いつまでも続く愛の話。
最終話です。
無事に最終話まで来ることが出来ました!
最後までお付き合いいただいた方々、本当にありがとうございましたヽ(*'▽'*)ノ
「わぁ、素敵!」
庭には一面イルミネーションが施されていた。木々に付けられた豆電球がまるで夜空に浮かぶ星のようだった。
「気に入ったか?アンネ。」
「はい、とてもロマンチックで素敵ですわ。」
各テーブルにはキャンドルが置かれ夜でも手元が暗くならないようになっている。
「クライン、アンネ夫人、こちらにもご招待いただきありがとう!」
アルバーン侯爵様がシルクハットを外して挨拶する。
「とてもロマンチックな庭だね。こんな美しい庭で美しいアンネ夫人と一緒に食事を楽しみたいよ。」
ふふふ、と私は笑って誤魔化す。
「同じ空間で楽しめるから安心するんだテッド。」
「そういうことでは無くてね、クライン。同じテーブルでキャンドル越しに見つめ合いながら…。」
「アンネ様!」
振り向くとスージーさんと旦那さんが立っていた。
「ご招待いただきありがとうございます!私達の衣装まで用意して下さり…何から何まで感謝だよ。…しかしどうも落ち着かないねぇ。私達浮いてないかい?」
「そんなことありませんわ!そのドレスもスーツも似合ってる!」
ありがとう…とスージーさん夫婦は照れていた。
「おや、私以外にもパーティに不慣れな人がいて良かったわ。」
「おばあさん!」
おばあさんは周りを気にしながら歩いてきた。
「おや、その声は…路地裏によくいるローブを被ったおばあさんかい!?」
「ああ、そうだ。」
「なんてこった!何処かの貴婦人かと思ったよ!」
スージーさんが驚いている。ふふ、メイド達に綺麗にしてくれと頼んだの。さすが公爵家のメイド。
「…おばあさんにはあとでビジネスの話もしたいの。」
「ビジネス?」
「ええ、今英国では霊降術が流行っているでしょう?それに伴い占いにも興味を持つ貴族が現れはじめてね。まだオカルトの域は抜けないけどクライン様やアルバーン侯爵様が興味を示されてね。」
「公爵様が!ふふ、私で良ければ。」
「おばあさんの力は私が何より実感していますから。」
私たちは笑いあった。
「ビジネスの話は置いといてパーティが始まりますわ!」
テーブルに美味しそうな料理がどんどん並んでいく。
「さぁ、皆様遠慮なく召し上がって。」
招待客の皆が各自テーブルに向かう。
「アンネ様、この度はご招待いただきありがとうございます。」
ルルド侯爵とガーネット夫人だ。
「クラインがこんなに素敵な方と結婚出来て良かったよ。」
「そうね。…アンネ様、何か困ったことがあったら私に相談してくださいね。公爵様には多大な借りがありますから、すぐに助けに行きますわ。」
「おい、ガーネット…。」
「だってそうでしょう、貴方。私はあれだけ貰っておいて、蛙という的確な答えは出せなかったのだもの!」
「……?ありがとうございます、ガーネット夫人。困った時はお願いしますわ。」
よく分からない事を言っていたけど私はガーネット夫人の心遣いに感謝した。
「……ところでアンネ夫人、あそこの入口付近に怪しい男がいるけどあれは招待客?それとも野次馬かしら?」
ガーネット夫人が扇子で指したところには…。
「……ジョン!!」
私の大好きだったジョンが立っていた。
「ジョン…来てくれたのね……!」
ずっと手紙の返事を返していなかったから来てくれるか不安だった。
「アンネ様…俺アンネ様に嫌われてると思ってたから…招待状が届いてとても嬉しくて…!」
「馬鹿ね…なんでジョンを嫌いになるのよ…!」
「だって俺、勝手にアンネ様の前から消えたからさ…。」
「お父様の指示ででしょう?大丈夫、分かってるから。」
「アンネ様…知っていたんだな……。」
ジョンは涙目になった。久しぶりに見たジョンは大きくて逞しい男性になっていた。……アヘン中毒でガリガリに痩せていたジョンとは全く違っていた。
「ジョン…あの方はコリー夫人かしら?」
私達を遠くから遠慮がちに見ている女性に気づく。
「ああ、アンネ様に紹介するよ。コリーとルークだ。」
女性一人かと思ったが女性の後ろに赤毛の男の子がついてきた。
「はじめまして、アンネ様。お会いできて光栄ですわ。」
「はじめましてコリー。そしてルーク。あら、私にくれるの?ありがとう。」
ルークは私にピンクの花を渡してくれた。まだ3歳ぐらいかしら…可愛い。
「アンネ様のお話はジョンから沢山聞いていて、とてもお会いしたかったのです!」
コリーが嬉しそうに言う。
「やだ…!…ジョンってば変なこと言ってないわよね?」
笑顔で圧力をかけるとジョンは真顔で首を振る。
「アンネここに居たのか。」
