結局は同じだったんだ。
「ねぇ、アンネ様って旦那様を愛していらっしゃらないのかしら。」
夕飯を食べながら私達はまたその話をしていた。
「ちょっと!メイド長や旦那様に聞かれたら!」
「でもさ、全く旦那様に関心ないじゃないか。この今私達が食べてる夕飯だってアンネ様のお残しになった物だろう?こんなにたくさん。食欲が無いだなんて……旦那様との食事が嫌なんだろう。」
「そんな事……。」
「今に見てな。アンネ様は1人で食べたいと部屋で食事をとるようになるさ。」
――彼女が言った通りになるのはその1ヶ月後だった。
「ねぇフラン……。私貴族同士の結婚って幸せなものだと思ってたわ。」
公爵様が視察で帰らない日。またもこうして私達はパブに繰り出していた。
「アンネ様は全くもって幸せそうには見えないわ。旦那様を慕う令嬢達に嫌がらせまでされて……。彼女はただじっと耐えてるわ。あのヘルバーツ公爵家に嫁げるなんて女性にとってこの上ない幸せだと思ってたのに……。」
どうせアンネ様も今までの女性達と同じだと思ってた。だけど彼女は無関心だった。旦那様にも、私達にも。
「あのね、リネ……。私のボーイフレンド、郵便屋さんでしょ?いろんな情報が手に入る彼から聞いたんだけど……絶対に内緒よ。彼女、愛する人が居たみたいなの。」
「えっ!!」
フランは慌てて私の口を塞ぐ。
「静かにしてよ。……シャルロン家に使えてるメイドさんから聞いたみたいなんだけど……。アンネ様、シャルロン家の庭師の息子が好きだったみたい。でも庭師の息子なんて平民でしょう?シャルロン家の旦那様は大反対してたみたいで。」
「そりゃそうでしょう……。」
「それにあのヘルバーツ公爵様からの縁談話……。シャルロン家の旦那様はアンネ様とその息子を離れ離れにしたみたいよ。アンネ様は一晩中泣いてたみたいで見てられなかったってそのメイドさんが……。」
「そんな……だって貴族は身分が高いから結婚相手だって素敵な人を……。」
ムリル伯爵の顔が浮かぶ。そうか……。アンネ様も私達と変わらなかったんだ。同じだったんだ……。
――結婚式の日。
アンネ様は無表情ながらもベールの下で一筋の涙を流していた。私はてっきり喜びの涙だと思ってたけど、あれは愛する人を忘れる覚悟をした涙だったんだ……。
私はあの時のアンネ様の姿を忘れることは出来なかった――。
*********
「……!?」
夜遅く。アンネが寝ているだろうと寝室に行くとアンネは彼女の専属メイドであるリネと一緒のベッドで寝ていた。しかも仲良く手を繋いで寝ている。
「……?」
一体これはどういう状況なのだろうか。俺は頭を傾げる。
「……旦那様?どうされましたか?」
寝室のドアを開けっ放しにしていた為執事が遠慮がちに入ってくる。
「……!!何故リネが!申し訳ございません!今すぐ叩き起し……!」
「そう騒ぐな起こしてしまう。……何か理由があったのだろう。このまま寝かせておく。」
「しかし……!」
「……私の命令に従えないのか。」
「……申し訳ございません!!」
「リネには私から話を聞いておくから、これ以上騒ぎ立てないように。」
「かしこまりました。では旦那様が眠れるようすぐに客室のベッドを整えてきます。」
執事は急いで出て行った。俺は妻の寝顔をチラリと見ると起こさないように静かに出て行った。
クラインと執事はアンネが起きないよう小声で話しておりますm(*_ _)m




