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37.どっちが「犬」でSHOW


 犬小屋を作ってみた。


 開閉する扉まではつけられなかったが、丸太を壁材にしたミニミニログハウスという感じだ。


 結構どっしりしていて、雪国で作るかまくらくらいの広さである。大型犬どころか、ちょっとしたライオンが丸くなれるくらいのものだ。


 で――


「メイヤさんすごいわ! ログハウスを作っちゃうなんて!」

「ねーねーメイヤ! この家、サキュルにちょうだいちょうだいちょうだいちょうだい!」

「あっ! ず、ずるいわよサキュルさん! わたしだってまともな屋根が欲しいわ!」


 美少女二人が左右から挟むように詰めてきた。


「貴様ら、これ以上挟むのは条約違反だぞ」


 淫魔がぷるんと胸を張る。


「じゃあ早く権利書ちょうだい!」

「んなもんあるか。というか、住むつもりなのか?」

「だってすっごく立派なんだもん。これ犬小屋にするのはもったいないよ~!」


 と、元聖女が割って入った。


「待ってサキュルさん。わたしだって欲しいわ一戸建て」

「おっとぉいくらシャロンがかわいくても、今回ばかりは譲れないなぁ」


 長女どもが視線で火花を散らす。


「わかったわかった、もう一つ作ればいいんだろ?」

「「だめ(よ)!」」

「綺麗に声を揃えるんじゃないよ。何が不満なんだ?」


 シャロンが頬を赤らめる。


「だって、メイヤさんの初めての作品だし」

「だよねだよねー! シャロンってば処女厨なんだ?」


 淫魔がはやし立てた。シャンシャンは耳まで茹で蛸だ。


「い、言い方がよくないわよサキュルさん」


 うーむ、何がいいんだか。


「おいシャンシャンよ。初めての作品というなら、焚き火台周りのベンチとかだぞ」

「あれはちょっと切った丸太じゃないの?」

「素材の持ち味を存分に生かしたしつらえですがぁ!?」

「なんでキレるのよメイヤさん」

「図星つかれると人間って怒るんだよ」

「それ、図星つかれた人じゃなくて指摘する人のセリフよね」

「黙らっしゃい」


 私は視線を物干し台に向けた。


「そこまで言うなら、大工仕事の最初の作品はあっちの台になるが?」


 今度はサキュルが両腕を万歳させた。


「あれは公共財でしょ? 洗濯物がぐっと干しやすくなったし」


 元聖女も「うんうん、そうよね」と同意の姿勢だ。


 ということで、試作品の犬小屋こそが私のファーストロットということになるらしい。


 意味、わからんけど。


 シャンシャンが迫る。


「どっちにプレゼントしてくれるの?」


 サキュルが胸を揺らす。


「もちろんサキュルだよね?」


 正直どっちでもいいんだが。


「じゃあアレだな。犬っぽい方にやろう」


「「――ッ!?」」


 シャンシャンとサッキーは互いに顔を見合わせると――


「負けないわよサキュルさん」

「サキュルがどれだけメイヤの負け犬になって靴を嘗めてへそ天してきたか……実力の差をわからせてあげるよ」


 もう一度、火花を散らす二人の視線。


 こうして、第一回チキチキおもしろ家族「どっちが犬か」選手権が開幕した。



 サキュルの圧勝に終わった。


 第一種目の棒拾い。第二種目の障害物競走アジリティーまではシャンシャンがフィジカルに物を言わせた。


 のだが、三種目目の匂い当てゲームでは、犬並のガチ嗅覚を誇るサキュル圧勝。

 続く尻尾フリフリゲームにおいては、尻尾を持たないシャンシャン相手に余裕の不戦勝である。


 そして――


 犬の鳴き真似選手権でサキュルは圧倒的な「くぅ~んくぅ~ん」感を演出し、元聖女がはずかしがってできなかった「チンチン」ポーズもこなすと、最後はへそ天からの舌出し♥の瞳でもう、完全に雌犬です本当にありがとうございました。


 激しい戦いを終えた長女たちは握手で締めくくる。


 敗北したはずの元聖女だが、どこか爽やかな表情だった。


「今回はあたしの完敗ね。サキュルさんみたいに羞恥心を捨てられなかったわ」

「ありがとうシャロン。これからは犬として立派に務めを果たしてみせるよ」


 なんかわからんけど、おめでとう。


 てなわけで、試作品の犬小屋の所有権をサキュルが得たのだが――


「グワッグワッグワッ!!」


 サキュルが犬小屋に入ろうとすると、先客がいた。


 コールダックである。どこから調達したのか、アヒルのキングが干し草を敷き詰め、優雅に犬小屋のセンターで陣取っていた。


 淫魔が悲鳴を上げる。


「あっ! ちょ! なんで!? そこサキュルの場所!」

「グワッグワッ!」

「どいてよおおおお! ねええええ! 出てってえええええ!」


 淫魔が小屋からコールダックを外に出すが、気に入ったのか白い悪魔はスッと戻ってきてしまう。


 手荒なまねができる性格でもなく――


 サキュルの犬小屋はアヒルに不法占拠されたのでした。


 ま、そうこうしている間に私はというと、柱を立てて梁を作り、屋根を張って野外資材置き場を一つ完成させた。


 これでまきを雨に濡らさずに済みそうだ。 


 簡単な棚も作って、ますますキャンプは快適になってきたな。


 木工万歳。


 最近、悪人しばいてないけど、火の粉なんて元から降りかかってこなきゃ、それでいいんだよ。


 っと、やだ。なんかフラグっぽいな。今の無し。無しで。


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