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第35話 告発

 処刑まで後40日で無実の罪での拘束までは後10日。


 双子のタイガとセイガにはベルガー商会の密告者と幹部のドイル両名について中心的に張り込みをさせている。


 特にベルガー商会の密告者のエイブにはそろそろなんらかの接触があるはずなので重点的に張り込みをさせていた。


 こちらからエイブへの接触はしていない。


 それをする事によってもしかしたら歴史が変わる可能性もあるからだ。


 無実の罪での密告は防げたとしても、黒幕を突き止められずにもしも違う方向から謀略がされたら、そちらは予測できずに防げないという可能性がある。


 密告者のエイブの情報としては貧民街出身で、家は貧乏。両親共に他界しており、病気の妹の治療費を稼ぐ為にも商会で働いているとの事だった。


 そうして双子に張り込みをさせて何かしらの動きがないかと気を張り巡らせながら、何も成果はなく時だけが過ぎ去っていく中、密告の2日前の事。


 コンッ!


 俺の部屋の窓に小石が当てられる。


 窓を開けると外にはここまで走ってきたのか、肩で息をしているタイガの姿があった。


 俺は2階の窓から下に飛び降りる。


「どうしたの? 何か進展があった?」


「はあはあ、エイブと……ドイルが接触した」


「ほんとか!? 何か分かった?」


 タイガの説明はこうだった。


 エイブがいつものように商会の仕事の荷物の搬入や出庫をしていた時、ドイルに呼ばれたらしい。


 商会の幹部ドイルの執務室でエイブは、これからする指示に従わないと商会を解雇すると脅しを受ける。


 指示に従えば金貨200枚という大金を支払う、というムチだけではなくアメの提示もしていたそうだ。


 エイブは最初は逡巡する様子を見せてたが、結局はドイルの指示に従う意思を示す。


 商会から特別に病気の妹の薬を安く卸してもらっているという事情もあってその辺りも判断に影響したのだろう。


 そしてドイルからエイブに出された指示は、第7王子をレジスタンスの一員でクーデターを画策している、という無実の罪で告発しろというものだった。


「それを聞いた時、エイブは随分と動揺して一度は断ろうとしてしたけど、最後には妹の事でドイルに脅されて渋々、了承させられてたよ」


「よし! それじゃあ、ドイルはもう確定だな。よくやった、タイガ! セイガにもよくやったと伝えておいて」


「へへへ、じゃあ、俺はまたエイブの張り込みに行ってくる」


「ああ、頼んだよ」


 タイガは来た時と同じようにまた商会の方へと向かって駆けていった。


 よし!


 俺は人知れず、ガッツポーズをする。


 前世では何も掴めなかった謀略への手掛かりを遂に掴む事ができた。ドイルは確定。次はどう黒幕へと通じていくのかを調べるのみだ。


 ドイルもしばらく泳がせるか……ドイル個人についてはまだ何も王族ブルータスとの繋がり等、確定した情報は落ちてきていない。


 ドイルを泳がせてたとしても、もしかしたら警戒してしばらく動きを見せない可能性もある。


 前世の俺が処刑されてほとぼりが冷めてからやっと報酬面などの行動をとる、ということも十二分に考えられた。


 であればさっさとひっ捕まえて、尋問をかけた方がいいだろう。


 ドイルは尋問しよう。だけど、エイブの俺への告発前に尋問すると、もしかすると未来が変わってしまうかもしれない。


 よってドイルを尋問するのはエイブの告発後だ。エイブも告発後にすぐに暗殺させないように身柄を確保する必要がある。もちろんそれまでドイルとエイブの尾行は継続する。


 よし、方針は決まった。

 エイブの告発まで後2日しかない。


 俺は早速、方針を共有して段取りをきちんと決めておく為、エイブとドイルの尾行を行っている双子の二人の元へと向かった。



 ◇



 前世の俺の告発を行ったエイブが警備局の建物から出てきた。手錠をかけられて、連行されている。


 こってり絞られたのだろうか、エイブからは元気なさそうな焦燥感が漂っている。


 エイブを連行している衛兵は二人。


 連行の先は恐らく拘束しておくための牢屋がある拘置所だと思われた。エイブが暗殺されたのは拘置所の中だ。それまでにエイブを確保する必要があった。


 警備局から拘置所までへのルートは事前に把握している。そしてどこで、どうするかも双子の二人と事前に決めてあった。


 エイブの移動を確認した俺たちは計画通り目的の場所までの移動を開始する。




「おりゃー」


「なにおー、くそー」


 仮面をつけた二人の少年がチャンバラ遊びを道端でしている。そこを通りかかるのはエイブを両脇で連行している衛兵の姿。


「おい、ちょっと道を開けろ」


 チャンバラ遊びをしていた少年たちはその声で木の棒での斬り合いを止める。


「ここを通りたかったら、俺たちを倒してからにしろ!」


「そうだ、そうだ! ここは俺たちの縄張りだぞ!」


「しっしっ、あっち行け。相手にしてられるか」


「ったく、どかねえようならぶっ飛ばすぞ、クソガキども」


 衛兵たちが双子の二人に苛つきそちらに注意がいった所で――


 ドガッ! ドガッ!


 俺は背後から衛兵の攻撃を加える。


「なっ……」


 俺の攻撃によって昏倒した二人の衛兵はその場に崩れ落ちた。


「えっ? …………あなたは何者ですか……?」


 俺も双子の二人と同様につけていた仮面を外す。のんびり説明している余裕はなかった。


「話は後です、とりあえず一緒に来てください。手錠は分からないようにこれで隠して……じゃあ、ついて来て」


 俺はエイブの手が隠れるように布をかぶせると強引にエイブを引っ張っていった。

【※大切なお願い】


 少しでも、


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