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育った環境が違うから。


”ジョンにこれからも会いに来ても良い――?”

遠慮がちに言うコリーにまさかダメだとは言えず私たちは渋々了承した。

大事な幼なじみだもんね……頭ごなしにダメだなんて言えない。ジョンもきっと嬉しいと思うし……だけど……。

「アンネ様!また来ちゃいました!」

ちょっと来すぎじゃない!?


毎日では無いにしろかなりのペースで来るコリー。

一応新婚なんだからそこは遠慮して欲しい……とハッと気付く。……そうだ、私ジョンと結婚したわけじゃないんだ。偽名同士でしかも身分も偽ってる私はジョンと結婚出来ないだろう。

私がなんとも言えない背徳感に苛まえれているとコリーが嬉しそうに持ってきた植木鉢を差し出した。

「アンネ様!こちらペパーミントになります!」

「ペパーミント……よく紅茶に入れて飲んでいたわ。ってコリー、私のことはアリスって呼んで。」

「あ!申し訳ございません!アリス様!」

「様は要らないわ。」

「さ…さすがに呼び捨ては……。ではアリスさんって呼びますね。」

コリーはそう言いながら植木鉢を日当たりの良い窓辺に置いた。

「これで何度でもペパーミントを使うことが出来ますよ。私は料理の他に虫除けにも使っています。」

「ありがとう。節約しなきゃいけないから助かるわ。」

「……昔の生活とはまるで正反対ですもんね。贅沢三昧の貴族の生活では庶民の生活なんて想像も出来なかったでしょう。」

コリーの言葉に少しムッとする。いや、でも事実だしこんな事でいちいちイライラしてられない。

「あ、アリスさん!これ洗った洗濯物ですよね!早く干しちゃいましょう!」

コリーは足元にあった洗濯物の入ったカゴを持つと外に出ようとする。

「え!いいわ。自分でやるから!」

「遠慮しないでください!」

いや……遠慮してるわけでは……。呆気にとられてる私を置いてコリーはさっさと外に出てしまった。


「今日もいい天気ですね。」

コリーは洗濯物を出すと干していく。

下着とかもあるからあまり触らないで欲しい。

「コリー、手伝わないで大丈夫よ。そんなに量もないし……。」

「あ!いけません!」

コリーの突然の大きな声にビクッとする。

「洗濯物干す前は必ず両端をピンッと張ってください!皺になりにくいので!」

「え?えっと……こう?」

「そうです!」

なるほど。こうすれば皺になりにくいのか。私が感心していると通りの道から視線を感じる。

「あら、お手伝いさんでも雇ったのかしら。」

「やっぱり貴族様は家事なんて出来ないのね。」

私が睨むとソッと視線を外す。

まずいわ。同じような格好なのに何故か雇用関係だと思われてしまう。

「……コリー、ありがとう。やり方も教わったしもう大丈夫……。」

「よし!終わりましたアリスさん!」

……手際がいいわね。私の半分ぐらいの時間で干し終わるとさっさと家に入ってしまった。


夕方、ジョンの帰りを一緒になって待ち続けそうだったコリーをなんとか帰すと夕飯の支度を始めた。

今日は昨日とは違う味の……トマト味のスープにしようかな。ひよこ豆を入れて煮込もう。

……もうずっと、お肉食べてないなぁ。私は香辛料たっぷりのお肉を思い出す。加工肉では無いちゃんとしたお肉料理。頑張っているジョンに食べさせてあげたいけど……。


そんな事を考えているとジョンが帰ってきた。

「お、今日は皺が少ないな!」

畳んであった洗濯物を見ながらジョンは嬉しそうに言う。コリーに教えてもらったとは恥ずかしくて言えず苦笑いで誤魔化した。

「……もっと家事頑張らないとな。」

私はなんだか情けなくなりながら、夕飯のスープに添えるライ麦パンを切り始めたのだった。





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