第一話 転生
初投稿です。
至らぬ所もあるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします。
何も無い真っ暗な世界。
そこに一つの光が生まれる。
光が世界を包み込みーーー
「うーん...」
そんな間抜けな声を出しながら、ベッドから起き上がった少年は天城悠、17歳、高校生だ。
「はぁ.....何か変な夢見たな。」
そう言いながら俺はベッドから降り、リビングに向かった。
リビングからはキッチンが見え、そこには朝食の準備をしている母の姿が見えた。
「んー.....母さん...おはよう.....」
俺はまだ眠たげな目で言うと母は振り向いて、少し驚いた表情で
「あら、おはよう悠ちゃん。今日は早いね。」
「うん.....何か変な夢見たからかな。」
「そうなの?まぁ早起きするなら良いけど。」
そんな会話をしながら、俺は席に座った。
目の前の机には、朝食の食パンと牛乳、ヨーグルトが置かれた。
質素に見えるが俺はそんな朝食が好きだった。
「いただきます。」
そう言うと俺は朝食を食べ始めた。
なんて事の無い日常。
当たり前の日常。
いつも通りの日常。
それが俺は好きだった。
「ごちそうさまでした。」
そう言って席から立つと制服に着替え、カバンの中に教科書や筆箱などを入れ、憂鬱だったが玄関に向かい、靴を履き、母の「いってらっしゃい」を聞いて、家を出た。
学校に行く為の道は一直線で、もう学校が見えている。
学校から近い我が家が悠は好きだった。
「はぁ、今日も学校か。面倒くさいな。」
そんな事を考えながら歩いていると俺の横を女性が走っていく。
女性は青ざめた顔で走って行った。
何事だろうと思っていたら、細身の男が何かを握りしめながら走って来た。男は足がかなり速かった。
あっという間に女性に追いつき、女性の手を掴んだ。
男はかなり興奮している様だった。
男と女性の会話が聞こえて来た。
「待って、待ってくれ!何故逃げるんだ!僕は君をこんなに愛しているのに!」
「いや!やめてください!あなたの事なんて何も知りません!」
どうやら男が女性に付き纏っている様だった。
女性は男の手を振り払おうとしたが、男の手は女性の手をがっちり掴んでいて離れない。
すると、男が逆上した様で手に持っていた物を女性に向かって突き出そうとしていた、
(痴話喧嘩か。というか、こんな路上で痴話喧嘩とか。どうかしてるんじゃないか?……………ま、俺には関係な…………)
「.....は?な...なんだお前!」
男は取り乱している様だった。
(……………は?)
俺は心の中で疑問の声を上げた。何故、この男は俺の前にいる?いつの間に?何故取り乱している?
「くそっ!」
そう言って男は何処かに逃げて行った。
(何だったんだ?)
俺は汗を拭う為に学ランのポケットからハンカチを取り出そうとして、指先が何かヌメリとした感覚に襲われた。
(ん?)
俺が、自分の服を見ると
俺の左脇腹の傷口からは血が溢れ出ていた。
(……………あ?)
血を認識した瞬間、俺の腹部から激痛が迸った。
「あ、あぐ、あがぁぁぁぁぁぁ!!!」
熱い熱い熱い。傷口が燃える様に熱い、俺はその場に倒れ込み、傷口を抑えながら、のたうち回るしか無かった
女性は俺の傷口を押さえながら、泣きながら、何かを言っていた。
意識が朦朧としていて何を言っているか聞こえなかったが。
(熱い熱い熱い! 痛い痛い痛い! ..........俺は死ぬのか?そうなのか?...……ふざけんな。大体いつ刺された?何故、あいつは目の前にいた?…………でも。)
俺は女性の顔をチラリと見た。美人と言って良い顔だった。
(この人守って死ぬのならまぁ、悪くないかな。ああ、でも、母さんや父さんが悲しむかのか、それは困るな。……………俺の好きだった日常は終わるのか。呆気なかったな……………)
そんな事を考えながら、俺の意識は落ちていったーーーーー
暖かい。陽の光の様なポカポカした光を浴びて、俺は目を覚ました。
(うーん.....あれ?ここは何処だ?)
俺は身体を動かそうとするが、うまく動かない。
身体を動かして見えた自分の手は小さく、丸々していて、可愛らしかった。
(...………へ?何この手?.....……赤ちゃんの手?)
俺の頭では、見えている手は赤ん坊の手だと言う事は理解出来たが、それが自分の手だとは分からなかった。
すると俺の身体がすっと浮かんだ。
(え!何?浮いてる?)
困惑していると。
「おお!この子が!私の子か!」
透き通る様な、嬉しさの籠った男の声が聞こえて来た。
俺が周りを見渡すと、大きな部屋の中にいた。周りを煌びやかな装飾がされた豪華な部屋だった。
部屋の中に鏡があり、その鏡で悠は自分の姿を理解する事が出来た。
そこで俺は理解した。
俺は赤ん坊に転生していた。
(.....え?俺?この赤ちゃんが?.....まじか。)
理解が出来なかった。転生とか実際にあるのか。
俺が鏡越しに自分をまじまじと見ていると。
「お、この子。鏡に興味津々の様だぞ。」
そう言って、鏡の前に連れて行かれた。俺は自分を抱き抱えている男を見た。20代後半の男で銀髪に透き通る様な青い目をしているイケメンで不思議な雰囲気を纏っていて、優しそうな顔をしている。
自分の顔も見てみた。
黒髪で、男と同じ透き通る様な青い目をしている。
(うーん。あの後、俺は死んだのか?後、ここ何処だよ。)
俺が冷静に思考していると。
「いやー、にしても可愛いなぁ。」
と言って微笑ましい目で見ていた。俺はその目が何となく恥ずかしくなり、目を逸らす。
「ほら、お前を抱っこしてみろよ。」
「あら、もう良いんですか?」
「良いんだよ。俺達の子供だろ?」
「ふふ、そうでしたね。」
女性の声が聞こえたかと思うと、俺は別の腕に抱かれた。顔を見ると、黒髪で銀色の目をした、こちらも不思議な雰囲気な女性に抱かれていた。
(うわぁ、すごい美人。会話から察するにさっき俺を抱いていた人がお父さんで今、俺を抱いている人がお母さんか。)
そんな風に考えていると、自分がまじまじと見られている事に気付いた。
(へ?な、何?なんでそんな見つめてるの?)
そんな事を考えていると、いきなり俺を思いっきり抱きしめた。
「私達の子.....なんて可愛いの...」
え?何?いきなり抱きしめられると少し恥ずかしいんだけど...
男の方を見ると感激している様で目を潤ませていた。
何なんだこの人達。
俺がそんな事を考えていると
「こうしちゃいられない!早速他の神達にも報告してくるよ!」
「ええ、そうね。私も一緒に行きたいけど、この子の世話もしていたいし...」
(え?神?もしかして、宗教?いや、口振りから自分も神みたいな感じだったな。え?)
俺は理解が出来なかった。自分の親が自身を神だと錯覚している異常者なのか?
しかし、俺は少し違和感を感じている。それはこの人達の雰囲気だ。
何というか神々しいというか、圧倒的な雰囲気を放っている様な気がする。
……………まぁ、ひとまず。
俺は神に転生した。と、いう訳だろう。
これが後に史上最強の神と呼ばれる神の始まりであった。




