表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/43

13 ゴリラ襲来

これでようやくセリアナ編終わりです。

いじいじ文章はなくなるのではないでしょうか。

 今まで内心で、散々ヒロインのことを悪魔だの鬼女だの罵ってきた。

 ただこれからは統一をしようと思う。


 _この女、ゴリラだわ……!!!


「な、かぎ、何してるのよぉ!!?」


「どうせ鍵かけて立てこもってるだろうなと思って。あ、ここの鍵なんてないようなもんよ?あとで直しておくけど」


「そういう問題じゃないでしょう!淑女の部屋に押し入るなんて野蛮よ!何考えてるのよ!このゴリラ!!」


「やー今日の仕事全部ぶっちぎった奴に言われても痛くも痒くもないわー。あた…私がゴリラならアンタはナマケモノだわー」


「…」


 泣いて意図せずとはいえ、一日仕事を全部放棄してしまった身である。


「…シスターオルミエーヌから伝言。『体調が悪いようなので今日一日休養をとること。明日は朝からいつも通り務めること』」


「え…?!」


 思いもかけぬ温情に驚く。

 目の前の女以上の鬼が…?!

 そのまま表情に出てしまったのだろう。

 ゴリラがしかめっ面を酷くする。


「…シスターオルミエーヌは厳しいけれど、筋は通っているし優しい方よ。分かってくれなくてもいいけど」


 吐き捨てるように言う。


「…これも。シスターが持っていけって。」


 そっとゴリラが差し出したのは、盆に乗った食事。簡素なパンとスープ、チーズ。

 扉をこじ開ける時には横によけて、置いておいたらしい。


「…これ…」


「昼も食べていないのだから、ゆっくり自室で食べなさい、ですって。有り難すぎてこっちの涙が出るわ」


「…まずそうな食事」


「あ゛?!アンタは本当に!」


「まずそう…本当にまずそうなのに~!!」


 ふえええええ…!と子どものように涙が出る。

 涙なんてさっき出し尽くしたと思ったのに。

 目の前でぱちくりと驚いた顔。

 ちょっとした瞬間に可愛らしく見えて大っ嫌いな顔。


「みんな、きらいよっ…わたくしっいままですっごくがんばってきたのにぃ~!」


「ええ~何こいつ情緒不安定すぎる…」


「ここもだいっきらい!!ベッド固くて部屋は臭くて眠れないしお湯は好きにつかえないし~!みんななんか臭う気がするし~!」


「…本当こいつどうしてくれようかな…」


「しょくじも、味うすいしまずいし、パンは固いしっ…!」


「…よし、埋めよう。雑木林持ってこう」


「なのにっなのに…なんでこれ美味しそうにみえるのよ~!」


「…」


「固いパンはきらいっ味の薄いスープもだいっきらい!いつも中身同じだし!」


 なのに。

 どうして。



「なのにおいしそうにみえる~!!」



 ふえええええええええ!!!

 と信じられないほど大きな声で泣いてしまう。止まらない。

 目の前の女は大嫌いだし。

 大嫌いな部屋だし。

 いつも通りの変わり映えしないまずい食事だし。

 なのに。

『気遣われた』

『思いやられた』

 これまでだったら屈辱と思えたこんなやりとりが


「…うれしい…」


「は?」


「嬉しいのよ~ありがどぉ~~~!!!」


「おっおっおお、どぅいたしましてっ?」


「ゴリラじゃない~~~しすたぁよおおおおおお~~~」


「…」





「誰がゴリラだゴルァ!!!!!!!」



 ゴリラが吠えて、それに驚いて駆けつけた(もしかしたらその前から様子見てた?)ほかの修道女が目撃したのは


 顔を真っ赤にして暴れる住み込みの少女と、泣きながらパンを噛み締める、問題児一号の姿だった。

今後はペース配分少し落ちます。

=======================================

読んでいただき、ありがとうございます。

☆1つでも構いません。ぜひ評価をお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