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歪んだ愛、友情その先には…

付き合って半年記念日、高橋百合(32歳)と高橋誠(37歳)は全てが順調だった。

その日は金曜日、百合の1DKの家でお祝いする予定だ。誠は仕事帰りにシャンパンを買って来てくれるとゆう。

 夕方7時百合は家に着き買って来た夕飯の材料をナイロン袋から出す。アサリの酒蒸し、アボガドとマグロのたたき、生ハムと玉ねぎのマリネ、ジャーマンポテトを作るつもりだ。

慣れない料理をするのに、スマホで調べようとした。料理アプリを探して、スマホをスライドさせていると、誠と出会ったマッチングアプリが出て来た。消し忘れていたのだ。なんとなくマッチングアプリを開いてみる。百合は驚いた。未読のメールが100件以上あったのだ。気にはなったが、1時間後には誠が来る為、マッチングアプリを閉じて、料理に集中した。


 8時前に誠は来た。その手にはシャンパンと白い箱が握られていた。記念日だから、ケーキを買ってきてくれたのだろう。料理が完成してなかった為、百合は誠にソファでくつろいでもらう様お願いした。

 百合は台所に立ちながら、マッチングアプリの100件以上のメールの事が不信に思っていたが、誠には相談しない事にした。せっかくの記念日、マッチングアプリを消してない事でケンカしたくなかったからだ。


その日は、シャンパンを飲んで料理を摘んでコメディ映画を見て楽しく過ごした。



横浜駅での初めてのデート、百合は楽しみにしていた。会うまでのメールでのやり取りで将来どんな家庭を築きたいか等、突っ込んだ話もしていた。誠も結婚に対して真剣なのだと思って百合は嬉しかった。

 

「初めまして」


そう声をかけて来た誠は写真より男前だった。身体180㎝と高身長でTシャツにデニムとゆう装いだった。Tシャツの袖から出ている腕には大きすぎない筋肉の筋が見え、奥二重の上にある太い眉は綺麗に整えられていた。


 百合はとゆうと、会計事務とゆ仕事柄座っている事が多い為太ももが太いのを気にして、ロングスカートで誤魔化していた。色は白いが、小さな鼻にプチ整形で二重にした目は丸かった。美人ではないと百合も自覚している。


2人は、誠が予約してくれた個室居酒屋へ向かう。向き合って座ると誠は簡単に自己紹介してくれた。37歳で不動産会社で主任をしているという。メールと同じ様な内容だったが、そんな事は関係なく百合は、わざわざ自己紹介してくれる紳士的な対応に好感が持てた。

 


2人は3回目のデートで付き合う事になった。



 誠は半年記念日の次の日の昼に帰っていった。百合には夕方から友達の林明子と会う約束があったからだ。待ち合わせにはまだ時間があると思い気になっていた、例のマッチングアプリを開いた。

100件以上のメール…この半年誰とも連絡を取っていなかった。

マッチングアプリを開きメールをタップする。そこには…


「見たよ。可愛いね。」

「髪切ったんだね。」

「喫茶店で見たよ」


等と百合を目撃したとゆう男達のメールが届いていたのだ。実際,百合は二ヶ月前にロングヘアーからボブに髪をバッサリ切っていた。

気味が悪く全てのメールを見ずにマッチングアプリを閉じた。何故この男達は自分を知っているのだろう。百合のプロフィールには簡単な自己紹介と横浜市としか載せていない。誠に相談した方がいいのだろうか?と思ったがやはり辞めた。もやもやした気持ちを吹き飛ばす様に、シャワーを浴び明子に会う準備を始めた。


夕方5時、百合は林明子と会った。

明子は結婚していてフルタイムで仕事もしている為忙しくしているので、久しぶりの再開だった。


百合の恋人や明子の仕事について話していたが、


「どうしたの?今日元気ないね?」


と、明子に問われた。

長年の友達にはわかっちゃうのかなーなんて思いながら仕方なく百合は例のマッチングアプリのメールの件を話した。


うーんと唸る明子は、


「メール全部読んでみたら?何かわかるかもしれないよ。」


あまり気乗りしなかったが、明子が一緒にいる事で少し心強かった。

読んでみるとやはり、百合を目撃したとの内容ばかりだった。

その中に誠と出会う前に連絡を取っていた、晴人がいた。読んでみると、匿名掲示板に百合の個人情報が載っているから気をつけた方がいい。との内容だった。


匿名掲示板…?


