表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/18

【勇者と魔族の結婚】1

 「これは……」

 「うん、問題、だよね?」

 シルバは頭を抱えていた。というのも、セシルの描いた魔法陣と、生成したアクセサリの置き場に困っていたからだ。物を作る、という仕事はそれなりの広さがいるのだな、とシルバは自分の無知さに呆れた。

 「……造るかなぁ、アトリエ」

 「増築するか?」

 「いや、土地もあるし、隣に一軒家を建てるよ。そっちの方が、いろいろ保管できるし」

 そう言われ、シルバはセシルがかつて使っていた魔術棟の研究室を思い出す。本や書類にまみれ、埃まみれで、泊まり込むためのハンモックもあって。決して清潔だとは言えなかった環境を思い出し、シルバは嘆息する。

 「……掃除はどうする?」

 「え?僕がするよ?魔術棟の研究室だって掃除してたし」

 あれを掃除していた、というのか。シルバは心の中で考えながら、セシルの両肩を強くつかんだ。

 「掃除を、ちゃんと、するのだぞ?あと、ハンモックは持ち込むな。必ず、帰ってきて寝ろ」

 「う、うん。そうだね」

 その言葉に強い圧を感じながらも、きょとんとしているセシルであった。


***


 アトリエの設計図は家より簡単だった。水回りはあるとはいえ、それ以外はただ板で囲まれた空間なのだ。セシルは設計図を床に敷き、シルバに魔力を流してもらう。あっという間に完成したアトリエは、家の真横になった。

 「よし、これで仕事も始められるね」

 「次の開店まであと少しだろう?品物はできているのか?」

 「できてなかったら、あの汚さにはならないよ」

 そう言いながらセシルは魔法陣と作ったアクセサリを小屋へ移す。そして、アトリエに入るとシルバに告げた。

 「これから仕事するから、シルバは好きに過ごしててね」

 「うむ。時々、様子を見に来よう」

 セシルが戸を閉める。シルバが家に向かって歩こうとすると、森の木々の間に人影が見えた。瞬間的にセシルが作った札を構える。魔術のコントロールが苦手なシルバのために作られた札だ。人影はゆっくりと近づいてくると、やがてその姿をあらわにした。

 「お前は……勇者か」

 「そうだよ、魔王」

 そう言いながら、勇者アレックスは膝から崩れ落ちる。シルバは思わず駆け寄ってしまった。

 「おい、大丈夫か?」

 魔王が勇者を心配するのも変だが、彼はセシルの友人なのだ。無下にはできない。

 「お、おなか、すいた……」

 「……」

 腹の音を立てながら倒れるアレックスを、シルバは抱えて家に入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