表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

正義の味方スターフラッシュマン!

作者: ササラ

 スターフラッシュマンは正義の味方だ。

 その役目は悪の怪人を成敗すること。

 超法規的例外的な存在であるスターフラッシュマンは、世界の超秘密事項とされていた。しかし、神の悪戯か三人だけ――偶然彼を目撃したものがいた!

 一人は蒼乃あおのソラ、という名の少年。スターフラッシュマンが自動販売機でコーラを買っている場面を目撃した――スターフラッシュマンはコーラを買ったりするのだ!!

 そして一人はアルメリア=マリア=セーナ、という名の少女。スターフラッシュマンが犬の散歩をしている場面を偶然目撃した――スターフラッシュマンは犬を飼育することがあるのだ!!

 もう一人は宮内勇吾みやうちゆうご、という名の少年。スターフラッシュマンが道端に落ちているネズミ捕りに引っ掛かっている場面を偶然目撃した――スターフラッシュマンは道端に落ちているねずみ捕りに引っ掛かるようなお茶目な所があるのだ!! しかし、ねずみ捕りが道端に落ちていることは滅多にない!!

 このように、スターフラッシュマン自体は目撃されているものの、しかし、彼が悪と戦う正義の味方であることを知っている者はいなかった。こうして、スターフラッシュマンの秘密はなんとか守られているのだ。


***


 某日、スターフラッシュマンはとある採石場にいた。

 そこにいるのはスターフラッシュマンと悪の怪人の二人だけ。周りに人影もなく、今から起こる出来事は、この二人以外は誰も知ることはないだろう。

 スターフラッシュマンは対面する怪人に向かって一歩踏み出した。怪人はすかさず構えた――しかし、その時には既に、スターフラッシュマンは怪人の背後を取っていた。

「スターチョーップ!」

 スターフラッシュマンの必殺技が炸裂した! スターチョップとは名称からしてチョップの類の技だと思われるが、しかし、その動きはあまりにも早く、実際スターフラッシュマンが何をしているのかはわからない。

 必殺技を食らった悪の怪人は爆発した。その刹那――スターフラッシュマンは高速移動で自宅に帰り、爆発を回避した。


 

 一方その頃、スターフラッシュマンを以前目撃したことのある蒼乃ソラは、仲間とともに世界の滅亡を企む魔女、ボール・ド・ジュナンと対峙していた。

「私をここまで追い詰めたのは見事だわ。でも、あなた一人で私に挑みに来るべきだったわね。あなたのお仲間全てには、私の呪い(まほう)――髑髏の花嫁(デッド・マリッジ)をかけたわ」

「髑髏の花嫁……何だ、初めて聞く名前の魔法だ……一体、彼女たちに何をした!」

 ソラは叫ぶ。

「あははは、はははははははは」

 ボール・ド・ジュナンは高らかに笑った。その笑いはひどく冷たく痛々しかった。

「そうね、この呪文は私だけが使えるもの。知らなくても仕方がないわ。教えてあげましょう、髑髏の花嫁の秘密を……そして秘密を知ったあなたは、もっと苦しむのよ……フフフ……」

「いいから早くっ……!」

「フフフ、髑髏の花嫁は苦渋の選択。助かる命はただ一つ。あなたは愛する人々から、一人誰かを選ばなければいけない。選ばれた者は呪いから解放され、しかし選ばれなかった者は命を失う。これは恋の不平等から生まれた絶望が集まりできた悪戯。持つ者には、その選択肢の数だけの苦しみを――あなたはどうやら彼女たちにとても好意的に思われているようだから、この呪いをかけるのに好都合だったわ」

