ドライブ
フィクションですので、ご了承下さい。
どうも、始めまして。スズキって言います。
えっ?「急に出てきて誰なんだ!」って?まぁ、僕も実は戸惑ってるんですよ。だって急に呼ばれて、みなさんの前で喋れって言われまして。
とりあえず、僕の経験を喋れって、知り合いに言われたんで、聞いていただこうかな?と思います。
あれは、いつだったかな?確かだいぶ前の・・・お盆休み位の時、友人達と遊びに行った時の話なんですが・・・
自分と友人3人の計4人で、全員男なんですが、その当時唯一車を持っていたAのコンパクトカーで、日帰り旅行したんです。それで、日も暮れて地元へ帰る時に、行きとは違うAが知っている近道を通ることになったんです。
それで、その道に入る交差点を曲がると、助手席のBが「おい!こっち通るのかよ!」って、焦ったように言い出したんです。後ろに乗ってる僕とCは、頭の中で(?)ってなったんですよ。
この当時は僕、電車通勤だったんで知らなかったんですが、なんでもBによると、この道は事故多発で有名な峠道だそうで、あんまり言いたくないんですが、重傷とか・・・死亡事故が多いらしいんですよ。
僕は(やだなぁ・・・)って思ったんですが、Aは気にならないどころか、「大丈夫だって!時々通ってるけど事故ってねぇしよ!平気平気!」と言って、Cは「Aが事故って無いんだから大丈夫だって!ビビりだなぁBは!アハハ!」と気にしてないどころか、Aに「行け行けぇ!」って煽る始末。
終いにはBは「知らないからな!?」と、ふてくされてしまったんです。
峠道に入って少しすると完全に暗くなり、対向する車もなく、Aはライトを上目にして走らせていたんです。
僕は(良くこんな寂しい道走れるなぁ?普段は1人でって言ってたけど、僕には無理だよなぁ)って思っていると、頂上位の所に少し開けたようになった場所に出たので、Aは「休憩しようや!」と、車を適当に、役所だか何かの廃墟の前に止めたんです。 Bは、「俺は絶対に降りないからな!」とドアに鍵をかけたんです。
AとCはそれを見て、笑いながら車から降りたんです。
僕も疲れもあって、降りて伸びをしようと、シートベルトを外していると、「おい、スズキ。」って声をかけられたんです。顔を見ると強張ってて、汗もかいているんです。
どうしたのかな?って思ってると、「絶対に降りるな。降りるのなら、あの建物には近付くな。」って言われて、僕はビビりですから、「お、おぅ。」としか言えなかったんです。
5分位するとAが戻ってきて自分のカバンを漁った後、また外にいるCの所に行って、壊れた正面玄関らしき場所から入って行っちゃったんです。
(あ~・・・はいってっちゃったよ~)って思ってると、Bもそれを見ていたらしく「あんのバカ共!知らねーぞ!!」って声を荒らげたんです。で、よく見るとBが震えてるんですよ。
どうしたのかな?って声をかけようとすると、外から光が見えたので見てみると、建物の中からライトの明かりが見えてるんですが、激しく動いてるんですよ。
何かあったのかな?って思ってると、すぐに辺りに響き渡るくらいの大きな声が聞こえて、AとCが走って飛び出してきたんです。
慌てて車内に入ったAは、Cがまだドアを閉めていないのに、車を走らせ始めたんです。
僕は慌ててCのズボンのベルトを掴んで、落ちないようにすると、Cはやっと扉を閉めて、シートベルトを震えながら着けようとしてるんです。
けど、なかなか着けられず、僕も手伝ってやっと着けられたんです。
Cはもう、完全にパニック状態で、「ガキが!ガキがいたんだよ!血塗れで!」って。
僕は、「怪我してる子供置いてきたの!戻って手当てしなきゃ!」って言うと、Aが「バカヤロー!!天井や壁を歩くガキ共が普通の人間かよ!?」って。
結局、AもCも揃って「2度と行かない」と、麓に着くまでそれしか言いませんでした。
僕もあまりの恐怖に、何も言えなくなってしまいました。
その後、僕とBは家が近所なので一緒に降りて、すぐに帰宅したんです。
翌朝テレビをつけると、車がグチャグチャになって崖下で見つかった、とニュースになっていて、AとCの名前も出てたんです、死亡って。
嘘だろ!?って思ったんですが、ちょっと見えたナンバープレートは、見間違えようもなくAの車だって証拠でした。
直後、電話が鳴って出てみるとBからで、AとCが事故に遭ったの知ってるか?って内容でした。
別れた直後にBの所にCからメールがあって、「Aのスマホ知らないか?」って。「分からない」と返信したら、「戻るしかないのかぁ」と来て、それっきりだったそうです。
数日後、Bに呼び出されて、僕からあの時の話をすると、実はBの会社の先輩達が同じ様にその廃墟、小児専門病院だったんですが、肝試しに行くと行って事故に遭ってしまったそうです。
それも、何組かだそうで、ほとんどが重傷か死亡だったそうです。
僕はそれを聞いて怖かったですよ。
だって
あの時、2人が乗って少し経ったとき、視線を感じてルームミラー見て、何も言えなくなったんです。
AとCの腕に血塗れの子供達がしがみついてるの、見えたんですから