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なろラジ7参加作品

愛されギフトが、欲しかった。

「エルダ、私の代わりに皇帝陛下に嫁いでね」


「正気ですか、ロアナ姉様。陛下を(あざむ)くなど……」


「別に(あざむ)いたりしないわ。あんたの能力(ギフト)で、陛下の呪いを吸い取って頂戴。解呪された暁には、私があんたと入れ替わって皇妃になる。ね、問題ないでしょ?」


 悪びれもせず、双子の姉はそう笑った。


 この国の民は、ギフトと呼ばれる特別な能力を持って生まれてくる。


 私のギフトは呪いの吸収。

 姉が持つギフトは、魅了。


 魅了を受けた人間は、例外なくロアナの意に従う。

 

 けれど彼女と同じ遺伝子を持つ私に、魅了は効かない。


 ロアナはそんな私を、目障りに思ったらしい。私の心を折るため、家族に明確な姉妹格差を要求した。


 自分には広い部屋に、ふかふかベッド、温かな食事、綺麗なドレス。

 私には狭い物置、ごわごわの布、冷たい残飯、合わないお古。


 皆それが異常だと気づかない。

 私以外、誰も。


 いっそ彼女の魅了で私の思考も奪ってくれてたら。

 そしたらこの違いに、涙することもなかっただろうに。


(──解呪なんかより、愛されるギフトが良かった)



 皇帝を(たばか)杜撰(ずさん)な計画は、しかし周囲黙認で実行され、私はロアナとして呪われ皇帝に嫁いだ。


 皇帝の呪われ具合は、凄まじいものだった。

 国を守った彼の先祖が、悪神から受けた代々の呪い。


 醜く歪んだ肌の痛みで、夜は眠れず苦しみ叫ぶ。

 それでも昼は政務をこなし、民のため心を砕く。


 そんな陛下のすぐ傍で、彼を敬い慕いながら。

 私は少しずつ呪いを吸い取り、浄化していった。


 やがて呪いは消え去り、輝く美貌に戻った陛下は、もう夜に(うめ)くことはない。


 彼は私を(ねぎら)い、嬉しく安堵していたある日。


 突然、私は(さら)われた。


「よくやったわ、エルダ。交代よ」


 ロアナだ。

 彼女は私の服を着て、陛下の元へと駆けていく。


 皇妃として彼の愛と、民の敬意を受けるために。

 

(陛下にお別れさえ言えなかったけど……。きっともう、陛下もロアナに魅了されてる)

 監禁先で私は泣いた。


 泣いて泣いて、涙も枯れ果てる頃、扉が盛大に壊されて。

 陛下が顔を(のぞ)かせた。


「ロアナの罪は暴いた。エルダ、君にも罰がある」


 彼が言う。


「命尽きるまで皇妃として、俺と共にいること。君がいないと夜はもちろん、朝も昼も来ないんだ」


「どうしてわかったのですか? 私とロアナはそっくりなのに」


「俺が君をわからないはずないだろう……!」



 陛下には、呪いは消せなくとも、ギフトを消し去る(ギフト)があった。


 ロアナは魅了を失い、正常な世界で。


 私は愛を得た。




 お読みいただき有り難うございました!

 なろうラジオ大賞参加第二弾、キーワード「ギフト」です。


 文字数制限…、今回の1000文字はきつかった…!

 こういうコテコテのテンプレ大好きなのですが、予定していた設定もセリフも入れれず!

 もっとじっくり書きたいと感じました(笑) でも頑張って1000文字にまとめたので、なろラジに応募する!


 なおロアナが皇帝の妃に選ばれたのは、"魅了"を使って周りを動かしたから。

 皇妃としての地位と権力は欲しいけど、呪われた夫なんて嫌。そうだ、妹に呪いを吸わせてから妻になれば良い、と、そういう考えでした。


 お話楽しんでいただけましたら、下の☆を★に塗って応援いただけると励みになり嬉しいです!

 どうぞよろしくお願い申し上げます( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )⁾⁾


(なろラジ読みまわってます♪ まだ4日めなのに、めっちゃ良いお話がたくさんあってすごい…! 毎年この読み周りが楽しみ(*´艸`))

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【なろラジ7作品】
『舞踏会にて。枯れない恋を応援します』

【3万文字作品】
『私はまだ、何もしてなかったのに?』
― 新着の感想 ―
テンプレですか……。 いえいえ、1000文字、と短いからでしょうか、いや短いからこそ一文、一言に重みがあって、且つ想像力をかき立てられます。 ロアナさんは魅了でどんなことをして何を得てなちを失ったのか…
1,000文字とは思えない満足度( ˘ω˘ ) お見事です( ˘ω˘ )
あら、超短編、ですわ。 失礼いたしました。 仕事の合間にこっそり栄養補給をしていた罰ですわねー。
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