「くっ、そんなふざけた魔法があるわけ……!」

「あら、嘘をつくのは悪魔の仕事、私は嘘が嫌いなの。でも信じないのならそれでも良いわ、あなたの大切な人が皆朽ち果てるだけだから……フフフ、アハハハハハハ」

「くそっ、どうすれば……」

 ソラは膝をつき、己の無力を嘆いた。

 これじゃあ、何も昔と変わらない――もう誰も失いたくないのに、けれどもまたしても俺は……一歩及ばないのか……

「ソラ、立ち上がって! ここであなたが立ち上がらなければ、誰があの魔女を倒すの!?」

「……ニーナ……」

「世界を救うために死ねるのなら、私は本望よ。ソラ、私のことは良いから今はあいつを倒すことだけを考えるの!」

 そして、ニーナは幼馴染でもあるソラと過ごした日々を振り返った。

「たとえ私の肉体が滅んでも、私の思いが消えることはないから……だから大丈夫、その手で希望をつかむのよ!」

「……ニーナ……」

「そうよっ、いつまでくよくよしているの! ボール・ド・ジュナンを倒すチャンスじゃない! シャキッとしなさいっソラ!」

「……サナ……」

 朝起こしに来るタイプの、ソラの幼馴染でもあるサナは彼と過ごした日々を振り返った。

「病弱な私が、ここまであんたと一緒に来られただけでも奇跡なんだから。これ以上望んだらきっと罰当たりよ。だから、私のことは気にせず前に進んで……そして、この世界にもう一度、雲一つない青空を取り戻して!」

「……サナ……」

「ワターシも同じ気持ちヨ、ソラ」

「……キャサリン……」

 留学生としてソラのパーティーに加わったキャサリンは、彼との日々を振り返った。

「ジャパンはso エキサイティングね。ホントはもっと、いろいろな所をサイトシーイングしたかったけど、でもソラの話した、みんなスマイルな世界はモアモア見たいでーす!」

 そして彼女は一呼吸おき

「ソラ、死は誰にでも訪れるものヨ。だからネ、悲しむことではないの。ワタシはソラと一緒に旅ができて、とてもスペシャルなライフだったデース。だからソラは、あなたにしかできないことをしてクダサーイ。ソラ、今までありがとう」

 最後にキャサリンはニコリと顔をほころばせた。それは大好きな天ぷらを食べるときの、大好きなJpopアイドルの話をするときの、そしてみんなと一緒にいる時に見せる――いつもと、変わらない笑顔だった。

