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39.現場検証

 まずは現場検証から。


 というわけで、私は二人が寝起きするテントへと赴いた。


 中には寝袋が二つ。片方には脱ぎ散らかしたシャツとズボンがある。


 と、私の背中にぷにょんとした弾力が密着した。


「何かわかったメイヤ?」

「貴様がパジャマ代わりのシャツを脱ぎっぱなしにしているということだけだ」

「そ、それは急いでたから」

「いつブラが無くなったことに気づいた?」

「ついさっきだよ! 起きて着替えようと脱いだら……あれ? あれれぇ! パンツはあるのにブラがないって!」

「ひとまずシャツ着ろ」

「はーい」


 他にめぼしいものもない。上をぶるんぶるんさせっぱなしでは、目のやりばもない。


 保存するほどの現場でもないな。


 テントに潜り込んだ淫魔は、シャツを頭からすぽっとかぶり、ぐいぐいと胸をねじ込むようにして着用した。


「うーん、ちょっときついかも。また、大きくなっちゃったみたい」


 パツパツで二つの果実が布に圧迫面接状態だ。


 後方で殺気がふわり。


「ステイ。シャンシャンステイ」

「べ、別に怒ってないわよ! 一緒に暮らして同じものを食べてるのに、違いが出るのが理解不能で、ちょっと何本か千年杉を切り倒したくなっただけ!」


 キレてますやん。


 さて、証言が正しければサキュルが寝ている間に、テント内から淫魔ビキニのブラだけが消えた。ということだ。


 テント周辺の足跡を見る。


 下足の痕跡は三種類。私のものと、少女のものが二つ。片方はせかせか小幅なピッチで、恐らくシャンシャンのものだろう。


 で、大股で歩くのがサキュルのそれだ。


 昨晩のうちについた足跡以外も混ざっている。


 雨で流れた様子はない。


 シャンシャンも気づいたようだ。ピンと人差し指を立てる。


「外部犯の可能性は低いわねメイヤさん」

「うむ。空でも飛んできたのかもしれん」

「動機がそもそもわからないわ」

「サキュルの肌着を手に入れる理由……か」


 途端に少女二人の視線が私に突き刺さった。


「メイヤさん……まさか?」

「あーメイヤってば直接は恥ずかしいからってぇ」

「あ、おいやめろ……やめてくださいそんな死んだ魚みたいな目でこっちを見るんじゃないよこの野郎!」


 外部犯行説を除外し動機から考察すれば、唯一の男性である私に嫌疑が掛かる。


「メイヤさんのエッチ! むっつりだったのね?」

「もう隠さなくてオープンドスケベになろうよメイヤ」


 二人は左右から挟むように詰めてくる。


「待て早まるな百合で挟む前に私の推理を聞け」


 肉を前にした空腹の雌ライオン二匹よろしく、今にも飛びかかられそうだ。


「私が所持しているなら、いったいどこに隠したという?」


 シャンシャンが「うっ」と困り顔だ。なぜ困る。私が犯人であって欲しそうなつらしやがって。


「じゃあ、メイヤさん脱いで。身体調査をするわ」

「その必要は無いだろう。サッキーよ貴様の鼻はなんのためについている?」


 淫魔で駄犬なサキュルなら、匂いをたどって特定できるはずだ。


 と、地中のトリュフすら嗅ぎつける嗅覚の持ち主が尻尾をぺたんとさせた。


「ごめーん。っていうか、それができたら自分で探せるんだけどさぁ……ほら、体臭とか自分の匂いって、あって当然のものだからわかんないんだよねぇ」

「なんだと?」

「他の匂いがついていて、サンプルがあれば探せるかもしれないんだけどね」


 シャンシャン、ここで天啓を得たかのように胸の前で手をパンと打つ。


「じゃあメイヤさんの匂いを嗅いで探してみるのはどうかしらサキュルさん?」

「え? なんでぇ?」

「だ、だから……メイヤさんがね……その……使ってたら匂いがつくかもって」


 言い出しっぺの元聖女が顔真っ赤である。おまけに金髪がぶわっと風を含んで膨らんだ。

 淫魔は目を丸くする。


「おー! 考え方がサキュルよりも淫魔じゃん! すごいよシャロン!」

「褒めないでぇ……死にたいぃ……」

「んじゃ、メイヤの一番匂いそうなところを……っと」


 腰をかがめて女豹のポーズからサキュルが私の下半身に凸ってくる。

 闘牛士感覚でかわした。


「逃げるなんて怪しいよ!」

「匂いなら他のところでも構わんだろ」

「解像度あげたいの! じゃあ首! 首筋! フェロモン出てるところ!」


 下半身よりはマシということで、サキュルに首筋をかがせてみた。


「すーはーすーはーすんすん……この匂い……たまんないかも」

「耳元で囁くんじゃない。ぞわるだろう」

「こういうのがいいんでしょ?」

「匂い覚えたならとっとと探せ」

「はーい♪」


 てなわけで、駄犬の鼻があちこち嗅ぎ回った(アンチ比喩表現)のだが、結局匂いがしたのは私がいつも寝起きする場所やら、作業場やらである。


 消えたブラは見つからず、もう一つ事実が判明した。


「つまり私は貴様のブラを使っていないということだ」


 淫魔は頭を抱えた。


「うううう! 逆に無罪を証明することになっちゃうなんて……さすが名探偵メイヤだね」


 シャンシャンが首を傾げる。


「となると、犯人は誰かしら?」


 私が白なら当然グレーなのは長女ズである。


 さーて、どっちだコレ?

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