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鋼鉄の指揮官(ハガネノシキカン)  作者: 黒縁眼鏡
第一部ヤポネ動乱編
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第五章「包囲」

第五章「包囲」


 援護が到着した頃、ソードとクロスボウ2は機体の損傷が中程度でまだ保っていた。機体の性能もあるだろうが、訓練の結果でここまで出きるようになっているはのは間違いない。素人や練度が不足している者が正規パイロット相手にここまで持ちこたえられる訳がないのだ。

 そして、到着と同時にクロスボウ1より戦術が告げられた。

「クロスボウ1より全機! 私のロックオン情報を送るからリンクして。今から私とランス1が狙撃で敵の浮遊装甲を時計回りに動かすよ。空いた隙間に全弾丸を撃ち込んで!」

 全機のFCSにロックオン情報を送信し、準備が整ったのを通信で確認する。

「よし、全機私に続けー!」

 アームズ全機がクロスボウ1の戦術に参加する。

 まずはスナイパー二機が時計回りに狙撃を始めた。

 ガンドッグ4は浮遊装甲を展開し、射線に応じて装甲を時計回りに動かす。

「だから何度やっても無駄だっての!」

 何回か同じ動きをして慣れさせたせいもあり、ガンドッグ4は完全に戦線に参加した四機のことを忘れていた。

 右後ろと左前に隙間が生まれたのをクロスボウ1は見逃さなかった。

「撃ち方始め!」

 敵機に狙われていた一機と援護に入っていた一機をのぞいた全八機からの集中砲火が始まる。

「ちっ! しまっ……」

 ガンドッグ4が撃墜を覚悟したところに新たな装甲が周りに展開され攻撃を防いだ。

「4油断しすぎ。レーダーをしっかり見て」

 ガンドッグ3が自らの浮遊装甲をガンドッグ2に飛ばしていたのだ。

 装甲のやりとりが出来る浮遊装甲の長所を活かしている。

「助かったぜ。今のはちぃっとひやっとした」

 だが、浮遊装甲を味方に飛ばすということは自分の盾が無くなることと同じだ。それをクロスボウ1は見逃さなかった。

「浮遊装甲を飛ばした!? ランス1、丸裸のやつを落とすよ!」

 ロックオン機能をオフにし、スコープ射撃でガンドッグ3に連続で弾丸を放つ。

 初撃は右肩に、続く射撃で胴体に連続で入った。コア損傷による撃墜判定だ。

 橘からの撃墜判定が報告される。

「油断したのはボクだったか。みなさん後は頼みます」

 やはり抑揚のない平坦な声音で報告をする。

 二機を撃墜したことによって勝利に近づいているが、ここで油断してはならない。

 私の方も敵の動きを見落とさないように注意深くモニターを見つめる。

「やるなルーキー。だが、ここまでだ! フォーメーション(ファング)!」

 ガンドッグ1がソード1を見据えて、ブーストの出力を上げ一気に肉薄し、右腕の粒子ブレードを上から振り下ろした。ソード1はその攻撃に左手の粒子ブレードで何とか受け止める。

 一瞬のつばぜり合いの間にソード1がカウンターとして、右腕のショットガンで狙いをつけるが、ガンドッグ1はショットガンの構えを見た瞬間に射撃が来ることを察知し、下に回り込んで回し蹴りをソード1の背中に入れる。

 バランスを崩したソード1は体勢を立て直すため上空に離れて距離をとろうとするが、予測されていたかのようにガンドッグ2と4が背面にいた。

「さすが隊長。最高の攻撃ポイントです」

 マシンガンが二機から斉射される。

「ちっ、させるか!」

 二機からの攻撃に対しギリギリで浮遊装甲を展開し、数発の被弾で済ますことは出来た。

 しかし、正面からの攻撃はまだ続いていたので、ソード1はブレードを構え直し、接近して来るガンドッグ1を迎える。

 ソード1が初撃の袈裟切りをまたブレードで受け止めると、ガンドッグ1が左手にダガーを持ち、突きを繰り出した。

 ソード1は繰り出された突きを防ぐため、背面からの射撃に被弾覚悟で浮遊装甲を前面に移動させたが、突きはフェイントで、つばぜり合いをしているブレードを下げる変わりにダガーでソード1のブレードを抑える。

