英雄の鬼点
さぁ始まりました新連載!
ひっさしぶりですねえ、こちら本編との温度差で皆様に風邪をひかせることを目的としたクソ前書きでございます!!
いやー、最近受験やら新生活やらで忙しくてですね、創作やってる暇なかったんすわ!! それでもうめっちゃ放置したやつの続き書くのもなーと思って新しく始めた次第でございます!
まぁ前書きと後書きは本編の反動ではっちゃけるのであしからずと言うことで、久々の投稿、楽しんで下さーい!!
僕達は、昔兵士に憧れていた。
まぁ、若気の至りというか、子供がヒーローに憧れるアレだ。まぁ、人殺しにヒーローも何もあったものじゃないが。
これは、世界の英雄でも一国の王でもなんでもない、ただの一介の兵士が備忘録として残した物として見てもらいたい。
戦争は得意だが、無ければ良い事に変わりはない。見知った者が死ぬ事になんて、慣れない方が良いに決まっているだろう?
───────その点では僕はもう、手遅れだと言わざるを得ないのだけれど────────
「なぁ、俺達って将来どうなるんだろうな」
学校帰りに唐突に、1人の男子が彼の2人の幼なじみに話しかけた。
「まぁ……兵士にでもなるんじゃないか? 人手が足りないってよく聞くしな」
話しかけられた男子は、どこか他人事のように返す。
「私もなれるかな。……女子だけど」
もう1人は女子だ。やっぱり難しいんじゃないか、と話しかけられた方の男子は返す。
彼らは孤児だ。同じ孤児院で育った幼なじみである。
初めに話しかけた男子はシュロス。本名は「シュロスハント=ラウズ」だ。そして、話しかけられたメガネの男子は「ルーク=リンジ」。幼なじみにはルークと呼ばれている。そして、最後の1人は「エラ=アシュズ」。兵士に憧れる数少ない女子だ。
「まぁ、兵士にはなるしかないよなぁ」
シュロスは頭の後ろで腕を組み、ぼーっと空を見上げる。兵士かぁ、と呟く。
「むしろお前には天職みたいなところはあるだろ」とルークはため息をつきながら言う。まーね、とシュロスは悪戯っぽく笑いながら返す。
育った環境が環境だ。殺人強盗でもしなければ生き残れなかった彼らに、「人殺し」という概念に躊躇などなかった。最も、孤児院に拾って貰えた今は、もうそんな必要はないのだが。
「やっぱ志願して行くの? ルークとシュロスは」
エラが心配そうな顔で尋ねる。それはそうだ。これも育った環境上仕方ないのだろうが、肉親とほぼ同義に位置する幼なじみが死ぬのは怖いものだ。
「まぁ、そうだな。その方が待遇はいいからな」
「現実的だなーお前。俺は別にそういうのどうだっていいけど。むしろ兵士しか就職先ねえだろもう」
どちらもいい意味でも悪い意味でも現実を見ていることは、エラも分かっている。だからそれ以上、何も言うことは無かった。
「私も兵士になりたいなぁ……」
エラはぼーっと呟く。やめとけやめとけ、ろくなもんじゃねえぞとシュロスが制止するも、エラはだって、と続ける。
「ルーク達だけ死地に向かって、私だけ内地でのんびりなんてしてられないよ。人手が足りないったって、内地侵略されるほど切羽詰まってる訳じゃないでしょ?」
返す言葉もないな、とルークは苦笑する。シュロスはそれでもやめた方がいいと思うんだけどなあ、と苦虫を噛み潰したような顔をした。
「まぁどうせ私は行けないんだろうけどね」
エラは無理して笑っているようだった。さすがにこれには、ルークもシュロスも、何も言えなかった。
「おーおーどうした辛気くせえツラして。子供がするツラじゃねーぞ。鏡見てこいおまえら」
孤児院に帰るなり、妙に明るい青年がルーク達に突っかかる。
彼はユルグ=ハントレス。彼も兵士だが、年齢の割に結構上の階級にはいるようで、人手が足りないっつってんのに、なぜか休暇まで貰えている。
昔からルーク達の事は気にかけていたようで、長めの休暇を貰う度に、彼らのいる孤児院へと帰ってくる。そのせいで、孤児院にいる他の孤児達にも結構人気者だ。
「んー、まぁちょっとな」
シュロスがいなすように言うと、まぁ深くは聞かねえけどよ、とユルグはちょっと申し訳なさげに呟いた。
「まぁそれはそれだ。そろそろ晩飯も出来るらしいし、はやく荷物置いて手ぇ洗って来い。今日はなんとビーフシチューだからな。他のガキどもに食われちまうぜ?」
それを聞いたルーク達は、洗面所へと駆け出した。