26 わたしたちのやりたいこと
「素晴らしいとは思いますけれど…でも現実問題難しいのでは?」
「なんでよ」
ようやく落ち着いて現実に戻ってきたらしい、セリアナとビビアが会話する。
おかえり知性。
「皮むき器…ぜひとも欲しいですけれど、こちら製造を金物屋…かしら?にお願いしなければなりませんよね?未知のものの作成依頼など、今のわたくし達の立場では出来ないでしょう。他も同様ですわ。甜菜ないし、甜菜に似た物を仕入れる手段が、スパイクを作るにもやはり皮むき器と同じく、作成依頼の手段がありませんわ…」
と思案顔。
「ビビアさんはこちらの成果でもって、『日頃の行い』の点数を上げたいのではなくて?緑の組紐になってからでしたら交渉事の手段はあるかもしれませんが…今の状態では難しいように思えますわ」
「私はどっちでもいいのよ。組紐が変わってからだろうが、その前だろうが」
そして一息ついてから告げる。
「私、最終的には還俗したいのよ」
瞬間、また静まり返る小部屋。
「それは…」
「ビビア、分かってる?それって」
「分かってるわ。貴族籍ぬかれてここに送り込まれた以上、出れる可能性なんてほぼないって。」
還俗。
修道女から一般市民に戻ること。
通常であれば、この国で還俗は可能だ。
ただし、ビビアとセリアナは懲罰としてここに送り込まれた。
基本的には、死ぬまでここから出ることは出来ない。
「でも絶対ってことじゃないわ。調べたもの。過去には大きな成果や貢献で還俗を許された例もあるの」
一息ついて言う。
「これまで乙女ゲームなんかに振り回されてた…本当に馬鹿だった。普通に知らなかったことにして、普通に生きればよかったのに」
「このままここでおしまいにしたくない。やりたいことを見つけたいの。まだ見つかってない。もしかしたらここにあるかもしれない。でも外の世界で生きたいのよ。選択肢を広げたい。」
ここに来てビビアの本音を聞けた気がする。
とてつもなく…難しい本音。
大体知識チートで何かしたって、上手くいかない可能性の方が高い。
私たちは田舎の、そして二人は社交界や世間のお騒がせ者のレッテルがあるのだから。
でも。
「ビビアさんは…とても強いですわね。目標もしっかりあって」
うん。
ちゃんと客観視できてるだろうに、そう言えてしまうビビアは、やっぱり凄い。
「わたくしは…まだ分かりません。還俗出来るとして、したいのかしたくないのか、それすらも。」
「でも今は、なにか自分に出来ることをしたいと思います。それは一致にしてるかもしれませんわ」
セリアナがこれまでになく、柔らかく笑う。
「わたくし、貴方がきらいよ。でもほんの少し、貴方と一緒に頑張りたいと思ったわ」
険のとれた笑顔は、とても優しく美しく優美で…
「私もあんた嫌い。でもネタ提供は有難いわ。これからもポンコツよろしく」
「この性悪!」
一瞬でそれはいつも通りの景色に変わった。
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