「なっ!? 突きじゃない?」

 そしてその一瞬に、下げたブレードで下からの切り上げをソード1の左腕に直撃させた。

「おいおいおい! なんだそれ?!」

 完全な直撃を受け、左腕の破壊判定が出されたため、ソード1の粒子ブレードの刃が消えてしまった。

「おいおい、まじかよ?!」

 空いた左側からブレードの突きによる連撃が繰り出されたが、機体を右にひねり、まだ破壊判定の出ていなかった左肩に当てる。

「ほぉ、今のを防ぐか」

 ガンドッグ1は少し嬉しそうにつぶやき、既にショットガンに持ち替えられていた左腕武器のトリガーを押した。放たれた散弾が浮遊装甲にあたるが、この一連の攻撃でソード1は後ろの警戒がおろそかになってしまった。

「ソード1! 後ろだ!」

 誰かからの通信が入ったころにはガンドッグ2と4が格闘距離に入りダガーで突きを放っていた。

「2、4、よくやった」

「隊長! 次もたのんますよ!」

 コアにダガーの直撃判定が下り、だめ押しの零距離射撃まで加えられたソード1に撃墜判定が出る。

「すまん。やられた」

「大丈夫だ。後は任せろ」

 初めての撃墜に動揺するかと思ったが、ソード2の応答をはじめ、皆落ち着いていた。

 これは私も負けてはいられないな。落ち着いてレーダーを見るとあることに気がついた。ソード1、どうやら君の粘りは無駄ではなかったようだ。

 ソード1の奮戦により敵の配置がアームズの丁度真ん中に位置していたのだ。

 ここが決め所と判断し全機に通信を入れる。

「ビックハットよりアームズ全機。敵は一カ所に固まっている。このまま包囲して一機に攻撃を集中させろ。こちらでガイドを出す」

「「了解」」

 アームズの応答を確認して、橘にガンドッグ1にマークを入れてもらった。

 全機のレーダーにターゲットとしてガンドック1に重要ターゲットのマークが映し出される。

 更に近接攻撃をしかけるファイターの映像を小窓でスナイパー二機表示させた。

 クロスボウ2とアックス三機による援護射撃の中、残ったファイターのソード2と3、そしてランス2が牽制射撃を入れながら接近し、スナイパー二機はガンドッグ2と4の注意を引きつけるための射撃を始め、少しずつガンドッグ1を他の機体から引きなした。

 数秒後、接近戦が推奨される距離にまで近づきそれぞれが粒子ブレードを展開する。

「三機相手か。さて……」

 ガンドック1が急加速で近づいてきた候補生たちによる、左右と後ろからのブレード攻撃を浮遊装甲それぞれ一枚で受け止め、払うようにブレードを横に一回転しながら反撃する。

 候補生達は脚部のブーストの出力を上げて上昇し切り払いを回避すると、再度三機同時にブレードで切りかかるが、振り下ろした腕に浮遊装甲がぶつけられ体勢が崩される。

 よくもそこまで上手く装甲のコントロールが出来るものだ。

「まずは一機」

 ガンドッグ1のブレードによる突きがソード2に向けて放たれる。

「まずった!」

 腕が後ろに反り返っていたためコアである胴体ががら空きだった。

 そこを確実に狙われている。

 しかし、アームズのスナイパー二機に前衛のモニターを表示させておいたのが功を奏した。

「ソード2! 貸し一よ! 今度ごはんおごってね?」

 ガンドッグ1が浮遊装甲を相手の体勢を崩すのに使っていたため、防御力がダウンしていた事に気づき、モニターから危険を察知して、とっさにガンドック1の右腕を狙って狙撃したのだ。見事に右腕に直撃し破壊判定が下された。

