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真っ白

恋愛に完全なるハッピーエンドは存在しない。


ドラマや本で語られる恋物語のほとんどはハッピーエンドで幕を下ろす。けれど、それはハッピーエンドと本当に呼ばれるのだろうか。恋物語には必ずと言っていいほどライバルが存在する。ライバルが存在しないと物語にハリがないからだ。そのライバルはほとんどといっていいほど性格が悪く、主人公にいやがらせをする輩が多い気がする。そして自分の悪事がばれると、また必ずと言っていいほど主人公に許してもらえるのである。性格がひどくいい主人公の友達になったり、なんてことも多々ある。


とてもつまらない、と思う。


このライバルは所詮主人公の咬ませ犬でしかないのだ。主人公のハッピーエンドのいわば前菜と言っていいだろう。このライバルのハッピーエンドなんて永遠に訪れることはない。何と悲しいことだろうか。所詮主人公は自分の幸せのために善人ぶり、それでいて傷つきやすく勘違いしやすい、いわば『弱い女』を演じることによって一つの物語に一つしかないハッピーエンドは勝ち取るのだ。


これのどこに面白さがあるのか、わからない。


「ふう。」

ため息を一つついて読み終わった本を机に置く。この本もダメだった。最初は良かった、ライバルと主人公の思い人がラブラブで主人公の入り込む隙間なんてなかったのに。


「脅されて付き合うとか…。」

たかだか18歳の女が同い年の主人公に何ができるのだろうか。襲わせる、とか。普通に犯罪だし、そんなこと考えるやつに友達なんていないだろう。もう少しひねりのある恋愛物語かと思ったのにがっかりだ。本の表紙を指で弾く。何が「変愛物語」だ。「(他の恋愛物語と特に)変(わっていない恋)愛物語」の略だろう。


「いつになったら、」

いつになったら面白い恋愛に立ち会うことができるのだろうか。心臓がひどく締め付けられて息ができないくらい、それでいて心地いい別世界にいつ行くことができるのだろう。ああ、だれか私を溺れさせて。窒息させて。そして、そして。


甘美な恋愛を。

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