表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

物質の粒子・波動の二重性



舞台:社員食堂の片隅、使われていない会議室での「量子ランチ」


副部長が持ち込んだ物理プリント(『光と物質の二重性』)を囲みながらの会話。


Scene 1|光は波なのか、粒子なのか?


野田(真顔でプリントを見ながら)

「昔は光を“波”だと考えていた。でも、それだけじゃ光電効果を説明できなかった……」


富澤(コーヒーを飲みつつ)

「振動数が足りない光じゃ、いくら強く照らしても電子は飛び出さない。つまり“明るさ”じゃなく、“色”で決まる。波では説明がつかない。」


副部長(手元のホワイトボードで図を描きながら)

「ここですね。“E = hν”――光子1個が電子1個にエネルギーを渡す、というアインシュタインの光量子仮説。これが革命だったんです。」


富澤の彼氏ポテトをつまみながら

「てことは、オレがどれだけアプローチしても、センスの“周波数”がズレてたら、彼女の心は動かないってこと?」


富澤(ため息)

「お前の話は、光より説得力がない。」


野田(真剣な顔で)

「振動数が足りなければ、どれだけ“熱意”があってもエネルギーは届かない……か。物理って残酷。」


Scene 2|コンプトン効果――衝突する光


副部長(説明継続)

「さらにコンプトン効果で決定的になりました。X線が電子にぶつかると、波長が“伸びる”――つまり、光子はエネルギーと運動量を持つ“粒”として振る舞う。」


野田

「それって……ビリヤードみたいなものですね。球が球に当たって、別の方向に跳ねる。」


部長(突然ぼそっと)

「昔、煮卵をスプーンで弾いて割ってたな……よく怒られた。」


野田(静かにうなずく)

「その“煮卵”が、電子だったんですね……」


富澤

「いや、違う。」


富澤の彼氏(笑いながら)

「でも、食堂で物理語って、煮卵に例えられるとは思わなかったよ。」


Scene 3|物質波――粒子も“波”になる


副部長

「そして次は、光の逆転現象。“物質も波の性質を持つ”というド・ブロイの仮説。λ = h/p。つまり、電子だって波動性を持つ。」


野田(興味深そうに)

「ド・ブロイ波……つまり私たち自身も、波として空間に拡がってる存在……?」


富澤

「まあ、お前は確かに“実体は不明で、ときどき干渉する”感じはある。」


富澤の彼氏(大げさに)

「じゃあ俺、完全に“波”だわ。会社にいるようで、存在はしてない。」


部長ボソッと

「……いるけど、観測されてない存在って、幽霊みたいだな。」


野田(笑わず真剣に)

「“観測されてない”ということは、可能性が収束してない、ということです。

つまり、“どこにでも、まだなれる”って意味でもありますよ。」


富澤(感心したように)

「理屈としては正しいけど……それ言われると逆に怖いな。」


Scene 4|波数・角振動数と「美しい数式」


副部長(数式を指さし)

「量子論では、Dirac定数 ℏ や角振動数 ω、波数 k も使われます。

この関係式、見てください。

E = ℏωp = ℏk

まるで数式の中で、粒子と波が“手を組んでいる”ようです。」


野田(小さく呟く)

「世界が“数式”でできてるって、本当かもしれない……。

人の感情すら、振動や波長で解けたら、わかり合えるかもしれないのに。」


富澤(少し目を細めて)

「でもその解釈、相手に“波長が合わない”って言い訳に使うやつな。」


富澤の彼氏

「俺、毎回“波長”でフラれてる気がする。やっぱプランク定数、重いわ〜。」


部長(最後に一言)

「……昔から、心が動くときって、音もなく“干渉”してるもんだよ。」


野田

「干渉、ですね。目に見えないけど、確かにそこにある影響。量子論って、実はすごく……人間っぽい。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