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【オススメ作品】

その道をどう走るのか

作者: 幕田卓馬

しいなここみ様『500文字小説企画』参加作品です。

 東北自動車道は雨だった。

 

 俺の運転する軽自動車はアクセルペダルがスカスカで、ベタ踏みしたところで変な声で鳴くだけだろう。

 だから俺は法定速度ギリギリで、ゆっくりと走行車線を走った。


 赤いスポーツカーが追い抜いて行く。

 サイドミラーで存在を知り、次に見た時は隣に並んでいて、そのままあっという間にはるか前方へ消えてしまった。


「カッケェなぁ」と俺は感嘆の声を上げた。


 黄色いトラックが追い抜いて行く。

 沢山の荷物の重みを感じさせる、激しい走行音を響かせながら、トラックはゆっくりと俺の横を抜けて行った。


「いつも、ありがたいなぁ」と俺は感謝の言葉を呟いた。


 白い営業バンが追い抜いて行く。

 中のサラリーマンは、運転しながらイヤホンで電話をしてるのか、ペコペコと頭を下げていた。


「お仕事、ご苦労様です」と俺は労いの言葉を漏らした。


 軽自動車はあいも変わらず、ゆっくりと雨の東北自動車道を北上して行く。


 俺の車は、速くもないし、荷物も乗らず、我武者羅に走る事も出来ない。

 

 助手席を見た。

 昨日の残業で疲れた彼女が、シートにもたれて寝息をたてていた。


 俺は、俺の大事なものを、運べばいいんだ。


 彼女の実家への道すがら、俺はそんな事を思った。

幕田はそこそこ長く小説を書いていますが、いろんな才能を持ったすごい人達が、幕田を追い抜いていきました。

幕田はたいした車には乗ってません。でも、自分にとって大切なモノだけは、ちゃんと乗せて走っていきたいですね。

そんな感じです。

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― 新着の感想 ―
良かったです! どんどん追い抜かれても大切なものが隣にいるのならなんてことないですね。 500字ぴったりってことも驚き。500字ってこんなに深く書けるんですね。
ずっとレビューを書きたいと思っていて、文ができないでいました。 何を書けば、この作品の本質的な良さが伝わるんだろう? と。 下手すれば、作品より長くなっちまいそうで・・・。(^◇^;) いや、これ、名…
3作品すべて読みましたが、やっぱりこちらの作品が一番好きです……(´ω`*) 500文字には表せられない、詰め詰めの多幸感。 いいなぁ、いいなぁ、そう思いながら読みました。 幕田さんのお優しい人柄が詰…
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