僕の心を読んでください
ピピッ…ピピッ…
朝、目覚ましの音が聞こえて僕は起きた。
ブーン…ブーン…
車の音が聞こえてくる。
だけど突然いきなり自分の世界から音が消えたらどうなるのだろう。
好きな音楽も、好きな音も、好きな人の声も全部聞こえないのだ。
相手が何を言っているかも分からない、自分の事をなんと言われているかも分からない。不安だけが日々積み重なっていく。
そんな状況の少女に僕は出会った。
★★★★★★★★★★★★★★★
久し振りだな…
何カ月ぶりだ?最近は調子良いしこのままだと良いなぁー…。
ドンッ-…
うわぁっ…やべぇっ…転けるっ….
ガシッ-…
ん…?あれこけてない…
あぁ…女の子…
何秒かしてこの女の子が僕の腕を握っていることに気がついた。
「ありがとう、助かったよ。」
そう言って僕は頭を下げた。
彼女は首を振って、僕にケータイを突き出した。
「ん…?」
そこにはぶつかってしまい申し訳ございません。と打たれていた。
「え、あぁ…。大丈夫だよ、こっちもよそ見してたから。」
っていうか、何でケータイ?喋れば良いのに…。
と、心で呟いてたらまたまた彼女が僕にケータイを突き出してきた。
「今、なんで喋らないんだ?と思いましたか?ごめんなさい、私は喋らないんじゃなくて喋れないんです。」
「へ?」
僕のバカな声が漏れた。だがそれ以前に僕の心の声が何故彼女に分かるのかが疑問で仕方が無い。
それに、喋れないとはどういうことだ。
僕の頭はハテナで埋め尽くされた。
僕が驚いて目をパチクリさせると彼女は笑っていた。
カチカチ…
[なんで、心の声が聞こえてるんだ?喋れないとはどういうことだ?]
彼女のケータイの画面にはこう打たれていた
[私、人の心の声が聞こえるんです。]
はぁぁぁ?やっぱり理解が出来ない。ハテナが増えるだけだ。
[やっぱり信じてませんよね?]
そりゃ、本当に人の心が読めるならどんだけいいことだ。尊敬するさ。けど今日初めてあったばかりの人だぞ?急に言われても信じられるわけがない。どっきりだな…
[そりゃそうですよね笑
私の名前は白川 天 -しらかわ そら-と申します。病室でお話しませんか?あなたもこの病院の患者さんですよね]