「……キャサリン……」

「私も彼女たちと同意見だ」

「……ランスロットさん……」

 元々は王直属の騎士団の女騎士であったが、ひょんなことからソラと共にボール・ド・ジュナンを倒すことになったランスロットは、ソラとの日々を振り返った。

「……いや、今更何も言うまい。貴様とは充分剣で語り尽くした」

「……ランスロットさん……」

「右に同じく!」

「……吉田……」

 吉田はソラとの日々を振り返った。

「頑張れ」

「……吉田……」

「……別れの挨拶は済ませたかしら?」

 ボール・ド・ジュナンは退屈そうに欠伸を一つした。

「さあ、選びなさい蒼乃ソラ。あなたが誰を生かし、誰を殺すのか、私に教えて頂戴」

「……俺は誰も選ばない」

「あら、つまり選択を放棄するってことかしら? それじゃあ、あなたはとっておきのハッピーエンドを迎えることになるわよ?」

「ああ、そうだ。とっておきの、誰も傷つかず全員で迎えるハッピーエンドだ」

「フフフ、夢の話は死んでからにしてもらえるかしら」

「ここにいる人はみな大切な人だ。優劣なんか付けられるわけはない。だからもし、選ぶのであれば――俺はここにいる全員を選ぶ」

「…………綺麗事ばかり言ってんじゃねえぞ! この呪いに救いはねえ! それだけ大層なことを抜かすなら、さっさと悲劇のヒロインを助けてみせろ、クソガキィ!!」

「言われなくてもそのつもりだ――インクリーズ!」

 唱えた魔法に反応し、彼の身体が青く光る。そしてその光はどんどん増大し、一瞬、彼の周辺は閃光に包まれた。

「そんな、バカな……」

 ボール・ド・ジュナンは、目の前の光景に呆然とした。

 光から現れた蒼乃ソラは、何と――5人に増えていた。

「髑髏の花嫁は一人を選択させる魔法、しかし選択する人間がその分増えれば選択肢もそれだけ増加する。これが俺の答えだ、ボール・ド・ジュナン」

「だからといって、自分を増やすだなんて……そんな人の理を超えた魔法をお前の様な只の人間が使えるはずが……」

「俺の力では無理だっただろうな。でもな、時に人間は人智を超える思いを持つことだってあるんだよ。この魔法は……そう――愛の力さ」

「愛の……力、だと」

「人間であることを諦めたお前には決してたどり着くことの出来ない力だよ」

「……くそ、人間ごときが……この私を……」

「終わりだ、ボール・ド・ジュナン。お前の魔力がもう尽きていることもわかっている」

「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!」

 しかし魔女は、もはや自分の体を維持することも出来ず、彼女の肉体はひび割れ、綻び

「次は災厄に生まれ変わり、お前ら人間を殺す! 残された日々を恐怖しながら過ごすが良い……」

 そう言い残すと、ボール・ド・ジュナンは灰となり消え去った。

「……その時はまた、お前を倒すだけだ」

 五人のソラは同時に言った。

 こうして、世界に再び平和が訪れた。増えたソラはそれぞれ便宜上、ソラをソラ太、ソラをソラ夫、ソラをソラ衛門、ソラをソラリゼーション、ソラをソラ吉田と改名し、ソラ太はニーナと、ソラ夫はサナと、ソラ衛門はキャサリンと、ソラリゼーションはランスロットと、ソラ吉田は吉田と結婚した。

 そしてそれぞれ一人の娘をもうけ「アイ」と名付けたが、偶然5人共名前がかぶってしまったので便宜上、アイをアイ子、アイをアイミ、アイをアイ式部、アイをアイオーシー、アイをアイ吉田と改名した。


***


 某日、スターフラッシュマンはとある崖の上にいた。

 そこにいるのはスターフラッシュマンと悪の怪人の二人だけ。周りに人影もなく、今から起こる出来事は、この二人以外は誰も知ることはないだろう。

 スターフラッシュマンは対面する怪人に向かって一歩踏み出した。怪人は後ろへたじろいだ。

 その瞬間――スターフラッシュマンは怪人を指差した。

「ハンニンハオマエダ!」

 スターフラッシュマンの必殺技が炸裂した! ハンニンハオマエダとは名称からして事件の犯人が怪人であることを示す類の技だと思われるが、しかし、その推理はあまりにも複雑で、実際怪人が何の犯人なのかはわからない。

 必殺技を食らった悪の怪人は泣き崩れた。

「ケイジサン、ワタシガヤッタンデス」

 そう言うと、怪人は爆発した。その刹那――スターフラッシュマンは高速移動で自宅に帰り、爆発を回避した。

 高速移動中、スターフラッシュマンは自動販売機でコーヒーを買った。


 

 一方その頃、スターフラッシュマンを以前目撃したことのあるアルメリア王国の王女であるアルメリア=マリア=セーナは、王国の宮殿にいた。

 アルメリア王国は、隣国コーサラ王国の侵略を受け、王都陥落の危機にあった。そして、その戦火はアルメリア=マリア=セーナのいる宮殿にも及んでいた。

「王女、ここは危険です! 早くお逃げ下さい!」

「離して下さい、私がこの戦いを止めなければいけないのです!」

 アルメリア=マリア=セーナは、執事ハルベルト=ロンバルディーの手を振り払った。

「お言葉ですが、王女一人で一体何ができるというのですか! あなた様の剣の腕は達人の域、しかし多勢に無勢。一対一の戦いならまだしも、国の軍相手では……」

「民を守ることの出来ない王女など必要ありません。そこをどいてください、ハルベルト=ロンバルディー」

「しかし……!」

「王女の言うとおりにしてください、ハルベルト=ロンバルディーさん」

 ハルベルト=ロンバルディーは後ろを振り返った。そこには一人の男が立っていた。

「あ、あなたは、ロイヤル騎士団団長――ナイツ=フォン=ラムルス卿! どうしてこんな所に」

「王女の露払いとして参上しました。さあ、アルメリア=マリア=セーナ王女、行きましょう」

「な、騎士団長であるあなたも! 王女を戦場に駆り出すのですか!? そのようなふざけたことが」

「ええ、私も最初は猛反対しました。ただ王女の秘策を聞いたら心変わりをしまして。これなら、今の戦況を変えられると思ったのです」

「……秘策?」

「そう、秘策です。王女、ハルベルト=ロンバルディーさんにご説明を」

「はい」

 アルメリア=マリア=セーナは胸に手を置き一呼吸すると、ハルベルト=ロンバルディーの顔を真っ直ぐ見た。

「秘策というのは、伝説のアパルトスの戦いに使用され、戦いをその一瞬で終わらせたという魔法術式――ゼグノギア」

 アルメリア=マリア=セーナの口から出た「ゼグノギア」という言葉を聞き、ハルベルト=ロンバルディーは動揺を隠せなかった。

「ゼ、ゼグノギアはルーア文字で書かれており、未だ誰もゼグノギアを解明できていないはず! その神秘の魔法を……ま、まさか王女!?」

「ええ。私に流れるアムネシアの巫女の血のおかげで、ゼグノギアが解読できました」

「そういうことです。コーサラ王国との圧倒的な戦力差から考えれば、アルメリア王国が滅びるのも時間の問題。だから、私達にはもう彼女を――アルメリア=マリア=セーナ王女を信じるしか選択肢はないんです!」

