まるで異世界に来たアリスのような。
「よし、だいたい基盤は出来た。こんな感じで大丈夫か?確認してくれ。」
数時間後、ペティさんは汗を拭いながらこちらに来た。
「質素ですがそんなに悪く……「はい!充分です!ありがとうございます!」」
私の言葉をジョンは慌てて遮った。
「なら良かった。明日には出来上がるからまた明日夕方辺りに来てくれ。」
その言葉に私は驚いた。
「え!今日出来上がるんじゃないですか!?」
「おい、おいお嬢ちゃん。年寄りをあまりこき使わないでくれよ。シングルベッドを1日ではさすがにきつい。1週間で壊れそうな簡易ベッドならなんとか作れそうだが。」
そんな貧弱な簡易ベッドを作られても困るので私たちは渋々承諾をしてまた明日来ることにした。
「……物を作るって大変なのね。」
家具なんてアンティーク屋に行ってこれ欲しい、と言うだけの生活だったから造り手のことは全く分からなかった。世間知らずの自分が恥ずかしくなりため息をつく。
「しょうがないよ。貴族と平民は全く世界が違うんだから。それよりさ、今日夕飯どうする?家の片付けもあるから露店で買おうか?」
その言葉に私はハッとした。そうだ。今までご飯は時間になれば勝手に出てきたけど、今は私が用意しないと。
「そ…そうね。とりあえず今日は露店にしましょう。」
明日時間があったら本屋に行こうかしら。料理の本を買わないと……。料理をしたことが無い私は不安になった。
ううん!これは私が選んだ道!頑張らなきゃ。
日が落ちてくるとさらに冷え込む。温かい紅茶を帰ったら飲もうかしら……と考えながら歩いてると大通りが見えてくる。大通りを出ると広場に出た。広場は広いが汚く、酔っ払いが寝ていたり大声で話していた。
……夜に1人で出歩くのはやめよう。
お酒の匂いに顔を顰めて歩いていると良い香りがふわっと漂った。
「良い香り……!」
ジョンの手を取り良い香りのところに行くと露店が見えてきた。
「やぁ、綺麗なお嬢さん。こんなところに珍しいね。ミートパイはいかがかな?」
露店商人に言われ見てみると美味しそうなミートパイがズラリと並んでいた。
「美味しそう!ジョニー、一つ買わない?」
「そうだね。一つください。」
「毎度あり。」
商人が出際よくミートパイを包んでいると奥の方で何かが動くのが見える。
「ん?……ひっ!」
覗き込むとネズミがこちらを見ていた。
「どうかしたかい?」
「い……いえ。何でもないですわ。」
私は包んでもらったミートパイをジョンに持ってもらい家へと向かった。
「そのミートパイ……ネズミの肉で出来てないわよね?」
「違うよ。豚肉さ。そうか……アリスはあまり露店で食べた事ないよね。露店はお世辞にも清潔とは言えないんだ。味は美味しいんだけどね。」
そうか……。町に出た時お父様が露店の物を嫌がったのはそういうことだったのか。ただ単に貴族の見栄かと思ったけど……。
私はそう……。とか細い声で返事をすると前途多難な新生活に少し気が重くなった。