百合は驚いた。なぜそんな所に自分の事が…


明子は匿名掲示板を見ようと言ったが百合は困惑し気分が悪くなった。


「見る気になれない…。」


百合はそうポツリと言うと、明子は自分のスマホを取り出し何か操作し始めた。


「あった!」


明子がそう言うとスマホ画面を百合に向けた。匿名掲示板を検索したようだ。

そこには、百合のフルネーム、よく行く喫茶店、写真まで載っていた。


「なんで!」


百合は声を荒げた。心配そうに見ている明子に、大声出してごめん。といい。その日はお開きにする事にした。



百合は家に帰ると混乱する頭を抱えソファに座りこんだ。

誠に相談したかったが、やはりマッチングアプリを消してなかった事に引け目を感じやめた。

不安を消したい思いから、「気をつけた方がいいよ。」と指摘してくれた晴人に匿名掲示板の事を教えて欲しいとの内容のメッセージを送った。


返事は三日後にきた。


晴人は百合と会いたいと思っていたが、急に返事が来なくなり心配になって匿名掲示板を見たのだという。

盗撮の様な写真もいっぱい載っているという。個人情報も載っているし、何か事件に巻き込まれているのではないかと思い連絡してくれたそうだ。

気分のいい内容では無いからあまり見ない方がいいとも言われた。また何かあれば連絡すると言ってくれその日はメッセージを終えた。


今日は金曜日、誠が来る日だ。

百合は残業で遅くなったので、家に着くのは午後七時頃、夕飯を作る暇がないと思いスーパーでお惣菜を買って帰ってきた。


午後8時前にチャイムが鳴った。いつも通りの時間だ。誠は今日もお酒を買ってきてくれた。


「お惣菜でごめんね。今日作る暇なくて…」


百合は申し訳なさそうに言う。


「気にする事ないよ。それより元気ない?」


ここ最近の出来事を気にしない様にしていたが、自然と元気がなかったのだろう。

誠に悟られまいと元気なふりをして、酎ハイをグイッと飲んだ。

酔ってしまいたかった。

2本目の酎ハイに手を伸ばそうとすると、スマホの着信音が鳴った。

誠は背広の内ポケットからスマホを取り出し電話は出ずに電源を切った。

百合はそのスマホを初めて見た。初めてみるスマホだった。普段誠が使っている物はテーブルの上に置いてあった。


「電話に出なくていいの?」


百合は聞くと誠はなんでもないかのよーに、


「気にしなくて大丈夫だよ。」と言った。


半年付き合っていて、誠がスマホを2台持っている事を初めてしった。電話に出ない事も不可解だった。うわき?3文字の言葉が百合の頭をよぎったが、誠はそんな事しないと思った。

誠は百合を本当に大切にしてくれていた。

記念日を祝ってくれて、百合の好きなケーキや花のプレゼントもよくしてくれていた。

愛されている実感があった。


次の日起きるとベッドの隣は空だった。恐る恐るリビングに行くと誠がソファでスマホを操作していた。例のもう一つのスマホだ。



明子はイライラしていた。百合が結婚の報告をして来たからだ。とても幸せそうだった。

こんなはずじゃなかった。


明子は晴人に電話した。


「匿名掲示板にもっと酷い事を書いてよ!そうね、例えば誰とでもヤる女だとか…なんでもいいわ。あの女が不幸になれば!」


晴人はこんな事はもうやめようと説得を試みたが、やはり怒りをヒートアップされるだけだった。実は明子と晴人は友人関係で何でも話せる仲だ。明子はマッチングアプリで百合と晴人をマッチングさせて、酷い事をしようと企んでいた。だか、晴人は百合とメッセージを繰り返していると、百合の人の良さがわかり計画を実行出来なかった。だが、明子は晴人にとって唯一の理解者だった。明子を裏切る事は出来ないが、百合を傷つける事もしたくない。そんな、晴人は明子に提案した。匿名掲示板に悪口を載せて、マッチングしないようにさせようと。