「ほぉ、やってくれる」

 ガンドック1の感想通り、本当によくやったと言わざるを得ない。判断力、射撃能力が高くなければ出来ない芸当だ。

 ガンドッグ1はブレードが使えない状況で接近戦は出来ないと判断したのかバックブーストで距離を離しながら、浮遊装甲を引き戻そうとする。

「ここで逃すわけにいかないわよ!」

 前衛三機が再度突撃をかける。

 一方ガンドッグ2と4はアタッカー4機によって足止めをされていた。

「隊長! ちっ、こいつらうっとうしいぞ! 2どうにかしろ!」

「こっちがどうにかして欲しいくらいよ。さすがに一対四は厄介」

「おい、俺を数から外すな! 仕方ねぇ。被弾覚悟で近接攻撃をしかけて突破するしかないか!」

「本当に仕方ないわね。あなたの頭の悪い作戦につきあいましょう」

「だから、誰の頭が悪いってんだよ!? いくぞ!」

 ガンドッグ1がいる方角には現在アックス2とアックス3が応戦していて、この二人が少しでもガンドック2とガンドック4を抑えられれば、反対側から残りのアックス1とクロスボウ2で挟むことが出来る。そうなれば、また体勢を立て直すために距離をとるはずなので、とりあえずは静観だ。

 一方ガンドッグ1の方は左腕一本で上手く対処しているが、いくら正規パイロットとは言え片腕だけで三機を相手にするのは大変難しいようで徐々に押され始めていた。

「スナイパー! 浮遊装甲はこちらでぶっ飛ばす! 空いたところを撃ち抜け!」

 ガンドッグ5を撃墜した戦術をランス2が提案する。

「「了解」」

 展開されている浮遊装甲は六枚。それを敵の方面に合わせて展開しながら、一人人一枚プラスαで各方面からの攻撃をしのがれていた。

 この状況で浮遊装甲の無力化は大きなチャンスになる。良い判断だ。

「さすがに、厳しいな」

 ガンドッグ1は味方の援護がレーダーを見る限り、足止めされていて期待出来ないと分かっていたのだろうが通信を入れて確認をとる。

「2、4。少し状況が悪い。援護に来られるか?」

「今何とかします! 待ってて下さい」

「了解」

 ガンドッグ1はロックアラートが鳴り響くコックピットの中で一度深呼吸をして敵の攻撃に再度集中したようだ。

 次で決まるか? と私にも緊張が走る。

 三方向からの斬撃を浮遊装甲で防いだが、これは候補生達の予定通り。

 そのまま防いでいる装甲を横に弾き飛ばし、残っている三枚の装甲にそれぞれがもう一度攻撃をしかける。

「ちっ、まずいな」

 ガンドッグ1は浮遊装甲のコントロールを捨てて高度を一気に落とした。

 装甲をはじかれた時に狙撃が来る事を予測し、ガンドッグ5の二の舞は回避する事ができたようだ。

「さすがに警戒されてますね。でも、丸裸な状態でいつまで逃げ切れますか?」

 ガンドック1は一発二発と何発もの狙撃をかわしながら、ゆっくりと落下している浮遊装甲の近くに飛び、コントロールを復活させるつもりでいるようだが、コントロール距離に近づくと激しい射撃にさらされ、体勢を立て直せないでいた。

