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呪われた王女さまが家出しました。追いかけますか?

作者: 桃井夏流

珍しい視点で書きました。読みにくかったらすみません。ゆるふわ設定です。


 むかしむかし、あるところにアクア姫と言う名の王女さまが居ました。

アクア姫は誰もがはっと息を呑む程の美少女ですが、口が少し悪いと言うか、少し、素直じゃない所があるお姫様でした。黙っていれば絶世の美少女。それがアクア姫の通り名です。


 そんな所も可愛いんだよね、と隣国のディオン王子はアクア姫に求愛していました。

少し年上の王子は、アクア姫を溺愛していました。目に入れても痛くないと言って実際入れられてちょっと泣いたなんて事がありました。

 それでも二人はそれなりに仲睦まじく…とまではいきませんが、徐々に仲良くなっていたのですが…。


 かつて浮世を流していたらしいのです、あの浮気王子。愛し合っていた(本人談)魔女にアクア王女は呪いをかけられてしまいました。


 呪いをかけられたアクア姫は思いました。もう王子様なんてこりごり!


 アクア王女は魔法でドレスをワンピースに変え、長い銀髪をサイドで結ぶと、そっと城を去りました。


 いわゆる、家出と言うやつよ!




「そんな訳でマイ新居」


森のちょっと入った所にアクアは魔法で家を立てました。この森は向こう側は海で、崖。自国を守る要塞とお父さまが言っていたので、籠城と言うやつね。


「しかしまた、小さくしてくれたわね」


アクアは自分の姿を鏡に映します。分かっていたものの、現実を見ると凹みます。そこに居たのは、絶世の美幼女。


「十歳…くらいかしら。あの痛い魔女っ子め」


実際何歳かは分からないけれど、あのフリフリ…いや、私もフリフリ着ていたわね。でもあんなにスカート短く無かったし。


でもな。


「実際、極刑案件なのよね。早い所改心して戻しに来ないかしら」


ディオンの事、好きだった人が殺されるの、なんか目覚め悪いし。私はそこまでディオンの事、好きだった訳じゃないし…?


「そうよ、そんなに好きなんだったなら、もっと早くちゃんと言ってくれたら良かったのに」


私はそうしたら身を引いたかもしれない。と言うか、あんな魔女っ子スタイルが好きなんて心も引く気持ち。


「はぁ、何日籠城出来るかしら」


うちの侍女は、魔法使いも、騎士も。とっても優秀だから。もって、一週間?いや、五日?


「早く観念なさいよね」


お前もな、と兄の声が聞こえて来た気がしたけど、気の所為だった。と、思いたい。




「…………おなか、すいた」


そうだ。人は食べなければ生きてはいけない。

そんな簡単な事を思い知った。魔法でご飯を出しても、お腹は膨れない。エネルギーを使ってエネルギーを吸収とか、無意味。


「樹の実、取りに行こう」


そうだ、林檎の樹なんか、きっとある。あんなにアップルパイとか、食べたんだから。


「………シルの作ったアップルパイ、食べたいなぁ」


こんな時に皆の大切さを思い知ったアクアです。あいつの事だけは大切だなんて思ってはやらないのです。もう二度と、思ってなんかやらないのです!


その日は見つけた林檎で飢えを凌いだアクア姫。




 しかしその家出は長くはありませんでした。



「アクア!」


「………ふほーしんにゅーってしってますか、おじさん」


「おじさっ!?いやいや君と私は七つしか離れてないだろう?」


「きゃーたすけてぱぱー」


「陛下は今頃胃痛を抱えて公務中だよ。心配為さっていたよ。帰ろうアクア」


「おにーちゃーん」


「それは本当に殺されちゃうから、私が!!」


「…私が帰ったら、あの人が殺されちゃうでしょ」


アクアの事をディオンは優しく抱き締めます。そして、君のせいじゃないよ、と精一杯優しく伝えます。


「あの人の事、好きだったんでしょ。死んじゃったら、ディオン悲しいでしょう?それに私、こんな風になっちゃった。こんな子供じゃ…」


ディオンはアクアのその小さな唇にキスをしました。お伽噺の様に呪いが解ける事はありませんでしたが、アクアの心は揺れ動いたようです。


「君が居ない方がずっと悲しいよ。それに、私は彼女を愛した事は無いんだ、残念だけど。私は人を愛したのは君が初めてだから」


実は意外とシリアスな過去をお持ちのディオン王子。浮世を流していたのも理由があるとアクアも分かっていました。伊達に本気で口説かれて居ません。実はちゃんと、話し合っていました。