晴人は自分で提案したも本当は乗り気ではなかった。だが、明子の嫌がらせはヒートアップしていった。明子の指示でカフェに盗撮もなん度もしていた。晴人はそんな自分が嫌になり、謝罪の意味を込めて百合に気をつけた方がいいとメッセージを送ったのだ。



明子は子供が出来にくい身体で妊活をしており、中々上手くいかず2回流産していた。その時相談していた相手が百合だ。


「私子供欲しくないからなー…」


その一言が子供が欲しくて堪らない明子を怒らせてしまったのだ。その日から明子の逆恨みが始まったのだ。表面上は仲良くしているが、明子は百合に自分と同じ苦しみを味合わせたいと思っていた。手始めに友人の晴人に事情を話し計画を進めていった。


明子は晴人1人の復讐じゃ自分の苦しみはわからないと思い、何でも屋を雇った。


そう、誠だ。


明子は誠にマッチングアプリで結婚願望のある百合をその気にさせて、こっぴどく振って欲しいと依頼した。

その依頼は成功した。現に今誠と百合は半年付き合い結婚の話まで出ている。

そこまでは明子の計画通りだった。


だが、誠は百合を本気で愛してしまった。

    


誠は背広の内ポケットからスマホを出すと明子に電話をした。


「こんな事もう辞めさせてくれ!お金はいらない。本気なんだ!」


明子はじゃー全部バラしてもいいのね?と笑っていた。バレても復讐は果たせるからそれでもいいと明子は言った。でも、もう少しひっぱってくれる?その方があの子のダメージは大きくなるから。


誠は電話を切るとその場に座りこんだ。


どうすればいいんだよ…


バレたら百合を傷つける事になる。百合と離れる事は考えられない。バレたら百合はもう自分を信じてくれなくなるだろう…


誠はもう一度明子に電話した。


「直接会って話し合わないか?」


明子はそれを承諾し、午後8時に待ち合わせる事にした。


次の日、明子の死体が川から見つかった。ドンキの様な物で頭を殴られた事が致命傷だった。殴られた後に川に捨てられたのだ。




金曜日、誠がくる日だ。

百合は料理を作る気分にならなかった。明子が死んだ事を知ったからだ。仲の良かった百合に警察が何か明子に異変はなかったのかと聞きに来たのだ。不妊で悩んでいた事しかわからないと告げると適当な質問をし帰って行った。



8時前チャイムが鳴った。誠だ。

玄関を開けると百合は泣きながら誠に抱きついた。警察が来て友人の明子が殺されたのだと嗚咽しながら説明した為あまり聞き取れなかっただろう。

誠は百合を力強く抱きしめてくれた。

百合は大きく深呼吸し、ソファに座った。百合が落ち着いたらのを見て、誠は着替えて来ると言い寝室に向かった。

何かガサガサと聞こえたが、今の百合にはどーでもよかった。


その日のご飯は簡単に済ませ、誠と百合は抱き合って寝た。



百合は少しずつ元気になっていった。誠とも上手く言っている。誠は百合が元気がなかったのを気にしてか、ここ最近は結婚の話をして来なかった。だか、数週間経つと一緒に住もうと提案してきた。百合の家に誠が引っ越して来ると言った。嬉しかった。


