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42 ヒロインに異世界転生してたらしいけどそんなん知らんしとりあえずカマクラ作っとく②

 そして更なる変革として、冬越の祭りに目をつけた。

 冬には小物を作って、小金を稼いでいた大工たち。

 彼らにダンノ経由で話を持ちかけ、冬越の祭りに雪像や、雪の建物を作って展示することを提案した。

 懐疑的な者達も多かったが、1度、温泉施設作りで仕事を提供したことも影響し、何組かが「どうせ暇だし」と手を貸してくれることになった。

 そして開催された『ニフレアナ雪まつり』。

 雪の女神の名を冠した、この催し。

 これは大盛況をおさめた。

 少しずつ増えていた観光客の、お眼鏡にかなったのだ。

 年々参加人数も増え、2年前からはついにダンノも出稼ぎをやめ、参加するようになった。

 参加人数が増えるほどに、見応えのある展示も増えていく。

 ついに今年からは、整理券が必要なほどになった。


 自然と私は、「街興し実行委員長」などと呼ばれるようになった。


 とはいえ、名産を作り、見どころを作り、街の信頼を得たとしても、領主の覚えが良くなったとしても(面会を要請された。緊張で血を吐くかと思った)、所詮は平民。


 まだまだ、セリアナに会うまでは時間がかかる。


 ーもっともっと、上り詰めなければ。あのこにもう一度会うために。そして、あのこを迎えに行くんだ。


 そんな強い願いー思いは。

 見事に打ち破られ。


 私があのこを迎えに行くことは、出来なくなった。


 背中に踊る、願も掛けられなかったピンクブロンド。


「世はかくも、無情、だねぇ…」







「あ゛あ゛~~疲れた~~~」


「ちょっともう、おっさん臭い声出すのやめてよね」


「だーーってーーーここ数ヶ月?なんなら1年?企画やらなんやらでずーーーっと忙しかったんだもーん。ここでぐらい素で居させてーー」


「アンタ、素じゃない時なんてあった…?ちょっともう、無意味に寄ってくるんじゃないわよ鬱陶しい。ただでさえ狭いのに」


 いつかと同じような、かまくらの中。

 もちろん、雪まつり会場ではなく、教会近くに建てた。

 ダンノが出稼ぎに行かなくなったため、預かりの身ですらなくなった。よって修道院施設に入ることは出来なくなったが、「温泉施設のメンテナンス」やらなんやかんや理由をつけて、ちょこちょこと敷地内にはお邪魔している。

 正直、シスターオルミエーヌのご厚意だとは、分かっている。



 全力でそのご厚意を有効活用すべく(ビビアのすげない態度にメゲず)さらに身を寄せる。


「だーーってーーー…今年は疲れも格別っていうか…ビビーは悔しくない?こんな結果になって」


「悔しいに決まってるでしょ。らしくなく、真面目に必死になってきたって言うのに。わたし、お陰様で赤紐目前よ?まぁ領主夫妻に恩を売ったんだから、当然っちゃ当然だけど」


 そう。ビビアはビビアで凄かった。

 ご懐妊なさった若奥様の具合がよろしくないと、教会で祈りを捧げに来た領主にロックオン。

 若奥様の様子を聞き、生活および栄養指導。果ては、産婆として、お世継ぎを取り上げるという暴挙(と、私は主張したい)を成し遂げた。


『知ってる?この世界の貴族やら金持ちは、妊娠したらとにかく安静。基本的に、ベッドのうえで過ごすことも多いのよ?馬鹿らしい』


 加えて食事も、とにかく食べさせればいいと、油の多い料理を食べさせることも多いとか。

 前世(かこ)、助産師資格も持ち、勤務していたらしいビビアは、的確な栄養指導と、適度な運動に付き添い、自らの手で赤子をとりあげた。

 薬学については手を出さなかったが、食べ物については、共通の物が多いとかで、食事に関しては自信を持って栄養指導ができた、らしい。


 とはいえ妊娠出産は、リスクを伴う。


 大分、危険な賭けだったと思うのだが、『やろうとしていること考えたら、多少のリスクなんてとるしかないでしょ』とのたまい、やり遂げた。

 しかも指導の際、ちゃっかり自分のアイデアを売り込み、『皮むき器』や『甜菜に似たもの』をゲット。


 いまや、家政、竈の神ーウェスリアの使徒、などと呼ばれるようになっている。


 ちなみに、今街で売り出し中の、塩を使ったお菓子もビビアの発案である。こういったものに関しては、本当に適わない。


 私よりよっぽど、セリアナを迎えに行くことに近かった。

 それは叶わなかったけど。

 余程、本人も悔しかったと見え、さっそく蜂蜜酒を開けようとしている。


「あーあ、本当にやってらんない。ねぇこれ私ひとりで空けるわよ?いいわよね?」


「いいわけないでしょ!ベロンベロンになってなんて言い訳する気?!」


「委員長に無理やり呑まされましたっていうわよ。大丈夫大丈夫」


「それ私の名誉が大丈夫じゃないよね?!」


「うるっさいわねーアンタの名誉なんて初めから無いわよ安心なさい」


「ある!あるから!なけなしのがあるからってーかこれ1人で空ける量じゃないだろ!」


「だから空けるのよ!やってられるかこの状況!」


「完全に自棄(やけ)になってる?!急性アル中なるから!!」














「相変わらず騒がしいですわね」















 涼やかな声が耳を打つ。

 やんややんや騒いでるうちに、いつの間にか、かまくら入口まで近づいていたらしい。


「「出たな元凶」」


「げっ元凶?!ちょっと!4年振りですのよ?!もうちょっと、こう、なんかあるんじゃないんですの?!」


 4年振り。

 そう4年振りに再開するあのこは、輝いていた。

 きらきらしく輝くプラチナブロンド。力強く輝く、菫色の瞳。

 それがとても…


「「なんか腹立つ」」


「このゴリラと性悪がっ!!」


 互いに感動も何もない、再会である。

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