鬼人との遭遇
あいつ日本の事ぜって〜勘違いしている、狂ってるとか地獄の様だとか失礼な事を言っていた。
俺が悪いのか?普通に質問に答えて補足説明した。
俺が悪かった
伝わらなかったと呆然と微笑んでいたら、なんだか謝られたが面倒臭いので乗っかってやった。
間違ってはいないと思うし。
今日は斡旋所にクワンリに付いて来た。ペット捜索の仕事は大体片付いたので他に仕事を探さないとならないのだ。
この女に仕事を選ばせて来ると碌な物を掴まされない、この間など給金が良いと言って荷運びの仕事をもらって来たが運ぶ荷車の荷物を見る限り二人で運ばないと厳しい量だった。
いわゆる二人分だから高いのだ。
普通に二人分で計算すると最低の日当になる。
クワンリは身体強化を使って一人で運べるので狙いは良いのだが、斡旋所に来ている遊び人達から馬鹿力女と渾名されて来ている。
今も3人分の仕事を取ってこようとしている。
目立ちすぎるからよせと、やめさせる。
渋々諦めたクワンリが面白そうな仕事を持って来た。
・・・ノルよ、これなんかどうだ?鬼人の生息地の調査とある。
森の動物達に聞けば直ぐに見つかるのではないか?
最近俺の思念が猫以外にも通じる事がわかって来たので、ペット捜索で味をしめたクワンリは俺を当てにしてコキ使おうとしているのが見え見えだが、森には行って見たかったので引き受けることにした。
・・・じゃあ院長に森に行く装備等聞いて、明日揃えて、明後日から森に入ろう。
孤児院への帰り道この世界のヤカラにクワンリが絡まれた。
馬鹿力女に力勝負を挑んで来る事を楽しんでいる様でなんか嫌な感じだ。
クワンリは勝負を挑まれても辞退の意思を示しているのだが、少し酒でも入っているのか男達はクワンリの腕を強引に引っ張ろうとして手をかけた。
瞬間
男は回転したと思ったら地面に沈んでいた。
ヒラヒラと男達の間を踊る様に舞うクワンリ、捕まえようと手を出す男から順々に投げ出されて行く。
呆然と眺めていると俺を抱き抱えると一目散に走り出した。
人が集まり出したので良い判断だ。
抱えられながら思い出した、合気道の神様的なおっさんが動画サイトで上げていたウソくさいあの動画の様だ。
あの動画は本当だったのだと、疑ったおっさんに心の中で謝った。
魔族領では武道と言うより護身術が主流なのだと言う。
流派は三つあり、クワンリはその流派の中のひとつの師範代クラスなのだと言う。
強い女はカッコいいなと褒めてやったら頭を揉みくちゃに撫でられた。
脳が揺れるが、
もう慣れて来たのでやらしておく。
調査対象の森に入ってしばらくしたらうさぎの様な小動物に出会ったので思念で鬼人の住処を尋ねて見たが、縄張り内には居ないと言うので更に奧へと入って行く。
大型の獣なら縄張りも広いだろうからわかるのではと思い探すのだが、なかなか出会えない。
疲れたので今日は帰ろうとクワンリに思念を送ろうとした時、背後の茂みから大きな影が勢いよく出て来た。
びびった。マジびびった。
背中の毛が逆立ち警戒の声が出る。
鬼人だ、デカイ。
2メートルは超えてる背丈でムキムキだ。
いくらクワンリでもやばいんじゃ無いかと思って逃げ道を探す。
鬼人は少し距離を取ると鬼人流のファイティングポーズを取ってこちらを伺っている。
腰を九十度ぐらい前に倒して腕を広げて鳥の様に羽ばたいている。
こんな状況でなんだがチョット笑える。
思念を使って見た。
・・・そこの猫 何がおかしい、何をしに来た。
とっとと立ち去れ!
そこの女は魔族か?
なぜこの辺りに魔族がいるのだ。
どうでもいい、我らの事はほっておいてくれ。我らの生活を邪魔しないでくれ。
話が通じる様なので、害を為すために来たわけではなく敵意もない事を伝える。
鬼人の話によるとこの森で静かに暮らしていたら、人族が縄張り内に入って来たので威嚇をしたのだと言う。
威嚇はお互いが縄張りを尊重するために鬼人同士ではよく行う事らしい。
威嚇をして数日後に沢山の人族が押し寄せ山狩が始まった。
鬼人は住処を追われて冬籠用の洞窟に避難して居るのだと悔しそうに話した。
大人10体子供3体の小規模のコミュニティを作っている。
俺たちの仕事は逃げた鬼人を探し出し全滅させる為の準備だったらしい。
嫌な仕事を受けた物だ。
クワンリにその事を伝えると悲しそうな、哀れむ様な視線を鬼人に向けて言葉を無くしている。
此処でも排除の掟が行われている。
人は随分自分勝手で強欲なのだろう。前世の世界と此処も変わらないのだろうか?
鬼人の洞窟に案内された。
皆怯えている、可哀想に怖いのか寒いのか子供達は震えている。
煙で居場所がバレるので火は夜にしか使えないから寒いのだろう。
クワンリが手招きするので行ってやる。
クワンリは転移の魔術具を持っているらしい。
一度しか使えず、クワンリが調査を終了した時にこれを使って帰る為のものだ。
それで魔族領に送ろうと言って来た。
また出た、このお人好し魔族は自分の事を二の次にして困ってる者を助ける様だ。
仕方がない、帰る算段はおいおい考えれば良いだろう。
と答えるとさっと横に逃げる。
ふふふ、いつも脳を揺らせてやるものか!
クワンリはこっちを見て不満そうな顔をしているが、ほっておく。
いきなり居なくなると不自然だ。
俺たちの仕事も達成できない。
その旨鬼人に伝えると鬼人から提案があった。
鬼人は10年に一度ツノが生え変わるらしい。
皆取れた古いツノは大事に持っているのだと言う。
それを持って討伐した事にすれば万事丸く収まる。
人族は生え変わることなど知らないと言う。
うまく行くだろうか?
死体が無い事が問題にならないと良いが、、、、
10人分のツノを貰いクワンリが魔王宛に書いた紹介状を渡して転移の魔術具を発動した。
あっちでは幸せに暮らせると良いな、とクワンリと共に見送った。
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