最強スキル【リスポーン】を得た俺氏w座標ミスって10,000,000回リスキルされた件www
俺は生まれた時から最強だ。
なにせ、【リスポーン】というSSSスキルを持っていた。
好きな場所、好きな地点にリスポーン設定ができる。
一度設定した場所と時には、いつでも戻れるのだ。
これで学校のテストはいつも満点。
かわいい女の子にはセクハラし放題。
なにか困ったことがあれば、なんでも回避できる。
リスポーンすればみんなの記憶は元通り。
俺だけ記憶を保持してやり直し。
便利すぎるでしょ。
未来予知にも使える。
高校を卒業すれば投資で大儲けするつもりだ。
仕事なんてする必要もない。
ただまぁ。
まだ、「死に戻り」はした事がないけどね。
リスポーンというスキル名なのできっと死んでも使えるんだろう。多分。
そうなれば実質、不死身だ。
俺は誰も到達できなかった、神の領域にいると言える。
ん?ってことは?ある程度、若い頃にリスポーン設定した後は使わねぇ方が良いってことか。
なんせリスポーン地点は1しか与えられていない。
つまり、一度に一箇所、一つの時点にしか設定出来ないのだ。
これがちょっと困ったところだが、まぁまだ16歳の俺だ。
あとで考えよう。
なんせ時間は「無限」にあるからな!
ハーハハハハハハ!!
とか、思ってる時期もありました。
ハイ。
調子こいてました。
もう、何も望みません。
悪いことしません。
真面目になります。
こんなスキル、持ってなければ良かった。
こんな目に遭うって分かってれば。
これは悪魔のスキルだった。
俺はある日。学校一の美少女である「綺玲杉萌子」のスカートを下から覗こうと、排水溝の下に潜伏していた。
道路に設置されている鉄格子のやつ。
銀色のあみあみだ。わかるだろ?アレアレ。
その時、リスポーン地点の座標をミスった。
排水溝の中に設定しちまった。
ちょうど運悪く。近くで工事があったんだ。
デカめの工事だった。
大量の下水を一気に流すタイミングだったんだ。
俺の潜伏していたところにも水は流れてきた。
そして、すぐに一番上まで水は到達した。
俺氏。当然息できない。
鉄格子を外そうと試みた。そこに運悪く車が駐車した。
ベストタイミング
ベストポジション
ちょうど格子の上にね。車、駐車。
絶対、持ち上がらねぇ。
俺氏、ジ・エンド。
成仏してクレメンス。
とはならないのが俺のスキル
【リスポーン】
俺は死に戻りに成功した!
しかし、喜びも束の間。
ここはどこだ?ん?さっきの排水溝の中!
また下水は一気に俺のいる場所へと到達。
あとはさっきと同じ。
もう一度、溺死。
「ガボボボ!だ!ダズ、ボ、ボブだずげで!!!」
声はどこにも届かない。
あれ見たことある?
YouTubeの「川で溺れる◯ーちゃん」ってやつ。
まぁあんな感じよ。大体。
ガチパニック。なんも考えららない。
助けて!以外のこと、考えらんねーんだ。
そうして二回目の死。
三回目のリスポーン。また同じ流れ。
ここで事態の深刻さに気づく。
俺、これ、詰んだ?
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【詰んだ】
詰んだ(つんだ)とは、困難な状況に陥ったり、解決策が見つからない状態を指す言葉である。主にゲームや問題解決の過程で使われ、進行が停止したり、行き詰まった状況を表現する際に用いられる。また、将棋や囲碁などのボードゲームでは、自分の負けが確定した状況を指すときに用いられることが多い。
※引用:実用日本語表現辞典
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そう、リスポーン地点に失敗してしまうと
「詰む」のだ。
しかもその「詰み」は生やさしいものではない。
永遠。未来永劫。無限。
♾️
俺は永久に苦しみ続けるメビウスの輪に囚われた。
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昔さ。5億年ボタンっていう話が流行ってたんだよ。
5億年、何もない空間にいる代わりに、100万円もらえるってボタン。そのボタン押しますか?ってやつ。
俺は絶対押さねぇって思った。
5億年、一人でいたら、絶対発狂するだろ?
そんな苦しみ味わいたくねぇって。
違うんだよ。あの頃の俺に言いたい。
5億年なんて生ぬるいんだ。
それって終わりがあるだろ?
人間の尺度ではデカすぎて永遠に感じるけど
終わり、があるんだ。
最強スキル【リスポーン】は、たった一度でも使うと「永遠の輪」に閉じ込められる。
悪魔のスキルだった。
しかもさ、それに気づいたタイミングが最悪。
だって溺死確定よ?
リスポーン15回目くらいかな。色々試して、それでも出られなくて、発狂して、リスポーンで正気に戻される。
もう何回死んだかな。
多分、10,000,000回以上はリスキルされてる。
ん?今なんでこんな冷静かって?
