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4.甘えなきその令嬢
シュピオナージェ伯爵家は当主の父が亡くなり、領土を経営できないお母様に代わって叔母夫婦が力を添え、何とかやってきていた。
だが、その状況も長くは続かない。
姉様が嫁ぐ今、婿養子を貰うことになる私が経営し領土を守って行く。
決して家を没落させるわけにはいかないのだ。
そして現在も楽天家な母や姉と違って、カトリーヌは他家の弱味を握ったり、叔母と協力して策略を立てたりとシュピオナージェ伯爵家のために日々奮闘していた。
姉様は愛しの人と問題なく結婚できて幸せだわ。としか思ってないだろうが、これはカトリーヌがチャンスというチャンスを掴み、駆け回った結果。
また運の良いことに姉様の好きになった男のいる男爵家は経済発展していて景気が良く、より身分の高い者と縁を結びたがっていた。
今回は上手く行ったがまた自分自身の伴侶を迎え入れる時に、貴族と腹の探り合いをするかと思うと憂鬱になる。
まだ15歳にも関わらず、いっそ優秀な養子を庶民から見つけて、独身を貫こうかと検討する程だった。