1/4
プロローグ
西暦205X年。
ある日を境に異能という力が現実となり、世界の形は音を立てて変わった。
超人的な能力を持つ者たちは国家の資源とされ、管理され、数値化された。
“戦姫”——政府公認の異能者たちである。
彼女たちは一国の戦力であり、同時に民衆の憧れでもあった。
戦姫たちはランキングによって序列づけられ、異能者同士の戦い『アスナ』で順位を争う。
力なき者は淘汰され、上位者だけが栄光と自由を手にする。
——それが、この世界の“現実”である。
そんな世界に、永依愛美は何の関係もない、ただの女子高生だった。
憧れと無力感の狭間で、画面越しに戦姫たちの姿を見つめる日々。
自分には関係のない世界。ずっと、そう思っていた。
だがある日、目の前に“それ”は現れた。
仮想UI型の未確認ゴッドウェポン《スパークル》。
それは彼女に告げる——
「あなたは、選ばれた」
少女の運命が、静かに動き始める。