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41 ヒロインに異世界転生してたらしいけどそんなん知らんしとりあえずカマクラ作っとく①

大変お待たせ致しました。最終エピソードです。

 活気に溢れた様子の町。

 家々からは、色鮮やかな掛布(カロ)がはためいている。


 ー冬越の祭りの季節が、今年もやって来た。


 数年前までは、地元で盛り上がる、そんな祭りだった。

 だがそんな祭りは、徐々に変化を見せ。

 今では近隣から、時には遥か首都から観光客が来るようになった。

 その要因となったのはー


「ねえ!このチラシの『パーヴェの旅籠』はどちらかしら?」


「それならこの道をまっすぐ行ったら、右手に見えますよ」


「ありがとう!噂の温泉があるって聞いて、楽しみにしてきたのよ!」


「ああ、『パーヴェの旅籠』もいいけれど、他のにもぽつぽつ温泉宿がありますよ!楽しんで!」


 温泉。

 かつては野ざらしに放って置かれていたそれは、整備され、街の賑わいに一役買っている。

 さらには


「さぁさ!温泉の源泉から作った塩だよ!これを使ったお菓子もあるよ!」


「塩を使ったお菓子…?美味しいのかしら?」


「試してってくれよ!土産話になるよ!」


「温泉もいいんだけど、雪まつり広場はどこなの?私達は雪像を見に来たの」


「あ~お嬢さん、それは反対方向だ!あそこの看板が見えるかい?あの矢印を辿っていけば行けるよ!」


「ありがとう!」


 そこかしこで、各々のお目当てを探す観光客たち。元々の目的以外のものにも興味をひかれ、あちこちに足を伸ばしている。


 温泉。

 目新しい菓子。

 雪像。


 今までになかった、名産。

 その立役者となったのがー…


「おお~い!委員長!リーン実行いいんちょーーー!!」


「はーーーい!!そんな大声で呼ばんでも聞こえるて!」


「だって人が多いんだもんよ!ニフレアナ雪まつり会場の人が多すぎんだよ!いつもより多いんだ!どうすればいい?」


「一旦入場制限して!準備した整理券配って!☆マークのやつ!半刻後に銅鑼をならすから、そしたら☆マークの整理券もってるお客さんをいれて!」


「了っ解!」


「待ってる間は、最寄りの温泉とか、出店も案内もよろしく!」


「かさねて了っ解すー!」


 ふう、とため息をつけば、さらりとピンクブロンドが背中を踊った。

 4年、なんとなく伸ばしていた髪は随分と長くなった。さすがに途中整えて切られたりはしたし、普段は1本にまとめ上げているが。

 願掛け、てわけじゃないけど。別に普通に切ったりもしたし。

 だが。


「切っちゃったからかなぁ…目標叶わなかったのって」


 あーあ、と溜息を零せば、後ろからぺし!と頭を(はた)かれた。


「なぁーに生意気に黄昏てんのよ、ていうかこの忙しいのによく黄昏てられるわね!」


 振り返れば、年齢不詳の栗毛の美少女がいる。…いや今年であなた、19よね?少女というより女性という年齢になってきたわよね?なんで4年前とほぼ変わらない美少女ぶりなん?


「…ビビーさん、出会い頭に(はた)くのやめていただけませんかね」


「失礼ね、愛のムチよ。愛の」


「…もっと優しい愛が欲しい…」


「贅沢言ってんじゃないわ。ていうか働きなさいよ、キリキリと」


「働いてるよぅケチんぼー」


「は!褒め言葉だわ。ほらほら、さっさと雪まつり広場は行きなさい!今年はますます大盛況みたいなんだから」


 そこでニヤリとわらう美少女の腰元に踊る、緑色の組紐。


「頑張ってきなさいよ、実行委員長?」





 セリアナを見送った春。

 そこで私たちは約束をした。

 必ずまた会おうと。世界の思惑なんか、知ったことじゃない。


 絶対にまた、会おうと。


 その為に、私は流して生きることをやめた。

 今までだって、それなりに懸命に生きていたつもりだった。でもそれじゃ、そのままじゃきっとセリアナに二度と会えない。


 ー教会が、国が、無視できないほどの実力者になって、セリアナに会いにいく。


 それが私が立てた目標。

 といってもたかが平民風情。本当だったらどうやったって、不可能に近い。


 だから私は、利用できるものは全て利用することにした。具体的には、父ーダンノの技術を全て。

 春に戻ったダンノを、言葉で、ときに尻をひっぱたいて、焚き付けた。

 実際に作るのはダンノをはじめとした、技術者達だったが、はじめて取り組む事業に異様な盛り上がりをみせーそして、この国初の温泉施設を作り上げた。


 ちなみに場所は、ビビアと2人で入った、あの教会所有の温泉である。


 教会はそれを、ミサに来た人々へ解放した。


 無論、無償である。


 教会の温泉施設は、多大な宣伝効果を発揮し、『自分たちのところにも作れないか』といった相談をうけるようになった。

 教会の立地は道が険しい上、ミサ後にしか、基本温泉は解放されない。

 幸い、温泉施設に適した場所はいくつかあった。

 より、人々が通いやすい場所に、温泉施設をつくり、それはだんだんと人の口に登り始めた。


 寂れた北の街は、観光地へと舵を切ったのだ。


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