 ナイツ=フォン=ラムルスは、ハルベルト=ロンバルディーに歩み寄った。

「しかし、これは私、ハルベルト=ロンバルディーの一存では決めることはできないことです……カラムルト=マキアノン様に連絡をさせて下さい」

「カラムルト=マキアノン……というと確か執事長でしたか。執事の組織体制がどうなっているかは分かりませんが、それで許可してくれるのなら早く済ませてください」

 ハルベルト=ロンバルディーはポケットから魔導連絡機を取り出し、カラムルト=マキアノンに繋いだ。

「あ、もしもし、ハルベルト=ロンバルディーですけども、あのー王女のことで少し相談が、あ、はい。え、王女のことはサラキエム=アル=ソロン様に、あ、管轄外……はい、わかりました、了解です、失礼します」

 ハルベルト=ロンバルディーは魔導連絡機の通信を切った。

「あの……サラキエム=アル=ソロン様に連絡して……」

「わかりましたので、早くしてください」

「は、はい。申し訳ありません」

 ハルベルト=ロンバルディーは魔導連絡機を、今度はサラキエム=アル=ソロンに繋いだ。

「あ、もしもし、ハルベルト=ロンバルディーですけども、王女様のことで相談をしたく……あ、はいそうですね。それでですね、実は王女様を前線に立たせゼグノギアを発動させるという……あ、管轄外ですか……なるほど、軍事担当のサダール=ゴウキ様の方に連絡を、はい、わかりました、了解です、失礼します」

 ハルベルト=ロンバルディーは、今度はサダール=ゴウキに連絡をした。

「あ、もしもし、ハルベルト=ロンバルディーですけども、ご相談があって……実はですね、王女様を前線に立たせゼグノギアを発動させるという作戦が、ロイヤル騎士団団長ナイツ=フォン=ラムルス卿より提案されて……あ、ここの二人だけではなくリンゴ=ゴリラ=ラッパ=パンツ=ツミキ=キツネ=ネコ様にも相談しないと決められない……いや、でも大丈夫じゃないですかリンゴ=ゴリラ=ラッパ=パンツ=ツミキ=キツネ=ネコ様には言わなくても……はい、サダール=ゴウキ様の許可が出れば問題は……ですが、リンゴ=ゴリラ=ラッパ=パンツ=ツミキ=キツネ=ネコ様にはそれほどの決定権は無いですし……え、リンゴ=ゴリラ=ラッパ=パンツ=ツミキ=キツネ=ネコ様にですか? いや、そうですけど……」

 なかなか話が進まないことにナイツ=フォン=ラムルス卿は業を煮やした。

「……ええい、責任は全部、このロイヤル騎士団団長ナイツ=フォン=ラムルスが取ります! 王女様、行きますよ!」

 そして、王女の手を取り走り出した。

「あ、ナイツ=フォン=ラムルス卿、まだ……」

「そんなに連絡するのが好きなら、勝利の女神に私達を加護してくれるよう祈って(れんらくして)下さい!」

「…………行ってしまわれた……天の神よ、どうか彼女たちにご加護を……え、管轄外。ではどちらに……」

 ハルベルト=ロンバルディーの孤独な戦いはまだ始まったばかりであった。


 王女の登場により、前線で戦う兵士の間にどよめきが起きた。

「これからゼグノギアを発動させるわけですが、そのためには呪文を詠唱しなければいけません。しかし詠唱中は、精神を全てそこに集中させなければいけないので、私は全くの無防備になります。ですから……」

