5.ガタガタごと揺れる思考の中で
考えごとが好きなみたいです。
今回の調査内容は叔母様の御友人の浮気調査をしていた。
御友人の婚約者はありがちな政略結婚だった。愛がないのは仕方がないことだったが、多少の浮気なら目を瞑る。だが金銭面的に遊びに熱を入れすぎているのではないかと叔母様に相談した。
そして叔母さまを頼り、調査に至ったのである。
読みの通り男はかなり金を使い込んでおり、近い将来領土経営問題に発展するのは確実だと言えた。
流石叔母様の御友人、早目に対策を打とうとするとは賢明である。
事の次第を叔母様へ報告の書をしたためると重い腰を持ち上げ、姉様の婚約準備、正確にはわざわざ王都のでかいパーティーへ行く準備に取り掛かる。
何故煩わしいパーティーにわざわざ行くのかというと、もちろん政略的な対策である。
シュピオナージェ伯爵領は特産品がなく収入源がない。
更に近年の不作で領の家計は火の車であった。
これまでは叔母夫婦に援助して頂き、何とか工面できたが、この先もずっと援助を求めるわけにもいかない。
また貧乏な伯爵家は金銭的に立場が弱い。
姉が結婚した男爵家に取り込まれてしまわないように何か男爵家に対して優位に立てるものが欲しかった。
気が向かないがこればかりは仕方がないのだ。
これから伯爵家を切り盛りするためにもどうしても必要なことである。
気に乗らないが山越え谷越えで三日がかりで王都に移動してきたカトリーヌ、山賊に気を付けてはいたが寝るだけの宿を取る位で旅はあっさりしたものだった。
我が身位しか守るべきものがないのだから、当たり前のことだが。
ただし、嫌々でもパーティーに出かけるとそんなわけにはいかない。
新しく良い縁を結ぼうとするためには、そんな事はおくびにも出さず、互いに偽りの笑顔で挨拶を一通り済ませ、人の様子や噂を調べて、見かけの社会の様子ではなく実質的な社会を理解するという情報収集をしなければならない。
勿論次期当主であるカトリーヌである。
中には身分が低いのに関わらず小娘だと舐めてかかり、あまつさえ騙して取り入ろうする者もいる。
貴族が揚げ足取りする等と嘆かわしいことだか、弱肉強食な世界なのはどこも同じ、致し方ない。
ガタガタ揺れる馬車でひたすら他領の調査を確認するカトリーヌだった。