光を求めて彷徨う愚者たち。
「……じゃぁ今日はもう少し違う町に行ってくるね。」
あれから数日が経った。なんとか簡単な料理が1人で出来るようになり、洗濯も出来るようになった。
ジョンは庭師の売り込みをしているがなかなか上手くいかないようだ。
まだ家から持ってきたお金や私の宝石を売ったりして生活しているが、これから先ずっとこの生活を維持できるとは思えない。
「うーん……。生きてくって難しいのね。」
とりあえず今日の洗濯も早く干さなくちゃ。手洗いした洋服を外に干していく。
「あらあら。せっかくの綺麗な手がボロボロねぇ。」
通りすがりに言われる悪口ももう慣れた。
そもそも悪口なんて貴族のパーティでよく言われていた。旦那様と結婚したあと、旦那様のことが好きだったらしい女性達に特に。……好きで結婚したわけでもないのに。
「悪口言う人ってどこにでもいるのね。」
身分なんて関係ないんだわ。まぁ私は強いから大丈夫だけど。
「さて!洗濯物も干し終えたし、町に行くか!」
私は夕飯を買いに町へ出た。
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「はい、今日もありがとうね。」
スージーさんから野菜を受け取る。
「……なんだか元気がないみたいだけど大丈夫かい?」
「ええ……ちょっと。あの……スージーさんのところでは働き手募集していませんか?」
「働き手?悪いねぇ。うちは人を雇えるほど余裕がなくて。」
「そうですか……。」
「新聞に求人が乗ってるからさ。広場にニュースボーイがいるから。1部買って探してみな。」
良いところが見つかると良いねぇ。とスージーさんの励ましを受けて広場に向かった。
「貴族様なんて雇うところあるの?」
「平民の方が働き者よ。」
また聞こえてくる陰口。いちいち私の行動を見て貴方たち暇なの!?と言いたい。……いや、暇なのだ。
裕福では無いこの町は働き先も少ない。収入も仕事も無い町人がすることは安いジンを飲んで現実を忘れること。それは主婦もそうだった。ジンを片手に世間話。
「……新聞を買ってから帰ろう。」
私は足早に歩き出した。
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「うーん。無いなぁ。」
帰ってから新聞の求人を見る。貴族からの依頼がほとんどでベビーシッターや肖像画の依頼などだ。
「赤ちゃんの世話は怖くて出来ないし、絵は書けないし……。いや、そもそも貴族の家には行けないわ。」
お父様と繋がりがある貴族だったら大変だもの!
とりあえず心を落ち着かせようと紅茶を入れる。家から持ってきた茶葉は少しずつ減ってきていた。
「……ただいま。」
静かに戸が開くとジョンが入ってきた。
「おかえりなさいジョニー!……仕事どうだった?」
ジョンは無言で頭を振る。私はジョンのハンチング帽を受け取ると紅茶を入れた。
「だけど庭師って結構必要な仕事だと思うけど。どうして1件もダメなのかしらね?」
私は紅茶を飲みながらジョンに聞いた。
「ジョニー?」
「ああ、悪い!何?」
「……なんでもないわ。」
疲れている彼に追い打ちをかけたくない私は聞くのをやめた。
「それ、今日の新聞?」
「ええ。町で買ってきたの。求人が見たくてね。」
「求人!?ダメだ!アリスは働かなくていい!」
「ううん。ジョニーにばっかり負担をかけられないわ。と言っても良いところ無かったけど……。」
「ちょっと見せて。」
ジョンは求人欄を見つめてずっと何かを考え込んでいた。




