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その伯爵令嬢、〝替え玉〟につき ~替え玉のわたし(妹)が侯爵に溺愛されるなんてあり得ません  作者: とんこつ毬藻
Ⅰ.替え玉開始編~Scene Dias

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第20話 その伯爵令嬢の侍女、教えてくれる

「え? それってどういう……?」

「ゴルドー家では監視の眼があったため、こういったお話は出来なかったのですが……」


 ネンネはわたしの耳に入れておいた方がいいと、色々とお話してくれた。


 元々ゴルドー伯爵家には複数の侍女と執事が働いており、専属侍女がネンネ一人だったわたしに対し、ローズお姉さまには専属侍女と執事が四、五名ほど仕えていた。恐らく東の果ての(イースター)修道院へ、その中でもローズ姉お気に入りの二人、侍女のキャサリンと若い執事のブルーノは、付いて行っている可能性が高いのだと言う。


「キャサリンはまだいいのですが……ブルーノは頭の回転が速く、お嬢様第一主義です。昔、社交界でお嬢様のドレスを誤って汚してしまった子爵家のご令嬢が居たのですが、その一週間後、ご令嬢の家が火事で燃えてしまった事がありまして。その前夜、ブルーノが密偵の者と話している様子をネンネは目撃してしまった事がありまして……勿論憶測ですので真実は闇の中です」


 羊小屋の小火騒ぎに乗じてわたしを誘拐する手口も巧妙。予め無人の山小屋を手配し、しかも理由が金目当てではないとなると……。


「で……でも……! 東の果ての修道院に居ながら……そんな事が出来るの?」 

「ですからあくまで憶測です。ちょうどバルサーミ様もディアス領へ居るタイミングですし。鷹を飛ばせば可能かと」


 ネンネが眼鏡の淵をクイっとして予想している。昔、民衆の中で一時流行ったという本を読んだ事があったけど……。主人公の使用人さんが、犯人が賊の者と話しているところを柱の陰から覗いているシーンが印象に残っている。タイトル……『使用人は見た』だったかな?


「アリーシェお嬢様、今回の一件で、密偵のジウさんにも動いて貰う予定みたいですし、ソルファ様もネンネも、みんなアリーシェお嬢様の味方です。ですからご心配には及びません」

「ありがとう……ネンネ」


 ただ血が繋がっていないだけで、どうしてわたしは虐げられなければならなかったのだろう。気づけばそれが日常になっていて、最早、疑問も浮かばなくなってしまっていた。そうか……いつからかわたしはそう考える事を止めていたんだ。


 まだ犯人がローズお姉さまと決まった訳ではないし、誰かを疑う事はあまりよくないと思うけれど、今後色々と警戒するに越したことはないという結論に至った。


 この日の夜は、農場の使用人の方がお食事を部屋まで運んでくれた。ネンネと二人で食べるお食事。農場の小麦で作った焼きたてのパンはふっくらもちもち。お野菜たっぷりのスープはわたしの心を温めてくれた。豚さんのお肉を口に入れる頃には、あまりの美味しさにわたしの頬っぺたは落ちそうになっていた。


 ただ、よほど疲れが溜まっていたのか、この日はお風呂も入らずに眠ってしまっていた。大農場併設の露店風呂。もしかすると誰かと遭遇する可能性もあるため、それを懸念したとも言えるんだけど……。色々気を遣いながらお風呂に入る心の余裕がこの日のわたしには残されていなかった。


 

 そして、その翌朝……。


 乱れていたかつらの髪を整え、事前に虹色咲花(レインボーダンテ)の花弁から創った目薬を差して。お部屋で入念に姿をチェックした後、わたしはお食事会場へ出向く。わたしの姿に気づいたアルマーニュ伯爵夫人、ロジータお姉さんがわたしの傍まで駆け寄ってくれた。


「おはよう。もう、身体はいいのかい?」

「ご心配おかけしました。もう大丈夫ですわ」


 カーテシーをした後、笑顔を見せるわたし。次の瞬間、わたしのお腹へ誰かが飛び込んだ感触が。慌ててその顔を受け止めると、顔を上げたその子は瞳に涙を浮かべていた。わたしの顔を見た瞬間、きっと思い出したんだ。


「ロ、ローズお姉さまぁあああああ」

「そうよね、怖かったよね。リンダちゃん」


 そのまま彼女の頭をそっと撫でてあげるわたし。あれはきっと、十歳の女の子には過酷な体験だ。もうだいじょうぶよ、と暫く撫でてあげていると、リンダちゃんはようやく泣き止んで笑顔になった。


「一緒にご飯食べよっか?」

「うん!」


 アルマーニュ伯爵は朝から農園へ出向いているみたいで、わたしとロジータお姉さんの間にリンダちゃん、わたしの左側にネンネ。そして、向かい側にソルファ様とグランディア侯爵が座う形でディアス大農園の朝ご飯をいただく。採れたての卵だろうか? オムレツがふわふわだ。昨日食べたパンといいお肉といい、新鮮なお食事ってこんなにも美味しいんだ。って、あれ? 何だか周りから視線を感じるぞ?


「相変わらず幸せそうに食べるな、ローズ嬢」 

「え? 嗚呼。ソルファ様。当然ですわ。こんな新鮮なお食事をいただけるなんて。幸せなことですもの」


「うむ。流石だなローズ嬢」

「いやはや、そんな風に言って貰えるなんて嬉しいさね!」


 グランディア侯爵とロジータお姉さんが嬉しそうに反応してくれた。腕を組みながら満足そうに頷いているグランディア侯爵は、きっと脳内で泣きながら両手ブンブンやっているに違いない。グランディア侯爵、人前では厳格な侯爵というイメージを貫いているみたい。


 昨日が牧場見学だったため、今日はお昼頃まで農場を見学した後、帰路へ着く予定。何日でも滞在したいところではあるけれど、グランディア侯爵もソルファ様も公務があるため、そこは流石に難しい話だ。季節によって収穫する食べ物も違うし、四季折々の楽しみ方がある大農園だ。これからゆっくりと堪能していけたらいいなって思うわたしなのです。


 お食事を終え、農場へ出向く準備をしていると、ソルファ様が心配してこちらへやって来てくれた。今日は密偵のジウさんを警備として配置してくれるみたい。申し訳ないけどありがたい。そんなことを思っていると、ソルファ様がある提案を持ち掛けて来て……。


「そうだ、ローズ嬢。君に見せたい景色があるんだ。農場見学のあと、一緒に来てもらえるか?」

「え?」


昨日注目度ランキング38位にランクインしたみたいで。ブクマして追いかけていただいている読者様ありがとうございます。本編はソルファ様から君に見せたい景色がある宣言!? ドキドキワクワクな展開で引き続きお届け予定ですので、今後ともよろしくお願いします。


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