「しぶとい。しぶと過ぎるわ。どんな腕してるのよ……」

 呆れるようにソード3が呟いている。

「ほんとよね。足さえ止まれば当てられるんだけど。なんなのあれ? 動き過ぎよ」

 先ほどから何発もの攻撃をブーストの出力を調整しながら自由自在に上下左右に動き回り、攻撃を避けられているクロスボウ1も困惑していた。

 既にお互いの姿を見せ合っている状態の戦闘に関して、指揮官がしてやれることは少ない。

 有利な状況は作れるが、そこから先は個人とチームの能力が決め手となる。元パイロットとしては非常にもどかしい。

 彼らはこの状況を打開する能力があるだろうか。

「ちょいと賭けをやるか。さっきの借りを返すぞ。そんでもって、おごりは無しだ。」

 ソード2が何やら思いついたようだ。

「何するつもりよ?」

「敵の浮遊装甲をハックしてぶつけるからその隙を狙い撃て」

 ランス2がその提案に疑問を呈する。

「おい、その機体でハッキング出来たか?」

 ランス2が言った通り、今回機体に電子戦用の装備はついていない。

 一体何を考えているのか私にも予想がつかない。

「だから分の悪い賭けなんだよ。ってことで頼むわ」

「何だがわかんないけど、その賭け乗ったわ」

 ソード3はガンドッグ1が浮遊装甲近くに行けるようわざと射撃を外した。

ガンドック1が浮遊装甲のコントロール距離間近になった時、少し離れた場所からソード2が急接近し、浮遊装甲を左手で掴み装甲に沿うようにブレードを持った右手を添え、更にブーストの出力を上げた。

