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039 目覚めの一撃

 一通り泣き腫らして。

 沈黙が落ちたあと。

 セリアナが、切り出した。


「わたくし、教会本部預かりになるわ」


「セリアナ、それは」


「言わないで」


 思わず口をつきそうになった思いを、セリアナ自身に遮られる。


「もうこれは決まったことよ。動かせない。それにわたくし自身もそれが現状一番だと思っているの。本当よ」


 一息に言い切る。

 目は真っ赤で、鼻も赤くて、声も泣きすぎてしわがれてる。


 でもとても強い眼差しだった。


 心を決めた人間の目だった。


「わたくしにとって、今一番辛いのは、わたくしのせいで誰かが傷つくことよ…不思議ね、ここに来るまでは、ここに来てすぐも、そんなこと、思ってもみなかったのに」


 はぁ、と指先に息を吹きかけながら続ける。


「本音を言えば、怖いわ。体のいい幽閉じゃないのか。もう二度とそとにでられないんじゃ、とか。もう、誰にも、会えないんじゃないか、とか…でも…」


 どうして。


「それでも、誰かが傷つくより、ずっといい」


 どうしてそんなに優しく笑えるんだろう。


「…それって単なる自己犠牲じゃん…」


 清廉な、凛としたセリアナの姿を見て、逆に、心がささくれ立つ。どうして。


「あ、たしのことで、そういうのヤダって、分かるくせに…!」


 自分を棚に上げている。それにセリアナが本当の願いを口にしたからって叶える力なんてない。…そんな力、ない。それでも。それでも。


 縋って欲しかった。

 助けてって言って欲しかった。

 そしたら私は。


 きっと、無謀に突っ走れるのに。


 でも。


「そうよ。自己犠牲の自己満足。わかってますわ」


 このこは決して、言わないのだ。


「きっとわたくしの選択で、貴方達は傷つくのね。もしかしたらずっと。もしかしたらすぐに忘れるのかも。分からないけれど」


「でもそれでいい。本当は怖かった。でも貴方達と話して心が決まったわ」


「わたくしは、もう、誰かがわたくしのせいで傷つくのを見たくないのよ」


 言い切る姿があまりに清廉で。まるで聖女と呼ばれる人のようで。

 かける言葉は見つからず。

 ただ俯きかけたそのときに。




 すぱぁん!!




 え?

 は?

 呆然とする私とセリアナ。

 じわり、と赤くなるセリアナの、白い頬。

 今、もしかしなくても。



「ちょっとはこれで目が覚めたかしら?この自己陶酔女」



 全力で振りかぶった手を、ひらひらと偉そうにふるロリ美少女。

 びっ…ビビアが…



 ビビアがビンタした……!!!!




久々更新失礼します!

サブタイトル、「ビビアがビンタした」にしようかと思いましたが自重しました。

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お読みいただきありがとうございます。

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