それでも、嫉妬と言う気持ちを初めて分かってしまったのです、アクアも。

だからこそ、あの魔女っ子が、死んでしまうのは、なんか嫌だったのです。


「ディオンのそういうところ、あんまり好きじゃない。自分いじめないで」


これにはディオンも思わず破顔してしまいます。

照れ屋なアクアはあまり好意を口にはしないから…もしかすると、分からないのかもしれません。他の人には大好き、と伝えられるのに、ディオンには胸がぎゅっと痛くなって、上手く伝えられなくなってしまうのです。

初めての恋に、アクアもいっぱいいっぱいなのです。

でもディオンは、アクアの優しさを、大事に思います。

自分にはもう持てないだろう、綺麗なその気持ちを。


「私は君が呪われたままでも愛していける。また後七年待て、と言うのはキツイけれど待てる」


「…ロリコン王子ってまた呼ばれるよ」


「愛があればね、耐えられない事じゃないよ。そんな揶揄。大事なのは君だからね、アクア」


「……大事なのは」


「君が彼女を守りたくて、そのままでも良いと言うなら、我が国に帰ろう。そのかわり、二度とこの国には帰れないよ。この国の人達は皆優秀で、君をとびきり愛しているからね。戦が起きないよう、努力はするけれど、難しいかもしれない」


選択権です。でも、酷い選択肢です。ディオンは知っています。


アクアが幼い自分が愛されずに育った国を、アクアが良く思っていない事も。


アクアが自分の周りの皆をどれだけ大事に思っているのかも。


だから本当は自分が婿入りするつもりだったのです。シスコンな義兄に毎日いびられようとも、こき使われようとも。それでアクアの幸せが守れるのならちっぽけな事だったのです。



アクア、どうしますか?


▶ディオンの国に連れて行って

 お願い、ディオン………





「お願い、ディオン。あの子を助けて…」


「…難しいよ?」


「時間、かかっても良い。でも、私、この国で、ディオンと幸せになりたい…」


「全く。私はいっそ憎々しいよ。君にそこまで目をかけられてる彼女がね」


「だって教えてもらったから。取らないでって気持ち、あの子に教わったの…」


「…………可愛いか!」

「ずみまぜんでしだ!!」



魔女っ子は泣いてました。鼻水まで垂れてました。メイクが台無しです。


「がいじんじまず…どうどい…」


「えっと、あの、鼻、かむ?」


魔女っ子は自分で鼻をちーんすると、土下座してきました。あれがスライディング土下座と言うやつです。


「呪いなんかかけて本当申し訳ない!口を開かなければと言われていると聞いていたから、余程性格悪いと思っていたのにむしろ逆!ごめんなさい!今解きます直ぐ解きます!」


「あ、ども……」


こうしてアクア姫の呪いはいともあっさり、解かれる事となり、更に魔女っ子はアクア姫の信者と化し、その後アクア姫に仕えようと猛勉強の日々を送る事になります。因みにディオンには未練の欠片も無くなって、会う度に威嚇する程です。





 こうして無事、アクア姫とディオン王子の婚礼の日がやってきました。



「世界で一番綺麗だね」

「お嫁さんだからね」


「家族なんて一生欲しくなんかならないと思ってたんだけど…」

「いらないの?やめとく?結婚」



「逆だよ。いじめないで。私に…僕に、家族、くれる?君とが良いんだ。君と家族を作りたい、アクア。結婚してくれる…?」


「うん、結婚しよう。幸せにしてあげる」


「うん…ありがとう、私も、君を幸せにするよ、アクア」



そして二人は、公爵となり、シスコン皇太子にちょくちょく呼び出されながら、幸せに暮らしましたとさ。


めでたしめでたし?



「ところで義弟よ、我が妹が呪われた原因がようやく分かってな?ちょっと離縁する気は無いか?」

「皆無ですね。アクア泣いちゃいますし。あ、お腹に赤ちゃん出来たので仕事減らして下さい義兄上」

「それは早く言え。まずは産着か?それともおしめか?とりあえずアクアの所に向かうぞ」


「お兄さま、流石に週一で見に来られても変化はないよ」

「分からんだろう!産まれて私が叔父だと直ぐ分かる様に…」

「そんな赤ちゃん怖いんだけど」



とりあえず、おしまい。

読んで下さってありがとうございます。


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