ああ、途中から気づいたんだよ。
キルされる前に、高速で自分でリスポンすればいいってな。
ゲームのリセットボタンを高速連打してる状況に近い。
ゲームは進めることが出来ないけど、キルは回避できる。
とにかくこれで、溺死の苦しみから逃れることには成功した。
マジで泣いたぜ。成功した時はな。
泣いても瞬間戻るから、涙は出ないんだけどよ。
んで、これからどうするか。
とにかくここから出ることが先決だろう。
このスキルは、もしここから出れたら、どうにか手放す方法を探すことにした。
旅に出るのもいいかもな。
俺がこんなスキルを持ってたんだ。
他人のスキルを消すスキル、なんてのもあるかもしれない。
と、いけねぇ。
まずは目の前の問題を処理しなくちゃな。
悪い癖だわ。
さて、目の前の格子は力じゃびくともしねぇ。
もう何万回も試した。
そして他に出口はない。
水が流れていく先、少なくとも人が通れる穴の大きさじゃない。
うん。詰んでる。
……
あっあぶねぇ。また発狂コースに陥るところだった。
ネガティヴはループするからな。
こういう時は「絶対に方法はある!」と決めつける。
そうして行動する。
それが大事。
さて、力技・正攻法ではむりだ。
となると後は裏技になる。
リスポーン地点を外に設定できるか?
これは無理だ。
「自分が今いる場所」にしか設定できない。
じゃあ新しいスキルを獲得できるか?
……これも望み薄だ。今のところ、その気配はない。
そもそも時間が進んでねぇ。
俺の意識以外はな。
しかしそこで考える。
世界の時間はストップしているが
リスポーンスキルで「意識」は継続している。
進んでいる。俺の意識だけが。
肉体の時間すらも止まっているが。
意識は確かに連続して進んでいる。
この状況で。
やはり、俺は新しいスキルを獲得するしかない。
この思考と自我を使って、スキルを身につける。
だがどうする?
迷った俺は、このリスポーンスキルを「磨く」ことにした。
具体的には「リスポーン」の速度を上げる。
これまで0.1秒ごとにリスポンしてたのを
0.01秒ごとにするリスポンできるようにする。
さらに0.001秒
さらに0.00001秒
0.00000000000000000000000000000000000000000000000000001秒に短縮する。
さらに0.0000000000……
0000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000……
なぁ。君はアキレスと亀って知ってるかい?
点を無限に打てば、亀にアキレスは追いつけないって話。
現実には追いつくんだよ。
アキレスの方が亀より足が速いから。
でも理論的には「追いつけない」と結論づけることもできる。不思議だよな。
この違いはさ、パラドックスっていうんだ。
なんの話かって?
いやいや、大事なんだ、よく聞いてくれよ。
無限はさ、あるって感じるだろ。
でも君は実在する無限を観測したことがあるか?ないはずだ。
結局さ理論なんだよ、無限ってのはな。
無限を観測できるのは無限を実行できる者だけだ。
線は無限に点へ分割できる。
だが、無限の点で線ができているわけじゃない。
俺がこの無限から抜け出すには、このパラドックスを利用して、無限に点を打つのをやめることだ。
旅、出たかったんだけどな。
気づいちまった。
リスポーンの解除方法。
打った点の消し方。
ただ、リスポーンを解除するとそこにあるのは有限の死だ。
これはもう仕方ねぇ。
受け入れるぜ。
最後に、俺の独り言を聞いてくれたみんな
どうもありがとうよ。
まぁろくでもない俺だったけどよ
悪くなかったよ。人生。
楽しかった。
俺はリスポーンスキルを解除することに成功した。
「ガボァ!カボボボ!ブファヘヒァ…!」
ああ、久しぶりに苦しいぜぇ。
だがよ、同時に安堵してる。
これで「終わり」だからな。
薄れゆく、意識。
苦しい水の重みも冷たさもだんだん感じなくなってきた。
暖かい。
ああ、これが終わりという。
「死」か。
「そろそろ反省できたかしら?」
ん?なんだいまの?
この声、どこかで?
「ゴミ人間のくせに。調子に乗って私に危害を加えようとするからよ。今後は虫ケラのように身の丈にあった生活をするのね。」
この声は
綺玲杉萌子!!
目を覚ますと、そこは排水溝の外側。
車に乗っていた男が俺に気付き、救出したらしい。
助かった。
ばかな。
なぜ?
「大丈夫か!?もうすぐ救急車がくる!意識はあるか?名前は!?」
男が俺に声をかける。
下水の水を飲んだからか。かなり気分が悪い。
そこに通学途中の美少女JKが現れる。
萌子だ。
びしょ濡れでぶっ倒れる俺
そんな俺へ必死に呼びかける車のおっさん
その様子をみて唖然とする萌子。
あれは、夢だったのか?
確かに聞こえた。
だが、朦朧とする意識の中で、
俺はスキルを失っていることに気づく。
リスポーンはもう出来なくなっていた。
「そこの君!この子と同じ学校かね?すまないがこの子の名前はわかるか?あと、学校に連絡をしてくれると助かる。」
おっさんが萌子に話しかける。
落ち着いてきた萌子は、丁寧に対応している。
萌子は俺を覗き込み、顔を確認する。
同じクラスだ。顔を見れば名前も分かるだろう。
俺はしばらく、喋れそうもない。
そんな俺に、萌子は言った。
「ニンゲン。反省はたっぷりできた?」