「浮遊装甲は返すぜ! ただし、ブレードのオマケ付きだ!」

「それハッキングじゃねぇ!」

 ランス2が大声でつっこみを入れた。

 面白いことを考える奴だよ。私にはまったく思いつかなかった戦法だ。

 コントロール距離に入ったせいか、吸い寄せられるような形でガンドッグ1にソード2が突撃する。

「面白い!」

 ソード2の突撃に対し、ダガーによるカウンターを入れるため、ガンドッグ1が一瞬止まった。

「あら残念。ご飯楽しみだったんだけど、これでチャラかしらね?」

 一瞬の隙をクロスボウ1がつき、狙撃がガンドッグ1の背部に直撃した。

更に残りの二機も急加速でブレードによる攻撃を狙ってつっこんできていた。

 ダメージを受け、敵の策にはまったことを理解したガンドック1が舌打ちをする。

「本命はそちらだったか。なるほど、良いチームワークだ。だが、タダで落とされてはやらん」

 右肩をソード2の突きに自ら当てに行き、左手に持っていたダガーを落として左足で蹴り上げた。蹴飛ばされたダガーがソード2の右足に命中する。

 同時に三機の粒子ブレードがコアに届き狙撃とブレードのダメージによるコア損傷の撃墜判定が下された。

「やれやれ最後のを脚部を使ってコアを防ぐとは。思った以上に反射神経が良いじゃないか」

 大きなため息を一つつき、味方に連絡を入れる。

「こちらガンドッグ1。すまんな。落とされた」

 近距離戦闘に持ち込んでも、なかなか突破出来ないでいた最中に、隊長機から落とされた報告を入れられて二人は衝撃を受けた。

「すみません。こちらが手間取ったばかりに」

「隊長落とされたってマジっすか?!」

「マジだから困る。2も今は気にするな敵に集中しろ」

 ガンドッグ1を失って現在の戦力差は二対九。

 圧倒的に候補生達が有利な状況になった。だが、ここで油断してはならない。

 少しの気のゆるみが実戦では死につながる。

「ビックハットからアームズ全機。残敵は二機だが、決して油断するな。こちらからターゲットマーカーを出す。集中して撃破しろ」

 橘にターゲットマーカーをガンドッグ2につけるよう指示し、全機に送って貰う。

「みなさんにターゲットマーカーを転送しました。確認してください」

 全機の攻撃がガンドッグ2に集中し、接近戦をしかけられているアックス二機から引き離して囲んで攻撃をする。

「私に攻撃を集中させるか。まずいわね……何か手は」

 ガンドック2が粒子シールドを全方面に最大出力で展開し射撃を防ぎながら手を考える。

 射撃を防げてはいるが、足を止めてしまっているので、チャンスと思ったソード2がブレードを構えて突撃する。

「やっぱ、突っ込んで来るか」

 ガンドック2がダガーを右手に構えて袈裟切りを受け止める。

 粒子シールドは銃撃戦には強いが格闘武器にそこまで強くないのだ。

 あくまで、粒子によって運動エネルギーの置換をしているだけなので、力が加えられ続けたり、粒子が放出され続けるような攻撃は防ぎきれない。

 その短所をよく理解してのダガーによる防御だ。

 ただ、一機は防げたものの続く二機目は防ぐ手段が無い。

 それを見越してソード3が切りかかる。

「トドメは任せてよ」

 しかし、ブレードが当たる直前にソード3がガンドッグ4に体当たりをもらい押し戻された。

「よう、無事か?」

「おかげさまで何とか」

 ガンドック2は返答をしながら、つばぜり合いをしているソード2に蹴りを入れ吹き飛ばし銃撃で距離をとらせた。

ガンドッグ小隊の二機が背中合わせで候補生と向き合う。

「そう思うなら今度から俺の扱いを良くしてくれよ?」

「あなたがここにいる敵全機を落としたら考えてあげるわ」

「お前それ微塵も改善させるつもり無いだろう……」

 両者ともに鼻でふっと笑い合い操縦桿を握りなおした。

「私が半分以上落とすからね。残念ながらあなたは私以下よ」

「ハッ! 言ってくれるぜ。俺に負けて悔しがるが良いさ!」

 言うと同時に二人が散開する。

 友というよりライバルなのだろう。そういう仲の良さも張り合いがあって楽しそうだ。

 緊張感や絶望感を紛らわせる良いコミュニケーションになる。

 どうやら隊長機が落とされた精神ダメージからは回復しているようだ。だが、ここで分散するとは失策以外の何でもない。

 候補生が再度包囲と近接攻撃をしかける。

「今度こそ落とすよ!」

 最接近したソード3が射撃を回避しながら、最初にガンドック2に横切りをしかける。

 ガンドック2はバックブーストでそれを回避し、後ろから近付いてきたソード2に振り向きながら左手のレールライフルをぶつけ、上から強襲するランス2の斬撃をダガーで防いだ。

「っ! ライフルは鈍器かよ!?」

 ソード2が面食らいながらも体勢を立て直し、避けられたソード3と共に再度切りかかるために接近する。

 ガンドッグ2はこれに対し、高度を一気に下げることで相打ちを狙うが、三機とも反撃に備えながら接近していたので、反応して射撃による追撃を入れることが出来た。

 三機からのショットガンとアサルトライフルによる銃撃が連続で近距離から当たり、コア損傷による撃墜判定が下された。

「やれやれ、私もまだまだでしたか。ガンドック4良いとこ見せてくださいよ?」

「あー……何だ? わりとマジに言うが、これ詰んでないか?」

 戦力差を考えれば普通勝てる見込みが無い状況だ。

 援軍が期待出来ない中での一対九で勝てたら教科書に載せられる。

「主人公なら主人公補正で何とかなるよ?」

 ガンドッグ2が悪戯っぽく笑いながら言うと。

「俺この戦いが終わったら告白するんだ。花束も用意してあるんだよ」

「それ、死亡フラグよ」

 ため息をつきながらガンドッグ2がつっこみをいれた。

「頑張ってくださいよ。ひっくり返したらほめてあげます」

 ガンドック2はそれだけ伝えると通信を切って、もう一つ溜め息をついて観戦モードに入る。

「みなさん敵は残り一機です。油断せず攻撃してください」

 橘の通信が入り、残ったガンドッグ4を九機で包囲し、一斉射撃を続ける。

 ガンドッグ4は九機が相手とは思えないほど、攻撃を防いでいたが、次第に被弾が増えていった。

 そして、何百発目かの撃ち込まれた弾丸を防ぎきれなかったところで、機体に搭載されているAIが警告を発する。

「げ、サブブースター被弾で出力ダウンだって!? 勘弁しろっての!」

 機体の動きが鈍り、更に攻撃が畳みかけられた。

「あー、くそっ!やられた!」

 レールライフルによる反撃で、アームズの機体にダメージは与えられたが。撃破には至らずガンドッグ4に撃墜判定が下された。

 これで、戦闘は終了だ。

「橘。アームズ、ガンドッグ全機に訓練終了の連絡を入れてくれ」

「了解。訓練参加の全機へ。訓練終了です。繰り返します。訓練終了です。基地に帰還してください」

 撃墜判定が下され待機していた機体も含めて全機が返答を返した。

「「了解」」


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