく空を射抜くのみだった。程なくして銃の弾丸を撃ち尽くし弾切れとなった青い機体に、更なる危機が訪れる。盾が弾き飛ばされてしまったのだ。幾度となく攻撃を防ぐ内に、アームと繋がるジョイント部分が破損していたのである。勝敗を決する好機と見た赤の機体は、必殺一撃の意思を剣に貼り付けて振り下ろした。戦闘が開始されてから、秒針の鼓動は百数十回を数えていたが、勝利と敗北が交錯したその瞬間は鼓動1回分に満たなかったであろう。勝者と敗者の領域が反転し、両者のあいだに明確な線引きが成された時、赤い機体の中心に大きな風穴が空き、振り下ろされた剣は虚空を切り裂いたまま、その持ち主ごと完全に沈黙した。勝者となった青い機体も、右アームに仕込まれた隠し銃の筒先を赤熱させながら、静かに(たたず)んでいる。普段は盾の存在で外からは見えない隠し銃が、盾が弾き飛ばされた事によって銃口が露わとなり、逆転の切り札として大役を担う事となった。もっとも、本来はジョイント部分から盾を切り離(パージ)してから使うものであり、威力、装填弾数ともに予備の武器の範疇を超える物では無かったが、相手のボディ装甲が破損していたのと、零距離射撃という幸運も手伝って辛くも勝利を手にする事が出来たのであった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