「安心して下さい。王女には傷一つ付けさせたりしませんよ。この国の希望を――アルメリア=マリア=セーナを、命を賭してお護りします」

「……ありがとうございます、ナイツ=フォン=ラムルス卿」

 そしてアルメリア=マリア=セーナは、背負ってきたケースから、ギターを取り出し構えた。

「それでは聴いて下さい……魔法きょくは『ゼグノギア』


 

  夢を叶える魔法をかけるよ

  

  何もかもうまくいかない日

  勉強がわからない

  仕事で大失敗

  恋人にフラれる

  どしゃ降りのrainy day


  苦しい時にささやく悪魔の声に

  耳を傾けちゃダメ

  そんな時は歌うの

  愛と勇気の魔法うた


*1Let’s  go ゼグノギア

  涙ぬぐって

  Let’s  go ゼグノギア

  顔を上げて

  止まない雨はないから

  さあ、踏み出そう ゼグノギア

                                                

  (*1を好きなだけ繰り返す)



…………どうもありがとうございました」

 どこからともなく拍手がわき、敵や味方関係なく、戦場に一体感が生まれた。

 サビ前の盛り上がりはマジでハンパなかった。

「王女様やりましたね。どうやらゼグノギアは成功したようですね。コーサラ王国の兵士がどんどん退いていきます」

「……よかった。これで戦が終わるのね」

 アルメリア=マリア=セーナのゼグノギアに感動したコーサラ王国の兵士は、自国に帰還し、王へ戦いを終わらせるよう直談判をした。

 アルメリア王国、コーサラ王国、共に戦おうとする兵士はおらず、戦はゼグノギアによって終結した。

 その後、アルメリア=マリア=セーナは歌手デビューをし、デビュー曲『ゼグノギア』はミリオンセラーとなった。


 そして時は経ち、場所は武道館のステージ裏――

「ついに念願の武道館ライブですね、アルメリア=マリア=セーナ。今日も思いっきりステージを楽しんで下さい」

「……ありがとう。でも、ここまで来れたのもあなたのおかげよ――ナイツ=フォン=ラムルスマネージャー」

「お褒めの言葉、光栄です。では、行きましょう、観客の皆様も待っています!」

 アルメリア=マリア=セーナがステージに登場するやいなや、割れんばかりの歓声が巻き起こる。

 今日も彼女は歌う。


***


 某日、スターフラッシュマンは自宅にいた。

 特にやることはなく、携帯をいじっていてスターフラッシュマンの一日は終わった。



 一方その頃、スターフラッシュマンを以前目撃したことのある宮内勇吾は、車に轢かれそうになった子どもを身を挺して庇うが、自身は車に激突し死んでしまうものの、しかし、彼の善行を見ていた神様は、「ボーナスチャンス」として、彼に神の力を付与した状態で異世界に転生させ、そこで勇吾は第二の人生を生きることとなるが、そこは魔王によって支配されたディストピアであり、彼は世界に真の平和をもたらさんと魔王討伐の旅に出て、道中、彼は国を失い魔王軍に追われる姫を助け、彼女を仲間に加え、あと、差別から身を隠して、盗賊としてしか生きることの出来ない獣人に彼らは出会い、勇吾の熱い言葉によって獣人は改心し、盗賊をやめ、彼の仲間となり、あと、魔王軍との戦いに敗北したことで、職を失いやさぐれてしまった元騎士に彼らは出会い、勇吾は元騎士と紆余曲折あって剣を交えることとなるが、勇吾が勝利し、彼の世界に平和を取り戻そうとする熱い思いに胸を打たれ、再び剣を握ることを決意し、元騎士は勇吾の仲間となり、あと、道中勇吾らが、魔王軍の支配から解放した村の僧侶が感銘を受け、彼らの仲間となり、あと、魔王を倒すために共に戦いたいと、剣士が勇吾の仲間になるが、実はその剣士は魔王軍から送られた暗殺者であり、勇吾らの殺害を試みるも中々機会が訪れず、勇吾と共に過ごす中、次第に彼らの優しさに惹かれ、魔王軍を裏切る決意をするが、魔王四天王との戦いで、勇吾を庇い死んでしまい、それからいろいろなことが起き、ついに魔王と、勇吾、姫、獣人の三人は(元騎士と僧侶はなんやかんやで死んだ)対峙することとなり、最終的には、勇吾達が勝ち、世界は平和になった。


おしまい


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 最高ッス! これからも頑張ってください!
2018/09/27 18:06 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