すっ、と隣にクライン様がやってきた。
「わわ、ヘルバーツ公爵様!お会いできて光栄です!!」
ジョンとコリーが慌てて頭を下げる。ルークも不思議そうな顔をしながら親の真似をして頭を下げる。
「そんなにかしこまるな。…君があのジョンか。」
クライン様がじっとジョンを見つめる。
「クライン様…?」
私がソッとクライン様の腕を引っ張る。
クライン様は美しさ故に威圧感が凄いのだ。ジョンとコリーがすっかり怯えている。
「あ、すまない。ぼうっとしていた。…そんな入口に居ないで中に入るんだ。」
「「はい!!」」
可哀想に。クライン様の威圧感で2人ともガチガチになってしまっている。
何も知らないルークだけが無邪気に走り回っていた。
「クライン様…顔が怖いです。」
「…そんなことは無い。」
「はは、ずっと気にしていた恋敵が現れたんです。アンネ夫人許してやってください。」
アルバーン侯爵の言葉にそんなことは無い!とクライン様の顔がさらに怖くなる。
「もぅ、せっかくのパーティですよ!もっと楽しい顔をしてください!」
私が拗ねたように言うとクライン様はすまない…と落ち込んでしまった。
「アンネ様、ご主人様、あちらに良い場所があります!どうぞあちらに!」
リネに促されていくと影になった場所があった。
「凄い…星……。」
一面に広がる星空に私は感動をしていた。
「アンネ…アンネの気持ちは変わっていないか?」
「え?」
私の気持ち?あ、まさか。先程のアルバーン侯爵様の言葉が頭に浮かんだ。
「ええ、もちろん。私はクライン様を愛しております。」
「そうか…。」
クライン様ははにかんだような少年のような顔で笑った。わ、心臓がバクバクする。
「アンネ…愛している。」
クライン様の手が顔に添えられ、唇が…。
「わ、押すなと言ったじゃないか!」
「押してない!君が勝手に前に出ただけじゃないか、ルルド侯爵。」
突然の物音に驚いて見るとアルバーン侯爵とルルド侯爵が地面に伏せていた。
「アルバーン侯爵様にルルド侯爵様!?」
「……何故ここにお前たちが。」
「いや、ちょっと酔い覚ましに散歩してたら…ねぇ?ルルド侯爵?」
「ああ、決して口付けするかなんて賭けはしていないよな?アルバーン侯爵。」
「「……………。」」
「お前たち、ちょっと来るんだ。」
無言の2人をクライン様は引っ張って行った。
「全くあの二人は…!本当にいつまでも子供なんだから。」
ガーネット夫人が頭を抱えていた。
「邪魔して悪かったわね。」
「おやおや、可哀想に。」
おばあさんが察して声をかけてきた。
「可哀想なアンネ様に良い事を教えてあげよう。あと3ヶ月後、3ヶ月後にアンネ様は可愛い子供ができるよ。…クライン様にそっくりの、美しい男の子だ!」
「まぁ、アンネ様おめでとうございます!」
「可愛い…男の子!!」
私は早くクライン様に御報告しないと!と祝福する2人を背にクライン様を探しに行ったのだった。
*********
「おばあさんの言った通りだったわ。」
3ヶ月後。まだ性別が分からないがおばあさんの言った通り、私は身ごもった。私はソファに座りながらお腹を摩る。
「あの婦人が言うなら男の子だろう。名前は何にするか…。」
「もう、クライン様ってば気が早いです。」
「それにしてもあの婦人の力は凄いな。彼女は立派なビジネスパートナーだ。」
おばあさんの占いの力は瞬く間に貴族の間で噂になり今ではすっかり貴婦人の装いだ。
「ふふ、私もおばあさんに占ってもらおうかしら。」
「何を聞くんだ?政治か?ビジネスか?」
「そんなことでは無いです。…もっとこう、ロマンチックな恋愛とか?」
「何故恋愛について聞くんだ。まさか他の男性との相性か!?」
「ち…違いますわ!…うーん、クライン様との愛がこの先もずっと続くか…とか?」
なんだそんなことか、とクライン様は私の隣に腰掛けて耳元で言った。
「そんなことは占うまでも無い。私はアンネを愛し続けるからな。この先もずっと。だからアンネも私だけをずっと愛し続けてくれ―――。」
*******
オマケ。
「いらっしゃい。おや、アルバーン侯爵様。」
「やぁご婦人。ご婦人の占いが当たると評判でしてね。…貿易で聞いたのだが、外国は一夫多妻のところもあるみたいなんだ。……例えばなんだけど、この先英国が一夫多妻制ならぬ一妻多夫制になるってことは…。」
「無いね。あんたは何友人の妻を狙っているんだ。」
「いやいや、そんな人聞きの悪いことを。」
「アンネ様夫婦はこの先ずっと一緒さ。」
「だろうね。それに2人を別れさせたくはない。だから円満の一妻多夫制を…。」
「はい、アルバーン侯爵様は時間切れ。次の方入りな。」
「ちょっと!話ぐらい聞いてください!」