誠はもう一つのスマホを隠さなくなっていた。浮気は気のせいだったのだろう。百合はスマホの事など気にしなくなっていた。


誠が引っ越して来るとなるとクローゼットを片付けなきゃいけないと開けてみると、中はダンボールに服に美顔器にごちゃごちゃだった。これは大掛かりな掃除になりそうだと思っていると奥の方にナイロン袋が見えた。何だろうと手に取って見ると少し重かった。中は新聞紙で巻かれていて何が入っているのかわからない。

新聞紙を剥がしてみると、何か黒い物のついたトンカチだ。

黒い物は血に見える。



なんでこんな物が…



そういえば、前に警察が来た日に誠は着替えて来ると言ってガサガサ何かしていた…

急に不安が襲ってきた。


明子が殺された事、明子が死んでから匿名掲示板の書き込みが無くなった事、血のついたトンカチ、スマホを隠さなくなった事…


でも、2人に面識はないんじゃ…


ぐるぐると頭の中を巡るが不安に囚われて何も考える事が出来なくなっていた。


あのスマホを見なきゃ。





金曜日、誠の来る日だ。

今回は百合が大量にお酒を買っておいた。

事前に飲みたい気分だとも伝えている。


いつもの時間チャイムが鳴る。

誠はおつまみを沢山買って来てくれていた。

映画を見ながら酎ハイを沢山飲んだ。百合は酔ったふりをした。誠は本当に酔っているようだ。2人で寝室に行きベッドに転がると誠は早々にイビキをかきはじめた。


百合はゆっくりと音を立てずにベッドを出る。

例のスマホは、テーブルの上に置いてある。

手に持ち中を見ようとするとロックがかかっていた。誠の誕生日を入れてみたがダメだ。ふと、自分の誕生日を入れてみた。


開いた!


LINEを開いてみる。やはり…

明子とのやり取りがあった。中を見てみると…

そこには、全て記録が残っていた。

明子が自分に恨みを持っていた事、マッチングアプリで復讐して欲しい事、誠はお金は要らないから復讐を辞めさせて欲しい事。


明子は自分を恨んでたなんて…


通話履歴を確認してみる。

明子が殺された30分前…

やっぱり犯人は誠…


全て辻褄が合った。


百合はクローゼットを開けると新聞紙に巻かれたトンカチを自分の通勤バックに入れた。どこか遠くに隠そうと…


嘘から始まった恋でも今は本当に愛してくれている。そう信じたい。誠を守りたい。


「明子、あなたが誠と出会わせてくれたのね。あなたの分も幸せになるわ。子供は2人産むわね。さよなら。」








 付き合って半年記念日、高橋百合(32歳)と高橋誠(37歳)は全てが順調だった。

その日は金曜日、百合の1DKの家でお祝いする予定だ。誠は仕事帰りにシャンパンを買って来てくれるとゆう。

 夕方7時百合は家に着き買って来た夕飯の材料をナイロン袋から出す。アサリの酒蒸し、アボガドとマグロのたたき、生ハムと玉ねぎのマリネ、ジャーマンポテトを作るつもりだ。

慣れない料理をするのに、スマホで調べようとした。料理アプリを探して、スマホをスライドさせていると、誠と出会ったマッチングアプリが出て来た。消し忘れていたのだ。なんとなくマッチングアプリを開いてみる。百合は驚いた。未読のメールが100件以上あったのだ。気にはなったが、1時間後には誠が来る為、マッチングアプリを閉じて、料理に集中した。


 8時前に誠は来た。その手にはシャンパンと白い箱が握られていた。記念日だから、ケーキを買ってきてくれたのだろう。料理が完成してなかった為、百合は誠にソファでくつろいでもらう様お願いした。

 百合は台所に立ちながら、マッチングアプリの100件以上のメールの事が不信に思っていたが、誠には相談しない事にした。せっかくの記念日、マッチングアプリを消してない事でケンカしたくなかったからだ。


その日は、シャンパンを飲んで料理を摘んでコメディ映画を見て楽しく過ごした。


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