40 たおやかな花などクソくらえ
「さっきから黙って聞いてれば綺麗事ばかりべらべらと。悲劇のヒロインになったつもりの自己陶酔おつ。悪役令嬢のくせして笑えるわー」
うわぁ、うわぁ…!ビビアが凄い悪い顔して笑ってる…!
てか滅茶苦茶似合うな。ビビアの方が悪役令嬢感あるんだが。
「結局あんた最初っから変わってないわよ。なぁにが『ここに来るまで思いもしなかった…』よ!めっちゃ笑えてくるんですけど?!来た時から相変わらず自己憐憫、自己陶酔女道ひたはしってますけど?!」
「な、なっ…!」
「それでいて成長した気でいるのウケるーマジ自分見えてなーい」
がんがん煽っていくスタイルの性悪女。
コイツ絶対SNS炎上とかにガソリンぶっこんでいくタイプだわ…
「ていうかポエムかっつーの痛ーーーい」
ぶちん。
あ。
「いっ言わせておけばあああ!!この性悪が!!」
「あーそうよ性悪よ性悪で何が悪いのよ!」
「悪いに決まってるでしょう!口開く度に人をこき下ろして不快にさせて!!そもそもわたくしがこんな目に遭ってるのもあんたのせいでしょうが!!」
「それはお互い様でしょー?私だってあんたさえいなければ今頃ハーレムルート驀進してたわ!!」
「はぁああ?!んな訳ないでしょうが!ゲームならまだしも現実よ?!げーーんーーじーーーつ!!!大体わたくしだってあんたさえいなければ王妃になってたんだから!!わたくし超がつくほど優秀だったんだから!!」
「へええ?周りの評判最悪でしたけど?!それでも王妃になれたっていうの?私さえいなければ?」
「当たり前よ!!このわたくしよ?!何だったら周りのヤツら、なんなら王太子だって黙らせて国掌握してやったわよ!!!」
「じゃあそんくらいの気概を今持ちなさいよ!!!」
「は?」
「あんたはね!どこまでいったって何思い出したって所詮はセリアナ・シュレーゼンなのよ!!最悪の悪役令嬢なのよ!!ハイスペックで嫌がらせしまくってくる最大の障害なのよ!!!」
「その持ち前の根性の悪さとスペック、今発揮しなさいよ!あんたの鬼門のヒロインはこんな単純馬鹿だし今回邪魔にもなんないわよ!私だってここにいんだからあんたの邪魔になりゃしないわ!何が体のいい幽閉よ!ヒロインさえいなけりゃあんたは最強の悪役よ!その手腕いかして教会本部牛耳りなさいよ!!」
「それで堂々と、真正面から出てくれば?!それが出来るならね!!!」
これは。
もしかしなくとも。
「ビビー…さすがだわ。平伏しちゃうほどの捻くれ者だわ…」
「うっさいこのゴリラ!あんたも変に負けてんじゃないわよ!いつもだったら腕力でねじ伏せてるでしょうに!」
「さすがに毎回は暴力で解決してないよ?!今回むしろあたしじゃなくてビビアが暴力的だったからね?!」
「何言ってんのよ!私の可憐な手は今の一撃で砕け散ったわ!慰謝料請求したいくらいよ!」
「うわぁ当たり屋理論!て、マジで手ぇ赤!腫れてる!えーひ弱すぎる!」
「…貴方たち、わたくしのこと放置するんじゃないわよ!」
ぴたり、と動きが止まる。
改めて二人揃って見れば片頬を腫れ上がらせた、ついでも目も腫れ始めた美少女の顔。
「…うん、さすがビビー。セリアナに闘魂注入するのはいつだって君だね」
「うっさいわ。本当にこんな真似させんじゃないわよ七面倒臭い。おまけに手も痛い」
「ぬけぬけと!わたくしだって顔が痛いんですけれど?!」
「じめじめしてたあんたが悪い」
「ほんっっとう…根性悪いですわね!」
「お互い様でしょ」
「…そうですわね」
ふ、と開き直ったように不敵に笑う。
顔の色んなところが腫れてて、全然様になってないけど。
「つまり?そういうことですわね?わたくしはやっぱりわたくしらしくあればいいってことね」
「今更いい子ちゃんぶるんじゃないってー話よ」
「うん、言えてる。あたしにとってもセリアナと言えば、超問題児だし」
「あなたに言われたくないわ!…あーあ、でもそうね。好きに振る舞えばいいんだわ。いいわよ分かったわ」
ふふ、と笑う。
「教会本部のひとつやふたつ、わたくしが実権握ってやりますわ!人の弱みだってなんだって利用してやるわ。大人しく幽閉なんて、誰がされてやるものですか!」
腫れ上がった顔でみっともない。それでも艶やかに。
どこまでもしぶとく、笑うその姿は。
まさに悪役令嬢らしい、逞しい華だった。
汚いタイトルで申し訳ない。
いよいよあと1、2話で終わります。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます。最後までお付き合い頂ければ恐縮です。
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