色々と手遅れだからパーティから追放されたネクロマンサー
「死霊術師、お前をパーティから追放する」
いつものように戦闘が終わったところで一行のリーダーである剣士がそう言った。死霊術師である俺は思わず「なに?」と聞き返す。しかし剣士以外のメンバー、つまりモンクも騎士もその発言を肯定するように頷いていた。
正気での発言とは思えなかった。たしかにこの3人に比べて死霊術師である俺は直接的な戦闘能力は無いに等しい。だがそれでも弱小のこのパーティが曲がりなりにもいままで冒険者としてやってこられたのは俺のおかげである。それをみんなも分かってくれていると思っていたのに……。
みんなの決意は固そうだと分かっていながら俺は口を開く。
「なんでだよ! みんなで冒険者としてもっともっと大きくなるって言ってたじゃねえか! そのためにはどんなことでもするって! それに俺を追放すればお前らにかけた魔法も解けるぞ!」
すると剣士は叫ぶようにこう言った。
「死んだ体に無理やり魂を乗せたゾンビになってまで冒険者をやりたかったわけじゃねえんだよ! ていうかもう死にたいんだよこっちは! こんなのほとんど魔物じゃねえか!」
その言葉を最後に俺はパーティからの追放を受け入れた。
「死なない体なんて最高だと思うんだけどなあ……」
俺はほとんど骨だけになった頭を傾げ、魔法が解けて普通の骸になった元パーティメンバーの死体を眺めながらそう呟いた。
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