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第29話 兄弟団への連行

「ではお楽しみといきましょうか。ルスラン様、念の為、もう少し離れておいて下さい」


 ジェフリーはその細目をニヤつかせながら、どこからか杖を出現させて取り出す。


「剣を下げているという事は剣も使えるという事でいいかな青年? 実は私も剣を使えるのだが、剣で勝負しないかね?」


「別に俺は構いませんが」


「ウィルはこの前、王都の剣術大会の個人戦の優勝者をぶっ倒したばかりだぞ、この野郎! 勝てると思ってんのか!」


 後方で気炎を揚げるアルフレッド。

 わざわざネタバレしなくてもいいのに……。


「ほうー、個人戦優勝者ですか。そんな事を、自分で達人だのなんだのとほざく者たちを、今まで一体何人葬ってきましたかね」


 ジェフリーは詠唱を始めたと思ったら、


氷剣(アイスソード)


 彼の周囲に次々とおそらく氷で構成されたであろう、剣が出現して宙に浮いている。


 氷剣は1本、2本と次々に増えていき、最終的には10本くらいの剣がその切っ先をこちらに向けた状態でゆらゆらと宙に浮かんでいた。


「今回はどんな悲鳴が聞けのるか今から楽しみですねぇ」


 仮面のような笑みを浮かべながらジェフリーは宙に浮かぶ氷剣を俺に一斉に放ってくる。


 俺はその氷剣を剣を振るい一気に叩き落とす。


 スペリオンの群れによる攻撃や、ランバートの倍速反動による連撃と比べたら欠伸がでるようなスピードで造作もない事だった。


「なっ!? ……今の一瞬で一気に……な、なるほど、スピードはなかなか速いようですねえ」


 ジェフリーは狼狽えながらも平静を装って言う。


「あなたの氷剣は剣術っていうよりは魔法を使ったただの手品ですね」


「ぐっ! クソガキが調子に乗るなよ! 宮廷魔術師まで努めた俺相手にお前らなど万が一にも勝ち目などないんだぞ!」


 ジェフリーはそう言いながら宙に浮いていく。おそらく剣術による地上戦に持ち込ませないようにする為の対策だと思われた。


「あれ、剣術はもう終わりですか?」


「黙れ! その減らず口、二度と叩けぬようにしてくれるわ!」


 ジェフリーは詠唱に入る。彼の背後に魔法陣が構成されていく。


 なるほど、同じ氷系か。


 俺は展開された一部の術式を確認する事でジェフリーが発動しようとしているのがなんの魔法か見破る。


 ジェフリーはもう魔法の発動の準備を終えようとしている。俺は無詠唱でのカウンター魔法をすぐに発動出来るように身構える。


「よし! これは絶対に下位の魔術師には防ぐ事はできない! 上級以上の圧倒的な魔術師の力量をその身で味わうがいい!」


複合巨大氷槍(マルチビックランス)


 ジェフリーの上空に巨大な切っ先が尖った氷の塊がいくつも出現する。


「今度は退路などないぞ! 避けたとしても圧殺してやる! 圧倒的な質量とパワーの前には凡夫など全くの無力と知れ!」


「ま、まて、ジェフリー。そんなの屋敷が潰れ……」


「死ねぇっ!!」


 頭に血が上ったジェフリーに最早雇い主の声は届いていない。いくつもの巨大な氷槍が俺に迫りくる。


獄炎竜巻ヘルフレイムトルネード


 炎の竜巻が地上部分は細く、空高くなるにつれて広がり大きくなるように立ち上がる。


 ヘルフレイムトルネードは巨大な氷槍を次々と飲み込み、それを一瞬で蒸発させていった。


「な、馬鹿な、上級魔法だと? それにあの威力の魔法を無詠唱で!?」


 信じられないという風にジェフリーは呆然としている。


「ひ、ひぃーー!」


 一方でルスランたちは腰を抜かし、ルスラン本人に至っては股間部からじわーとシミができていた。


「ぐほぉッ」


 呆然自失となった隙だらけのジェフリーの腹部に、俺は肘打ちを差し込む。昏倒したジェフリーを抱えて地上部へと降り立った。


 昏倒したジェフリーをルスランたちの前に置く。流石にもうルスランたちに戦意はなさそうだ。


「アルフレッド、ちょっと拘束手伝ってくれ」


 そういって俺はアルフレッドに手錠を渡す。

 ルスランたちの手に次々と手錠がはめらていく。


「さて、学生身分の君たちだけで麻薬のソーマの用意はできないだろう。黒幕は誰だ? ブルータス殿下か?」


「ブルータス様は麻薬の商売には関係ない……はずだ。関係あるのは……」


「下手に誤魔化そうなんて思わない事だよ? 商品の流れを調べれば嘘をついたかどうかなんてすぐに分かるんだから」


「……ベェルガー商会の幹部のドイルだ。麻薬の密輸、仕入れから販売の指南まで全てあいつにしてもらってる」


 ビンゴだ。やはりベルガー商会が絡んでいた。


「ブルータス殿下は関係ない、はず?」


「……たぶん。少なくとも俺にドイルとブルータス様の繋がりは知らない」


 嘘はついてなさそうに見える。


 だがルスランは知らされていないがブルータスとドイルに繋がりがあるという可能性は多いにある。


「よし、じゃあ、兄弟団の本部へ向かおう」


「ここまで正直に喋ったんだ、見逃してはくれないのか?」


 ルスランは泣きそうな顔をしている。

 取り巻きたちも先程までの威勢はどこにいったのか借りてきた猫のようになっていた。


「見逃す訳ないでしょう。ああ、後さっさとアルフレッドから踏み倒した商品の代金は払うようにね。ほら、兄弟団の本部まで行くよ」


 泣き出す者、子供のように駄々をこねる者、青い顔して淡々と従う者、と反応は様々である。


 やはり前世の謀略にブルータスが絡んでいるのだろうか? またドイルは?


 この後、双子の二人を仕込んでドイルと後、ベルガー商会で密告する予定の男の行動を監視させる事としよう。


 後は前世の俺の拘束までに、どこまで情報を仕入れれるかが勝負だ。


 決意も新たに俺はルスランたちを連れて兄弟団の本部へと向かった。


【※大切なお願い】


 少しでも、


「面白い!」

「続きが気になる!」

「更新頑張って欲しい!」


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